- 本 ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101052717
作品紹介・あらすじ
その眼で患者と病を見つめてきた医師にしか描けないことがある。新米研修医が気づいた真実。引きこもり患者を救うひと癖ある精神科医。無差別殺人犯への緊急手術。友の脳腫瘍に握る電気メス。深夜の出産に奔走する医療チーム──。彼らは考える。決断する。オペを行う。あなたの命を守るために。9名の医師作家が、知識と経験をもとに臨場感あふれる筆致で描く、空前の医学エンターテインメント集。
感想・レビュー・書評
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医師でありながら小説家でもある9人の短編小説が詰まった作品でした。あんなに忙しそうなのに、いつ小説書いてるんだろうって不思議に思う凄い方々。
医師であるからこそのリアルな感じが伝わってきて、とても面白かったです。
特に空中テントは、認知症の家族を介護したことある人なら誰しも共感出来る部分がたくさんあると思いました。施設の入所は、家族を見捨てることではなく、プロがみてくれる安全な場所にいれるという考えが広がったらいいな。
私も主人公のお母さんにとても同情しました。介護する人は、自由が奪われて当然なのか、当事者じゃない人達から見捨ててるなんて文句言われる筋合いはほんとにない。文句を言うなら1週間でいいから、在宅での介護を経験してみたらいいと思う。どれだけ大変かはやったことのある人にしか分からない。
あとは救いたくない命も面白かったです。医療従事者であれば、色んな患者がくる。犯人であろうと、被害者であろうと、どんな人であろうと病院に来たら、全力で治療をしなければならない。そこに差別はあってはならないけれど、医療者も人間だから色んな考えが浮かぶよなと改めて考えさせられました。たくさんの人の命を奪った人を救うことは、正しいのか。でも真相解明のためには、犯人に生きててもらって動機を聞き、罪を償ってもらうのがいいような気もする。難しい問題だと思いました。
こんなにたくさんの医師が書いた作品をたくさん読めて楽しかったです。
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明けのカルテ 医師作家アンソロジーを読みました。
9人の医師作家の短編集です。
どれも結構面白かったです。
空中テントでは、テントを張るために実家に帰った主人公が父親の認知症と直面します。
50年前に話題となった有吉佐和子『恍惚の人』を思い出します。
私の祖父も私が子供の頃認知症で大変でした。
昔は介護施設も無かったですから大変でした。
峠を超えてきた命では天城峠を超えて早産しそうな患者を迎え入れるチームの話で、出てきた地名が河津七滝ループとか、天城峠、伊豆の踊子像とか、懐かしく思いながら読みました。
ドラマになって欲しい短編集です。 -
医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。
私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。
中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。
南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。
どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比奈秋さんの『魚類譚』はちょっとホラーぽくて異色でした。 -
医師が描く小説はリアリティがあります。専門的な用語も飛び交うがそれもまた面白い。本短編集はよく知った医師作家が多かったので、新たな面も見れて楽しめました!
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現役の医師たちが綴る医療小説ということでどれも手に汗握るような臨場感で溢れていた。
まだ読んだことのなかった作家の方も含まれていたので、また読みたい本が増えて嬉しい。 -
フィクションなんだけど
現実にあってもおかしくないくらい
リアルなストーリーばかり。
医療は全てが完璧じゃないから
理想と現実にギャップがありすぎて
理不尽過ぎることを言われることもあるし
誰のために頑張ってるのか
よく分からなくなることもある。
だけどこの本を読みながら
自分の捉え方次第かましれないとか
もう少し頑張ってみようかなぁとか
前向きに考えられるような気がしました。
背中を押してくれる本って素敵ですよね。
医療に関わる人も関わらない人も
ぜひ読んで欲しい1冊です。 -
副題に惹かれ購入。
解説にもあるように「病気は苦しい、死んだら悲しい、治ったら嬉しい…というような短絡的ドラマ作り」ではない現場のリアルが盛り込まれている。
どれも個性豊かな作品で飽くことなく一気に読了。
それにしてもどの世界も敵は同じ人間であることが多いものだ。他者により深く傷つくがそれを癒してくれるのもまた人間だったりする。
肉体的ハードな仕事の上にそれではメンタルやられてしまう人も多いのではと心配になる -
流石全員医師だけあって、医療現場の描写は迫力あるし、過労死ライン超過等の働き過ぎ問題や様々な課題が浮き彫りにされているが、小説としての上手さや完成度は、やはり久坂部氏以外は然程でもない。南杏子氏は出版社勤務から医師になった変わり種らしく、文章のセンスはなかなかだった。
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読了。
アンソロジーの作品





