灼熱 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2025年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (832ページ) / ISBN・EAN: 9784101056814

作品紹介・あらすじ

日本からはるばる海を渡ってきた比嘉勇と現地で育った移民二世の南雲トキオ。ブラジルの入植地で彼らは出会い、親友となった。そして迎えた終戦。祖国大勝利を信じる「勝ち組」と敗北を知る「負け組」の間で巻き起こった抗争が、二人を引き裂いた。分断、憎悪。遠き異国で日本人が同胞に向ける銃口。ふたりの青年の運命が交わったとき。絶賛を浴び、渡辺淳一文学賞に輝いた、圧巻の群像劇。

みんなの感想まとめ

テーマは、第二次世界大戦の終戦をブラジルで迎えた日本人移民社会の「勝ち負け抗争」です。著者の緻密な筆致が光るこの長編小説では、比嘉勇と南雲トキオという二人の青年が、異国での友情を育む様子が描かれていま...

感想・レビュー・書評

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  • 2022年第7回 渡辺淳一文学賞受賞

    “灼熱”のタイトルにふさわしい著者渾身の長編小説です。

    テーマは 第二次世界大戦終戦をブラジルで迎えた日本人移民社会の「勝ち負け抗争」。

    大藪春彦賞を受賞した垣根涼介氏の「ワイルド・ソウル」で ブラジル移民の中でもアマゾンへの入植者たちの過酷な生活を読み 当時の計画性のない移民政策を推進していた日本政府へ恐怖さえ感じていました。
    そして、今回は 過酷な入植後にさらに追い打ちをかける 戦争の情報齟齬による移民同士の対立。移民1世と2世の軋轢。

    情報から切り離された共同体の
    敗戦を受け入れられない心理

    純粋さは 時に 凶暴さを増幅させる。
    懐疑は 真実を歪めてしまう

    知らなかった日本人の貴重な歴史を 膨大な資料から小説として創作して読ませていただきました。

    • おびのりさん
      ビマキさん
      ワイルドソウル良かったですよね
      私は ブラジルの移民を読んで
      せめて 移民政策をしなければならないなら
      外国で 必要以上の苦労と...
      ビマキさん
      ワイルドソウル良かったですよね
      私は ブラジルの移民を読んで
      せめて 移民政策をしなければならないなら
      外国で 必要以上の苦労と弾圧を受けた
      先祖を持つ日系人の希望者を受け入れるでは
      だめなんだろうかって思ってます
      2026/05/18
    • ともちんさん
      純粋さは 時に 凶暴さを増幅させる。
      懐疑は 真実を歪めてしまう


      この表現…凄いなと思います(-^艸^-)ヘヘヘ
      純粋さは 時に 凶暴さを増幅させる。
      懐疑は 真実を歪めてしまう


      この表現…凄いなと思います(-^艸^-)ヘヘヘ
      2026/05/18
    • おびのりさん
      ともちん
      ありがと・:*+.\(( °ω° ))/.:+
      良い作品に出会うと リスペクトしちゃうよね
      ともちん
      ありがと・:*+.\(( °ω° ))/.:+
      良い作品に出会うと リスペクトしちゃうよね
      2026/05/19
  • 葉真中顕『灼熱』新潮文庫。

    最近では珍しく、先月の新潮文庫から読みたい本が4作も刊行された。うち3作はかなりのボリュームがあり、本作はその中でも一番のボリュームだ。

    本作は、戦前から戦後までのブラジルを舞台にした800ページに及ぶ読み応えのある渡辺淳一文学賞受賞作の長編小説である。

    幕間に描かれる呪術師の老婆の独白は物語とどう関わってくるのか。そして、老婆の正体とは。

    最近は自然災害が起きる度にSNSで噂やデマが飛び交い、さらには誹謗中傷の嵐が巻き起こる。本作に描かれる日本の戦争も勝利を信じる勝ち組が様々な噂やデマを飛ばし、やがて悲劇を生み出すのと何ら変わりはない。

    その裏で勝ち組を動かす人物が私服を肥やすという構図も最近の日本の状況と何ら変わりがない。東日本大震災の時には津波で被災した大槌町を食い物にしたNPO団体が居たし、新型コロナ感染禍の時にも給付金詐欺を働く奴等が大勢居た。

    一見親切そうで純粋な日本人も一皮剥けば皆腐っているのかも知れない。


    12歳の比嘉勇は家族と共に日本から海を渡り、ブラジルに入植する。比嘉家が入植した弥栄村は退役軍人の渡辺少佐が地主を務め、比嘉家も渡辺少佐から土地を借り受ける。渡辺少佐にはかなりの歳下の志津という妻が居た。勇は弥栄村で一番の農園を営む南雲家のトキオと親友になる。

    その後、弥栄村に志津の兄という瀬良悟郎が移住して来て、勇とトキオたちに柔道を教える。2人は切磋琢磨しながら、逞しく成長していく。

    日本で戦争が始まると弥栄村の住人たちにも動揺が走り、敵性産業撲滅運動が起こり、トキオの南雲家の農園で栽培している薄荷が問題視される。南雲家は農園を諦め、サンパウロに移住する。

    そして、迎えた終戦。弥栄村では瀬良が扇動し、祖国の大勝利を信じて行動を起こすが、サンパウロのトキオたちは日本が敗北した事実を受け入れていた。やがて、勝ち組と負け組とで日本人移民を二分する悲惨な抗争が巻き起こる。

    本体価格1,150円
    ★★★★

  • プロローグ

    爽やかなそよ風がそっと頬を撫でた
    そして、胸の高鳴りが抑えられない
    開け放たれた、窓からようやく風が入り込んでくる
    本書を読了し、タイトル通り私の心は焼けつくような感情で体温は上がりっぱなしであった。
    そよ風によって、ようやく心の昂りは沈静化されたが、アソコの昂りは治ることなく昂り続けていた!
    はて、どうしたものか‥

    本章

    時として
    固定観念や思い込み、先入観や価値観といったものは、人を盲目にさせる
    目の前にあるものを、全くもって消し去ってしまうのである
    重ねるが、眼前にあるにもかかわらずである‼︎

    そういったものを上手く利用しているのがミステリー小説の類いではないか
    例えば、男性だと思っていたら女性だったり、その逆もまた然(ね!makiさん⁉︎)、はたまた、子供だと思っていたら老人だったりと、映像ではなく、小説だからこそ出来るミスリードへの誘導である

    本書
    『灼熱』⭐︎鬼5もそうだ、
    前述した人々の固定観念や先入観、価値観などを各所に配した物語である

    これらは、主に二つに掛けてある。
    先ずは、戦後ブラジルの都市部にみられた、負けを認める“認識派”と情報が届きにくい田舎に多かった、日本が負けるわけないと思い込んでいた“戦勝派”である

    そして、もう一つは、黒幕は“奴”しかいない!と決め込んだり、老婆への聞き手は、“彼”だと決め込んで読んでいる、我々読者である。(私だけかもですが‥)

    この作品は、こうした物語と読者との双方が様々な“思い込み”によって、創られている、まことに稀有な作品ではないだろうか


    そして、本作も『凍てつく太陽』同様、熱い友情が根底にある作品だ!

    勇とトキオ、戦後分断された2人
    悲しくて儚くそして、なんとも愛おしい2人の物語

    あらすじや下手な感想はもうどうでもいい!
    只々熱い、熱すぎるのである!
    『凍てつく太陽』のレビューでも述べたが、この著者には、船戸与一を多分に感じる
    船戸も至極の南米3部作を著しているからだ
    船戸に影響されているのかと思い、著者のインタビューなど漁ってみたが、船戸の“ふ”も出てこない
    全く持って、思い込みも甚だしい限りである

    本作をご推奨いただいた、カナさんにこの場を借りてお礼を申し上げたい
    素晴らしき、熱き物語でありました!
    ありがとうございましたm(_ _)m

    エピローグ

    本作を1人掛け用の安楽椅子(登場2回目)にて、何時間も読み耽っていたため、心のみならず、お尻が物凄く熱くなってしまい、昂りを抑えられなくなってしまった! 単に痺れただけなのか
    立って動けば治ると思うのだが‥

    はて、皆様
    アソコとは、何処の箇所を想起しましたか⁉︎
    ‥もう!やらしいんだから〜(;゚∀゚)=3ハァハァ

                        完


    あとがき

    にしても、結局は、里子と志津の2人
    この2人だよな〜最後は
    女性は強しなのか⁉︎

    我々男性陣は、物語上でも人生においても、結局は、女性の手のひらの上でコロコロ転がされて喜んでいるんでしょうね〜(;´д`)トホホ…

    それでは

    • Super8さん
      かなさん
      おはようございます

      830頁、あっちゅーまでした!
      チョー長編大好物です〰️★

      ありがとうございましたヽ(^。^)ノ
      かなさん
      おはようございます

      830頁、あっちゅーまでした!
      チョー長編大好物です〰️★

      ありがとうございましたヽ(^。^)ノ
      2025/05/01
    • yukimisakeさん
      絶対に下ネタだと思ってたのに!笑
      お尻もシモ…?
      これもめっちゃ面白そうですね!真打ち(鼓動)に行く前に挟もうかな。
      絶対に下ネタだと思ってたのに!笑
      お尻もシモ…?
      これもめっちゃ面白そうですね!真打ち(鼓動)に行く前に挟もうかな。
      2025/05/01
    • Super8さん
      yukimisakeさん

      興奮しちゃいました―(^_^;)?

      これ読んだら、yukimisakeさんのア・ソ・コも昂っちゃいますよー(;...
      yukimisakeさん

      興奮しちゃいました―(^_^;)?

      これ読んだら、yukimisakeさんのア・ソ・コも昂っちゃいますよー(;゚∀゚)=3ハァハァ

      あっ、そんなこと言ったら1Qさんに怒られちゃうかな〰️(・。・;

      まぁ、冗談はさておきホント激アツの物語ですよー
      2025/05/01
  • ブラジル移民になるには、ひと家族に12歳以上3人の働き手が必要だった。勇は父の従兄夫妻とブラジルに船で渡る。入植地の弥栄村でトキオと出会って親友になった。やがて柔道の全伯大会に二人で出場する。

    全伯大会では勇が決勝でトキオを下して優勝した。しかし勝ちを譲られた気がして馬鹿にされたような気分になってしまう。その後勇は里子がブラジル人たちに襲われているところを助けた。そして結婚する。トキオはいたたまれない。その日真珠湾攻撃が起こる。

    ブラジルは連合国側についたため、日本とは行き来がなくなった。都市部では日本人の資産は凍結されたが、農村部では日本人が農業から手を引いてしまうとたち行かないので、何も生活は変わらなかった。勇と里子に女の子が産まれて栄と名づける。トキオはあっさり別の女性と結婚した。

    が、トキオの家が薄荷油生産を続けていることで国賊だと言われるようになり、縁談を断られた。村中で襲う計画も持ち上がっている。

    トキオは弥栄村から引越してサンパウロの樋口一家の営むヒグチというバルで働く。敗戦を迎えてようやく受け入れるが、一方弥栄村では、みんなが戦争に勝ったと思い込んでいた。


  • 途中から勇くんに早く気が付け、早く改心しろと思いながら読んでいました。やっぱり日本人って救いようの無いないバカ。敗戦を勝ったと思い込んで詐欺師に金を巻き上げらるなんて笑うしかありません。自分から信じたい、信じたいって、集団でアホみたいに騙される。80年過ぎた今も全く同じ。また外国人を追い出せとか始まっていますが、そのうちバカな戦争を起こしてまたコテンパンに負けて、今度こそ天皇制と日本語を廃止させられるのではないでしょうか。ヒトラーを担いだドイツ人、プーチンに乗って侵略戦争を支持するロシア人、トランプを2回も大統領にしたレベルの低いアメリカ人も同じです。小説としてはさすが葉真中さんの著作で最後まで予想を裏切る展開、とても面白かったです。

  • ブラジル移民の2世世代の話。ブラジルで生まれた2世とブラジルへ移り住んだ2人の主人公。ブラジル移民が国に騙されて向こうでひどい暮らしをしていたってのはどこかで聞いたことがある。その人たちがこんなにも愛国心持っていたことは意外。終戦後、ブラジルでこんな事件が起きていたこと自体知らなかったので驚きでした。そして個人的には未だに天皇という制度があることが不思議でしょうがない。著者の作品はほんとにハズレない。おもしろかったのでブログで紹介してます。https://chobidoku.com/syakunetsu/

  • 誰もが持っているような、ちょっとした嫉妬心、猜疑心、優越感のようなものが細やかに表現されていて、人間の弱さ、醜さのような部分をひしひしと感じた。
    また当時、ブラジルでこんな事件があったとは全然知らなかったので、そこも興味深かった。
    終盤に近づくにつれ、驚くような展開が続き、ページをめくる手が止まらなくなった。

  • 日系ブラジル人の話。
    明治、大正、昭和の時代、日本は爆発的に人口が増え食料が不足していた。
    そのため、日本政府は国策として、日本人を海外に放出することを考え、その送り先がハワイやアメリカ西海岸、またブラジルなどの南米であった。
    沖縄は食料が不足し、日本の本土に移住した沖縄人が多かったが、本土人による差別に苦しんだ。
    そこで、沖縄人の多くは、差別されない場所を求めて、はるか地球の反対側のブラジルに移住を決意した。
    移住者は錦の旗を飾って日本に帰ることを夢見て、ブラジルの奥地で奴隷同然の状況にも関わらず、必死に農業に従事した。
    そこはあまりに日本から遠く離れていたため、日本からの情報が乏しかった。
    そんな状況下での太平洋戦争と敗戦。
    直接戦場となることはなかったにも関わらず、はるか地球の反対側で繰り広げられた、日系ブラジル人同士の闘争、後に「勝ち組」、「負け組」と呼ばれることになる。

  • ブラジルへの移民についての話。移民に対する考え方が変わった。話自体もとても興味をそそられるもので、ページを捲る手が止まらなかった。

  • 最初は、面白いのかどうか疑問に思いつつも、途中からぐっと入って心揺さぶれ、最後まで一気に読まされる。

  • 勝ち負け抗争のことも知らなかったので、とても勉強にもなった。
    トキオと勇の話かと読み進めていくと、最後で騙された。
    解説にも書いてあったけれど、何が真実で、自分の信じているものが正しいのかどうか、その時を生きている自分にはわからないのは、現代も一緒だと思う。

  • いやー、面白かった。

    今まで無知と言っていいほどだった、ブラジル日本移民の歴史を知ることもでき勉強になった。

    ブラジルに出稼ぎにいった移民たち。大金を手にし帰国することを夢みてブラジルに渡ったが、大金を稼ぐとはほど遠く、帰国船に乗ることもできず取り残されてしまった。

    そんな中、終戦を迎え、情報が乏しいなか、日本が勝利したと信じる勝ち組と、負けを認識している負け組との間で紛争が起こる。

    正義の反対は、正義なのかもしれない。
    そんな風に感じてしまった。

    勝利を信じるものは、愛国心はもちろんのこと、自分の中の核たる信念を真っ直ぐに貫いた故であり、その人にとってはそれが正義であったんだろうなと。

    フィクションではあるが史実をモチーフにしている。こんな出来事はもう起きてほしくない。

    フィクションならではの、ドラマチックなラストも良かった。

  • 戦前のブラジル棄民政策の影響を受けて、敗戦後に日本が勝ったか負けたか、どちらを信じるかで2つに分かれる日本人社会。憎しみと詐欺が親友2人の人生を変えていく。

  • 力作だ。ブラジルで必死に生きた人たちの群像劇。里子が赦したように、誰も責める気にはなれない。

  • 日本からはるばる海を渡ってきた比嘉勇と現地で育った移民二世の南雲トキオ。ブラジルの入植地で彼らは出会い、親友となった。そして迎えた終戦。祖国大勝利を信じる「勝ち組」と敗北を知る「負け組」の間で巻き起こった抗争が、二人を引き裂いた。分断、憎悪。遠き異国で日本人が同胞に向ける銃口。ふたりの青年の運命が交わったとき。絶賛を浴び、渡辺淳一文学賞に輝いた、圧巻の群像劇。(e-hon)

  • 購入済み
    2025.05.18.読了
    文庫化を待ちに待って手にした作品。
    800ページを超える大作で、読み応えもあり。
    とにかく、この作品に出会えてよかった。
    葉真中先生、すごい!

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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