真理先生 (新潮文庫)

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レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057040

感想・レビュー・書評

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  • ユートピアの住人達の様な、とてもとても魅力的登場人物達を、主人公の僕を通じて、見て、聞いて、感じる物語。
    何か起きるということもないが、不思議と穏やかな気持ちにさせられる一冊。

  • 真理とはどっちつかずの正論である
    ことによるとダブルスタンダードとすら言われかねないものだ
    しかし真理とは結局のところケースバイケース
    だから散文的に表現すれば、どっちつかずになるのもやむをえない
    真理について実践的なことを言うならば
    人間の善性を信じ、己の内なる声に耳を傾けてみるがよい
    そうすれば人のため、社会のため
    翻っては自分のために何をすべきか、いつも正しくわかるのだ
    …そんな理想主義を
    もちろん、お人よしだの馬鹿だの言って嘲る人はあるだろうが
    大事なのは、信じることである
    人の本質が善であり、根からの悪人などいないのだと

    しかし実際がとこ
    人間にはエゴイズムがあり、死に至る欲動があるので
    それらのもたらす現実の事件には
    理想主義などまるっきり無力であることのほうが多いのだった
    たとえば嫉妬の問題
    女の弟子が、別の男に恋をしてしまったときや
    軽蔑してるやつの仕事が大きく花開こうとしているときに
    これをぶち壊してやりたいと願う心は
    まあ、誰しもが大なり小なり持っているんではないかと思う
    この嫉妬を、善なる心の声と勘違いしてしまいかねないあたりが
    真理なる概念の危うさであり
    人間の危うさ、世界の危うさとなるのです
    ところが、いつも真理しか口に出さない「真理先生」は
    自分を中心とする小さな共同体から
    少しずつでもそんな世界を変えられると
    明るく無邪気に信じてるのだった
    そうやって、あくまでかたくなに信じ続けることが
    言ってみれば、人生の修行ともなるわけだよ

    昭和26年に完成した作品
    アプレゲールの時代に、あえて逆行する姿勢は
    戦後昭和のリベラルにかなり影響を与えたのではないか
    しかしそれは
    高度経済成長を経た日本には、真っ向から対立するものともなった

  • 人生肯定の話し。
    --
    つまり私達は生まれるべくして生まれたのであります。この世に奇蹟が行われないとすれば、我々は、生まれるべくして生まれたのであります。~中略~日々決心を新たにして、自己の本来の生命を完(まった)き姿で生かそうとするもの、その人こそ人生肯定の道を歩いている人と言えるわけです。

  • 内容に触発されて墨を磨りました。

  • 山谷
    真理先生
    馬鹿一
    泰山
    白雲子
    愛子
    杉子
    稲田

    登場人物の名前が、スッと入ってくる読みやすい小説だった。

  • 自分の目指す道で精一杯努力して
    人を尊敬して 生きる事を肯定できる
    人生にしたい ネ。
    石かきさんの家遊びに行きたいなぁーーー

    この主人公、日々色んな人の家訪ねすぎ笑

  • 高校生のときに気に入ってよく読んでいた記憶がある。が、今読むと、恐怖を感じる。
    1、真理先生は、自分ではお金を使わないで生きている。ぱっと読むと結構な御身分で、うらやましいようなことだけど。いざ自分がその立場になってみると、金を使わないで生きるのは怖いような気がする。

    2、真理先生やその他の人が、馬鹿一という愚直な画家に、若いきれいな美人をモデルに絵を描かそうとする。これがものすごく怖く感じた。トランプ大統領に核兵器の発射ボタンを持たすようなものというかなんというか。というか絵の修練の過程において、石からいきなり若い女性のヌードって難しくなりすぎではないかなあ。もう少し段階的に修業したほうがいいんじゃないかと、老婆心ながら思った(苦笑)。

    3、硬骨漢の稲田さんが、若い女性のヌードモデルに恋をして、お話的にはハッピーエンドの体裁になるんだけれども。
    若い男性が急に若い女性のヌードを見せられては、惚れてしまうのは火を見るより明らかでしょう。そういうことをあえてする周囲の人たちは、うかつを通り越してなんだか悪魔的なように感じます。

    なんだか全体的にちょっと怖い印象を受けました。またもう20年くらい経ったら読みなおして見たい作品です。

  • 出だしの会話のおバカなやり取りが面白かったので、期待させてくれたが、だんだん飽きてしまった。

    今の基準で考えると、日本語の表現が変な感じがした。

  • 真理先生を総本山に、主人公をパイプ役として画家の石かき先生や書家らの思想と生き様を描いた作品。物語より思想・哲学が主軸。石かき先生の画への実直な情熱や、意見に対しても自分に向き合いながら受け入れるべきこと変えるべきことを判断していく態度が魅力的に映った。書家らにも同様の感想を持った。だが、教祖たる真理先生のお言葉には共感半分、疑問半分といったところだ。人生を肯定して生きたければ自然に肯定される生き方をせよ、までは納得できるのだが、なぜ次に(耶蘇教の)神が持ち出されるのか理解に苦しむ。最終節、いよいよ真理の核心にふれられ、大いに共感できる点も多いはずなのだが「真理が導く」「到達させてくれる」「神は愛なり」といった表現が私を素直に読ませず厄介に思っている。

  • 折にふれて読み返したい本である。

    先生方の言葉に耳を傾け、ゆったりとした時間を過ごす。
    なんて贅沢な。

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著者プロフィール

武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)
1885年5月12日 - 1976年4月9日
東京府東京市麹町区(現・千代田区)生まれの小説家・詩人・劇作家・画家。ある時から「むしゃこうじ」と当人が自称しているが、一般的に「むしゃのこうじ」読みされている。学習院初等科~高等学科に在学し、東京帝国大学哲学科社会学に入学したが、入学初年で中退。創作活動をはじめ、1910年に志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと文学雑誌『白樺』を創刊。これにちなみ、彼らは「白樺派」と呼称される。
1918年宮崎県児湯郡木城村に「新しき村」を建設。その後も多くの創作活動に勤しんだ。1951年、文化勲章を受章。1976年4月9日、尿毒症で逝去。
代表作に、『お目出たき人』『わしも知らない』『幸福者』『友情』『人間万歳』『愛と死』『真理先生』など。

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