「三島由紀夫」とはなにものだったのか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.50
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本棚登録 : 301
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101054148

作品紹介・あらすじ

"同性愛"を書いた作家ではなく、"同性愛"を書かなかった作家。恋ではなく、「恋の不可能」にしか欲望を機能させることが出来ない人-。諸作品の驚嘆すべき精緻な読み込みから浮かび上がる、天才作家への新しい視点。「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が気になるのか?」と自問を重ね綴る。小林秀雄賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  •  三島由紀夫の作品をロクに読んでいない自分だが、橋本治の迫る三島由紀夫像に引き込まれた。他者と関わりたくて、仮面の下の彼は「無」である。「塔の中にいて、塔の外を望みながら、塔の外に出ることは拒む」という感覚に、身につまされる思いがした。
     同性愛、マッチョ、右翼、自殺という表層的なイメージで三島を捉えるのは間違いで、作品から滲み出ている彼のベースはとても繊細で中性的である。
     ただし、橋本の捉える三島像では、結局のところ彼は肥大した自己のためにコミュニケーションをうまくとれなかった人ということになるのだろうか?美意識や感情の拒絶、愛の表現方法など、一読では消化不良なことばかりで、三島作品とともに再読が必要であるとメモ代わりに。

  • 不在と拒絶による圧倒的な孤独。
    自分が選ばずに捨てたはずのものに不在として拒絶されるのは、あえて選んだはずだった孤独がもともと自分が孤独であると気付くのには十分すぎるほどの絶望である気がする。
    現実は拒絶しないのに、現実は受け入れないとする姿勢は、孤独に苛まれるしかないようにも思える。

  • 三島由紀夫をあまり読んでおらず、かつ新派など演劇にも疎い自分には難しい本だった。でも、くどいまでに分析を続ける論評にどうしても惹きつけられる。小林秀雄論も素晴らしかったが、こちらは本人の作品を読んでから、もっと考えたい。

  • 禁色を読まなきゃいかんと思わされました。なかなか読み進めにくい三島論。豊饒の海読み直さなきゃ。。。

  • 膨大な議論によって
    兵士になれなかった三人の劣等意識を隠蔽しつつ
    「金閣寺」に書かれていたものは
    結局、ただの理由なき反抗にすぎなかった
    しかしそれにしたって中途半端なのは
    その時点の三島由紀夫にはとうてい理解できないだろう価値観
    …すなわち、ナメられたら終わりという
    本当ならあの作品が、それに基づくものでなければならなかったからだ
    それを外しているからこそ「金閣寺」はあらゆる面で上滑りなんだが
    戦後民主主義の申し子たる橋本治にも
    やはり「ナメられたら終わり」が理解できなかったようで
    三島由紀夫の人格を「行動者」と「認識者」に分けたまではいいけど
    肝心の平岡公威をどこかに捨ててきてしまうんである
    兵士として使い物にならないオトコオンナ
    そういう烙印を押されてしまった平岡公威の絶望に対して
    オトコオンナで何が悪いの?と
    冷たく言い放てるのが橋本治であろうから
    もちろん、それ自体いけないってんではないが
    三島論としてどうなんだ、という話

  • 文学

  • 自死についての本を読んだ後で、三島由紀夫をもう一回調べたいと思った。豊穣の海と金閣寺は読んだ。仮面の告白も読んだ。この本には他の作品も登場するのでやはり意味不明なところが多かった。

  • 小難しく、読むに耐えない

  • 誰かの言葉を借りない、筆者独自の三島論はとても説得力がある。
    切腹事件に振り回されて(幻惑されて)いないことも、当然なのですが爽快。

  • 三島由紀夫が死んだ時、それまで明確に信じられていた自己達成の道は、消え行く光を放つ不思議な幻想となり変わった。
    自分の想定した人生を認識することーこれこそが、三島由紀夫にとっての生きるだった。
    三島由紀夫はどこかで、自分の作品、そして自分の人生が、観念だけで作られた細工物のようだと感じていたのである。

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著者プロフィール

橋本治
1948年3月25日 - 2019年1月29日
東京生まれの作家。東京大学文学部国文学科卒業。イラストレーターを経て、1977年に小説『桃尻娘』を発表、以後文筆業を中心とする。同作は第29回小説現代新人賞佳作となり、映画・ドラマ化もされた。1996年『宗教なんかこわくない!』にて第9回新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』にて第1回小林秀雄賞、2005年『蝶のゆくえ』にて第18回柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』にて第62回毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で第71回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
編み物にも通じており、1989年『男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ』を刊行。自身の編んだセーターを着てCMに出演したこともあり、オールラウンドに活躍を続けた。

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