婦系図 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101056043

感想・レビュー・書評

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  • 泉鏡花の名作。
    新派の舞台の原作として有名だが、読むのは初めて。
    なるほどな~、音読の時代ならではの流麗な文章。
    人と人との結びつきに、涙が出るのは、今も生きる鏡花の筆力。

  • 俺をとるか女をとるかで有名な鏡花の代表作のひとつですね。
    しかし、そのメロドラマ部分はすごく有名なのに、この婦系図のメインストーリーっていうものはあんまり知られてない気がする。かく言う私も、鏡花館の展示を見て、そのストーリーのぶっとびさwを初めて知って思わずフイタくらいですw
    どれだけぶっとんでいるかは、是非読んで知ってください。

    結婚したい女性の素性やらなんやらをいちいち調べ上げてから結婚するだと? ふざけんな! と友人河野英吉(河野家)にかみつく早瀬の姿からは、「愛と婚姻」という檄文を発表した鏡花そのものが感じられました。特に最後のシーンの口上はめっちゃ胸が打たれて、目頭も熱くなりました。
    目頭が…といえば、私はこの作品を読むまでずっと、紅葉にあたる酒井先生はお蔦を許してくれないのかなと思っていたら、最後の、お蔦臨終のシーンで許してくれるんですよね。「俺が悪かった」って。……紅葉は最後の最後までお鈴さんと鏡花の仲を許してくれなかったけれど、この作品の酒井先生は許している。作品の最後は阿鼻叫喚だけど、私はこの点に惹かれたなあ。
    鏡花は創作を、小説を書くことで何をやりたかったのだろう? 幻想小説を書く一方で激しいものも書いて、現実とは反対のことを描き、奇跡を描いたりする。
    この作品を読んだおかげで大体卒論の方向性が定まった気がするのでした。作品論じゃなくて作家論になっちゃいますねホント…

  • これは何を言っているのかさっぱり分からん。こんなにも言葉の通じない時代が明治の初めにあったなんて信じられんな、しかし。いつも読んでる時代小説みたいんじゃなかったのか、いや薄々分かっていたけども。
    というわけで、珍しく解説を読んでみて、ええ、主税さんってそういう役だったってことなの?!ってなぐらいに分かってなかった。てか解説読んでから本文読み直しても、非常にあいまいというか、まさにハイコンテキストていうか、その時代の日本人にしか分からん表現なんよね。
    というわけで、久しぶりに脳みそのシワが増えた感。
    あ、ラストもヤバいですよ。意味が分かっても意味分からんていうか。もうハチャメチャ。

  • どうなっちゃうんだろうって、先が気になって読むのが止まらなかった。お蔦が酸漿(ほおずき)を鳴らしている様子。やってきた魚屋の“め組”が鯛をさばく姿。そんな始まりにうっとり惚れ惚れしながら、後半の疾走感にハラハラ、ドキドキ。まさかこんな展開になるとはという日蝕のラスト…。すごい演出と思ってしまった。映画を観ていたみたい。

  • 明治時代の文豪。さすがに文章が美しい。
    婦系図といえば、「湯島の白梅」の舞台が有名だそうだが、原作にはその描写は出てこない。
    どちらかというと、原作で描きたかったのは、媒酌結婚が主流だった世の中に対する異議申し立てだったのではないだろうか。また、その媒酌結婚をさせられた河野家の女性や、酒井家の女性が、実は芸者の子だったり、不義の子だったりと実は卑しい出自であることから、いかに、出自がその人を創るのに関係するのではなく、身を置いた環境次第なのだということを伝えている気がする。

    読むのにとても時間がかかったが、(導入部分が長く、文章が明治に書かれたものだから読みにくいのだ)後半部分、すごく面白くなってくる。
    時間のある年末年始などに読むのが良い。
    他の泉鏡花作品も読んでみたい。

  • もう大衆娯楽を地で行くような、メロドラマのような作品。それでも品がないわけではなく、文体の独特の美しさがあって読まさせられる。ストーリーも徐々に盛り上がっていく感じの持って行き方に、つい引き込まれてしまう感じ。
    でも、今一つ深みが欲しくなるというか...ちょっと物足りなさを感じてしまう。
    かるーく読みたいときにオススメの1冊。

  • 素顔に口紅で美しいから、その色に紛うけれども、可愛い音は、唇が鳴るのではない。
    お蔦は、皓歯に酸漿を含んでいる。

    これ以上に魅力的な書き出しを他に知らない。

  • 泉鏡花の作品の中でも評価が分かれると聞きましたが、なるほど読んでみると、確かにそうかもしれません。
    これはピカレスク。
    一般に思われているような文学作品とは違いますね。
    読んでみて良かったです。

  • 谷崎とは違う意味で湿気が多い

  • 一気読み。物凄く面白くて興奮しました。鏡花の小説は文体が身体に馴染むまでに時間がかかるのですが、一度物語世界に絡め取られてしまえばグイグイ読み進められます。早瀬と芸妓のお蔦の悲恋が主軸かと思いきや後半は急転直下のどんでん返し展開。昼ドラとハーレムラノベとフェミニズムとミステリをじっくり煮詰めたエンターテイメントでありながら擬古文調の戯作風味というどこにもない文学です。三島が谷崎らと対談した際「鏡花ファンは変態なんですよ」とブーメラン発言していたらしいが、変態でもいい。鏡花を読む幸せを知る変態でありたい。

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

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