友情 (新潮文庫)

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レビュー : 446
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057019

感想・レビュー・書評

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  • 美しい杉子に恋した男、野島と、その周りにいる友人の話。
    途中まで→大宮と武子いい奴。野島は大丈夫かこいつ。
    最後→野島最高頑張れ野島。いやほんっと大宮が野島を褒める理由よくわかった。よくわかったわ。一人になっちまった野島応援する。超応援する。杉子? 貴様は許さん。あの書きぶりはマジで許さん。

  •  前にタイトルにひかれて「お目出たき人」を読んだことがあり、今回は「友情」を初読。結果的に武者小路を文学史的にたどることとなった。

     前編、後編から成る。前編が後編の3~4倍の長さだ。前編はやや退屈したが、後編は展開も感情も勢いがあって、爽快だった。このための前編ならば読んでいてよかった。前編は近代の感覚との乖離もあるが、容易に想像できる結末に付き合わされているのが退屈だったのだ。前編だけに限定すれば「お目出たき人」のほうが一人称である分だけ珍妙さを増幅しており、おもしろい童貞小説として楽しめた。ただ作家キャリア約10年の35歳前後で書いた『友情』はやはり小説として格上だった。後編の書簡を借りた展開はスピード感もよく、前編の登場人物の心情や態度、その理由を拾っており、内容としても普遍的で、この30ページはおもしろいと思った。戯曲で書いたほうがおもしろかったんじゃないのかと感じた。後で読んだ解説に「元来武者小路氏は、小説家というよりは戯曲家にふさわしい筆致をもっている」とあり納得した。戯曲があるならいつか読んでみよう。

     高校時代に課題図書とされたがそれを拒否して読まなかった。同じく恋愛を知らぬ友人が『友情』を嫌々読んでいたのを思い出した。感想を聞いて、その中身は覚えていないが、女を取り合って熱くなる青春小説を想像していた。読んでみると河原で殴り合いしたりせず「仕事の上で決闘」を申し込んでいた。『友情』を読んで感想を教えてくれた友人は独身だ。友情を解してのことかはわからない。仕事もない。私は既婚者で仕事はある。ただ健康ではない。これが友情を解していないせいかもわからない。



     前編三五の冒頭、「ここで自分は少し筆をはしょる」の自分って誰だ。『友情』は三人称だが、自序の「自分」以来の「自分」の登場なのだろうか。

  • ベエトオベンの仮面壊してなかった?

  • 自分が失恋した時期にちょうど読んだから感情移入したからってのもありますが、読んでてあまりにも主人公が不憫で不憫でしょうがなかった。
    でも、割とこんなことはどこでもある話で、こういう逆境あってこそ豊かな人生が拓けてくるのかと思いました。
    フィールズ賞受賞者の広中平祐先生(数学者)も、
    「本当に人間の真価が問われるのは、こうした逆境(食の困難や、精神的な非常に深い苦しみ)にある時、言葉をかえていえば、不遇の時代にどう対処したかである。
    古今東西で度量や器量をそなえた人間は、必ずといっていいほどの不遇な時代をもち、そのマイナスの時期をプラスに転じて、陽のある場所にでてくるのである。」
    とおっしゃっている。
    恋愛問題は、精神面だけでなく、肉体的にも辛すぎて人生観を強制的に変えなければ生きていけないような気分にもなると思うんです。けれども、今回の懊悩をどう今後主人公が乗り越えていくかを想像するのも楽しみですかね。
    欲を言えば、続・友情みたいな本を生前に書いて欲しかったです笑

  • 2019/01/09
    武者小路実篤がモテないとは聞いていたけれど、それがこの作品に如実に現れてるような気がしました。
    何より主人公が好きになった人は最後に親友と結婚してしまうし、その親友に自分の恋心を逐一相談していたもんだから主人公本当に報われないなあって感じです。
    最後の文に、自分は淋しさをやっとたえてきた。今後尚耐えなければならないのか、全く一人で。神よ助け給え。と言う文で終わってるのがすごい悲しすぎて…。
    内容的にはモテない男のはかない青春恋物語って感じな気がしました。
    だいぶ昔のこの時期からすでにこうした作品が作られていたことに驚くと同時に、昔のこうした内容の本ももっと読んでみたいなと思わせられました。

  • 現在の定価は上の通りだが手元にある昭和五十八年(九十七刷)版は180円
    書かれたのは大正九年という大長寿商品なのだが
    現在では古典を通り越してわけがわからない作品
    1947年(昭和二十二年)に書かれたのであろう解説には
    「清冽」と評されているのだが(本音はどうだかわからないが)
    21世紀からすれば「低俗」
    お高くとまった「高踏」の逆で
    地べた這いずる俗な話にしか見えない
    もうすこしどころか全体全部すみずみまで
    ブンガクらしくカザラなくて良いのですかとみていてはらはらする
    話の筋も書き方もそうなのだろうけれど
    何より読む方が変わってしまったのだろう
    でも夏目漱石の同じように「俗」な作品である『こころ』なんかは
    今でも同じような(と思われる)態度で読めるのではないかという気もする
    長いこと奉られる作品であることは
    「質の高低(というのも基準不明瞭だが)」とは関係なくとも
    時代を超えて同じ意味あいで読まれることができるかどうかは
    作品を作品が表すひとつの一面ではある
    大正時代から昭和の前半くらいまでは
    この話が「良い青春恋愛小説」だったのだなそういう時代なのだなと

  • あまりに辛かった。この薄い本を何度も閉じようと思ったのは、野島が自分と同じだからである。そう私はモテない。

    この小説に描かれているのは、その甘さも苦さも含んだ「若さ」であると思う。思い悩み、誰もが相手からはっきりした答えを欲しがる。友に縋り、理想に縋り、まじないじみた事にまで意味を感じようとする。決して諦観することできない複雑な袋小路の中で、高揚し憔悴する。そして、この若さの混沌の中に友情がある。

    昨今の友情や恋愛がテーマの作品は、すっきりし過ぎではなかろうか。病気や痴情といった障害なしにこの苦悩を語っているだろうか。

    そして私は、大宮のようになりたい

  • 前半は女々しい男の心情をリアルに書いて、後半への良い振りになっている/ 心を許した親友が自分の好きな女と結婚するというのは、友と女の二つを同時に失うものだ/ 読んでいてあまりの仕打ちに同情するが、これもまた自然なのだろうと思う/ 手紙公開の所は、このような女が自分の周りにいない事が悲しくなってくる/ 良い終わり方だとも思う/

  • 一人の女性を巡る二人の親友の心情を吐露されていて、当時の時代の高揚感が伝わってきて面白く読めた。

  • この結末から言うと『ただし、イケメンに限る!』感が凄い…なんか主人公の野島が最初は妄想癖の強いどうしようもない奴だな…とか思っていたけど最後の方は憐れすぎて何も言えない。
    親友の大宮もまたいい奴と言えばいい奴だから、こいつがイケメンで根性曲がってるからとか罵倒出来ないとこがまたもやっと感を強くする。
    イケメン有利の女は強か。
    と言うそれ以上でも以下でもない結末が、薄いページ数からは思ってもみない衝撃だった。

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著者プロフィール

武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)
1885年5月12日 - 1976年4月9日
東京府東京市麹町区(現・千代田区)生まれの小説家・詩人・劇作家・画家。ある時から「むしゃこうじ」と当人が自称しているが、一般的に「むしゃのこうじ」読みされている。学習院初等科~高等学科に在学し、東京帝国大学哲学科社会学に入学したが、入学初年で中退。創作活動をはじめ、1910年に志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと文学雑誌『白樺』を創刊。これにちなみ、彼らは「白樺派」と呼称される。
1918年宮崎県児湯郡木城村に「新しき村」を建設。その後も多くの創作活動に勤しんだ。1951年、文化勲章を受章。1976年4月9日、尿毒症で逝去。
代表作に、『お目出たき人』『わしも知らない』『幸福者』『友情』『人間万歳』『愛と死』『真理先生』など。

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