春 (新潮文庫)

著者 : 島崎藤村
  • 新潮社 (1950年11月30日発売)
3.10
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  • (2)
  • 本棚登録 :173
  • レビュー :12
  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101055039

春 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 明治期のモラトリアム青年のもだもだしたあれこれ。爽やかな恋の話と思って読んだらとんだ地雷だった。
    自分で未来を選べる世の中になったからこそ生まれた、自分は何になりたいかという悩み。ハッキリと決められない岸本がもどかしく感じられるも、その迷いもわかる。「何になりたい?」と聞かれ続けることのつらさ。何かにならないと生きてちゃいけないんかい、そんならべつに死んだっていいよ、と投げやりになる気持ち。あ〜もう苦い苦い。
    青木の長ったらしく自意識過剰な恋文がインパクト強くて、操はよくこんな手紙もらって結婚しようと思ったなと変に感心してしまった。
    青木も道に迷った人だったんだろうけど、妻子を作っておいて自殺するのは本当に無責任よね。(遠まわしに)「死にたきゃ一人で死ね」と言った操は偉い。

  • 恋愛至上主義の最高潮は結婚である
    そう信じて夢のままに恋人と結ばれた詩人だったが
    現実はそう甘くなかった
    いくら理想をうたっても詩や評論では食っていけなかった
    妻とも不和になっていった
    自分は間違っていたのだろうか、そんな煩悶に襲われたときは
    星空を見て、「大なる現実」に抱かれた自分を感じた
    しかししょせんは現実逃避
    その行きつく果てには、死によって内部生命を解き放ち
    「大なる現実」に一体化する結末しかなかった

    なぜちゃんとした仕事に就けなかったのだろう?

    やはり「大なる現実」に抱かれる夢を見て
    ヤングマン岸本捨吉は、ひとり漂泊を続けてきたのだが
    詩人の死を知らされたのち
    兄貴の事業が失敗するさまを目の当たりにして
    文士もまた商人でなければならないということに気づいたのか
    その道を模索し始めて十数年
    しかし売るものが尽きてしまい
    自分の恥、家族の恥、仲間の恥を売ろうと思いついたのは
    「破戒」の結末から発展させた思想かもしれないし
    また詩人の遺した恋文からのインスピレーションによるものかもしれない
    ともあれ、私小説がそのように始まったのだと考えることはできる
    明治41年、田山花袋が「蒲団」を発表した翌年のこと

  • 2016/2/29


    青木駿一さんが好きだった。
    繊細で、哀しい蒼のようなイメージの人でした。

  • 藤村の自伝的長編。”桜の実の熟する時”の後の時代。”家”との繋がりも深い。なんだかこれで”夜明け前”を読む準備が整った気がする。

  • PL 2013.5.8-2013.5.23

  • 藤村自身含め実在の人物がモデルとして登場。全体的に鬱々とした感じだけど、今も昔も人生に対する考え方は変わらないのかなとも思う。「春」の世界に浸かってあっという間に読了。

  • 大津などを舞台とした作品です。

  • 島崎の自伝的小説です。青年期の総決算と言う様な気がしました。
    個人的に「破戒」の衝撃があったので、自伝よりも考えたストーリーの方が琴線に触れるのかもしれませんが、こちらは葛藤や様々な鬱屈など、より内面的な部分が出ているので、藤村作品手につけるにはお勧めかと。

  • 8/30

  • ようやく読み終わりました。 さすがに大作でした。 始めての自然主義で、たっぷり味わいました。 ご馳走様! これは藤村さまの自伝に近いものですね。 二十歳時代な意気張り、惑って渋い日々を続いた歳月の嘆きを、四十代になって初めて落ち着いてゆっくりと語ることになりました。 その語りべは自身ともかく、その敬愛早世な先輩、美しく散っていく恋華、そして異なる旅で平行になった友、自然の流れて生き生きとして読者の目前に再現しました。 殊に青木と名付けた北村透谷氏のことに、どうしても憧れていられなくなりました。 その凛々たる意地、溢れてある才気、そしてとうとう現世に馴染む事をどこまでも拒んで萎れてゆく姿に、思わず涙を湛えました。 その孤独の姿、いかにも美しくてよくわかっております。 明治27年までの生涯でした。 いつか北村氏の作品に浸かりましょう。

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