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本 ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784101055039
感想・レビュー・書評
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良かった。島崎藤村の自伝的小説となっており、彼や彼の友達の生きる事への「苦しみ」「葛藤」が、著者のシンプルながら刺さる表現力によって描かれていて、悩める現代人にも共感出来る人は多いと思う、そんな作品です。
因みに、「春」の序章的作品である「桜の実の熟する時」を先に読むのもお薦めしておきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「青木」として出てくるのが北村透谷をモデルにしていると言われています。この小説で北村透谷を知りました。
この作品の内容の感想はなんとも言いがたいのですが、学生時代に読んでも、社会人になってから読んでも、なかなか理解度が高まりません。でも、なぜか文章は読みやすく最後まで読みきることができます。それだけ、島崎藤村の文章は美しいのだろうと思います。また、タイトル「春」とつけたのが難しく感じます。どうしてこのタイトルなのか。作品からは春は訪れていないように思います。春が訪れるように祈ってなのか、それとも「青春」の青を取ったのか・・・。機会を見つけてもう一度考え直したいと思います。しかしながら、この作品を読むと気持ちが落ち込むというか沈むというかそういう感じになるのが少し難点です。 -
いまでは 藤村の本を読むひとは少ないと思う
文学の研究者か文学専攻の学生か?わたしみたいなオールド文学少女かが読む
むかし教科書に載っていた『千曲川のスケッチ』や詩に魅せられ
たとえばこれ
初戀
まだあげ初そめし前髮まへがみの
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛はなぐしの
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅うすくれなゐの秋の實みに
人こひ初そめしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髮の毛にかゝるとき
たのしき戀の盃さかづきを
君が情なさけに酌みしかな
林檎畑の樹この下したに
おのづからなる細道ほそみちは
誰たが踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそうれしけれ(青空文庫より)
すてきとおもう
そして『破壊』『桜の実の熟する時』と読み進み わたしは『新生』を読んででしまったのだった
『新生』…ご存知だろうか なんという内容だこと!
「おじ」が「めい」をあろうことか妊娠させてしまった
それなのに逃げ出して 悩んだ末が「新生」とは
重苦しくって汚くて、乙女のわたしには受け入れられなかった
しかも私小説でもあるのである
それ以後藤村の小説を封印!
しかし半世紀たってまあなんとなくこの本を手にいれ読んだ
『春』
ストーリーは自伝的、明治20年代の文学青年の悩みと教え子に恋し、許婚ある教え子故失恋する、その痛みを冷静描いたもので文章も現代に通じるうまさだし、時代背景(明治の東京の街など)も臨場感あり、今となっては希少価値があると思う
おこがましいがやはり日本文学の源流なる才能だと思う
が、ここでも教え子と恋愛!
ま、身を引くというか、我慢するので苦しむのだけれども
というか いつも(若いときから)無理な恋をするしょうがないお人なのだのだな
『春』は『破壊』の次に書かれた作品で、次に『家』があり『桜の実…』はその後で そして『新生』が書かれた
『新生』は中年やもめになったのが主人公 だから順番に読めばよかったのかもしれない
わたしの読む順序がまちがっていたのか 早すぎたのか
あるいはわたしの甲羅が厚くなったか(笑)毛嫌いしていて損をしたのかもしれない
といまさらながら理解した次第
『家』も『夜明け前』も読みたいと思っているし、時間があれば『新生』も再読したい
きっと感想が異なってくるのだろうと思う
まったく読書って 読む時、年齢、体調、嗜好、経験で違ってくるから不思議おもしろい -
青年の葛藤、行ったり来たり、紆余曲折、寄り道、そういったものがつまった一冊。
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藤村自身含め実在の人物がモデルとして登場。全体的に鬱々とした感じだけど、今も昔も人生に対する考え方は変わらないのかなとも思う。「春」の世界に浸かってあっという間に読了。
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友に死なれてから出稼ぎの口を見つけるまでの数十ページがとても好き
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明治期のモラトリアム青年のもだもだしたあれこれ。爽やかな恋の話と思って読んだらとんだ地雷だった。
自分で未来を選べる世の中になったからこそ生まれた、自分は何になりたいかという悩み。ハッキリと決められない岸本がもどかしく感じられるも、その迷いもわかる。「何になりたい?」と聞かれ続けることのつらさ。何かにならないと生きてちゃいけないんかい、そんならべつに死んだっていいよ、と投げやりになる気持ち。あ〜もう苦い苦い。
青木の長ったらしく自意識過剰な恋文がインパクト強くて、操はよくこんな手紙もらって結婚しようと思ったなと変に感心してしまった。
青木も道に迷った人だったんだろうけど、妻子を作っておいて自殺するのは本当に無責任よね。(遠まわしに)「死にたきゃ一人で死ね」と言った操は偉い。 -
『桜の実の熟する時』の続きとなる藤村の自伝的小説。婚約者のある女性との別れ。友人の自死。そして長兄の投獄。「生きる」ことに悩みつつも「生きたい」と願う若者の姿に、若かった頃の自分が投影されます。
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なかなか難しく読むのに苦労した。
みんなが何に悩んでいるのかよく分からなかったが、親の過干渉であったり、5月病があったりと、現代にも通じるような悩みの描写があることが、興味深かった。
著者プロフィール
島崎藤村の作品





