キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 366
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058214

感想・レビュー・書評

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  • あの人と結婚していたらわたしはいなかったね

    だから、結婚しなかったのかもな

    一気に読み終わった

    中学生くらいのときに読みたかった

  • ○好きなセリフ
    「あの人と結婚してたらきっと私はいなかったね」
    「だから結婚しなかったのかもな」おとうさんは鼻歌をうたうように言った。

  • お父さんにユウカイ(=キッドナップ)されたハル。2人のぎこちなく、容赦なく、でもほんのり暖かい旅が始まる。

    会話しにくい相手やあまり話したくない相手っているよね。
    何か話さなくちゃ!と思って探り探り会話してるけど、この本を読んだらそんなに一生懸命話さなくてもいいのかなって気になる。
    お父さんとハルが始終だまりこんで気まずくなってる場面がいくつかあるけど、その気まずさの中にも暖かさがある。
    だから気まずくたっていいじゃないか!そういう風に開き直れる関係っていいなあと思う。

  • 夏休みに読んだので季節的には最高だった。
    父と娘のとんでもない旅にとてつもなく楽しく参加できた。
    お父さんしっかりってハルといらいらしながら。

  • 小学5年生のハルが、最近家から出ていった父親にユウカイされたという「設定」で旅をするお話。
    文庫版の解説で、重松清さんはこの物語には「口に出した言葉」と、「出さなかった/出せなかった言葉」の二つの言葉の流れがある、と仰っているが、それに尽きる気がする。物語はハルの語りによって展開していくが、彼女自身の機微や父親の言動が非常に細かく丁寧に描かれている。

    ハルの父親と母親の取引内容は明かされないのですが、これはあまり本作において重要ではないな、と途中から気がつきました。それよりも旅を通じて変化していくハルと父親の関係や、ハルが自分自身と父親に対する理解を深めていく様子の方がメインポイントでは、と思います。

  • よく新潮文庫の夏のフェアとかに名前が上がる、おそらく人気作で、内容のキャッチーな感じにいつか読んでみたいなと思っていた。

    「菊次郎の夏」と同じ構成で、題名の通りあちこちをツアーしながら二人の関係性や心の機微は深まっていたり日によって微妙に違ったり、デリカシーの無さにイライラしたり時には静かに愛情を感じたりと、その繊細さが心にチクチクと刺さる。「移動」という不安定な状態による心理描写の充実ぶりも良い。特にラストシーン、電車を乗り継いで帰っていくなか「逃げ続けよう」と提案するハルの心情は愛おしいというかなんというか、不思議と涙が出そうになる。

    描かれない部分が明確にあり、それは子ども目線からどうしても追いきれないパートであるようだ。ただそこに下世話なオチなどは必要ない。多くのエンタメ作は「大人目線から書かれて、子どもにはわからない」親子作であろう。「子どもには見せられない」が子役が出ている映画なんていくらでもある。この作品はそうしたものとは一線を画し、「子ども目線から書かれて、子どもからも大人からもわからない」ことが重要であると思う。なので批判のうちの多くは的外れであると僕は思う。

  • まだ私にはわからないところも多かったけど読み終わったあとなんとゆうか心が温かくなりました。やっぱり家族愛ってすてきですね。最後まで私は分からなかったのだけど、お父さんが誘拐してまで叶えたかった希望、ハルと引き換えにお母さんに提示した条件ってなんでしょうか、、

  • よくわからない。
    率直に言えば。
    主人公の女の子の気持ちも
    ふらふらと安定してないし、どうしてそう感じているのかも伝わってこないような。
    父親の目的は?これがわかっていれば、面白さも違ってきたかと。
    そういうことを詮索すること自体が、わかってないな、と言うことか。

    むかしドラマになってみた時、
    面白いと思ったんだけどなあ。

  • お父さんが娘を誘拐するという、興味をそそる出だしから始まる。
    いろいろと感じることものが多い娘が、お父さんとの旅(誘拐)を通して、最終的に自分の意見を言えるようになるのが嬉しく感じる。
    生きている中でなかなかなさそうな話なのに、リアリティを感じさせてくれる話が絶妙に面白いと感じた。

    お父さんが娘を誘拐した目的や、娘がお母さんと再開した後の話が明かされてほしかったと思った。

  • 久しぶりにあったお父さんとハルのユウカイ旅行。普段経験しないことばかりの出来事が続き、父親を困らせたりとハルにとっては一生忘れることのない日々。風や陽の光り、木々の揺れなど自然の描写に素敵な表現が多かった。大人目線で読んでも楽しめたが、子供の頃に読んでいたらまた違った思いが出てきたんだろうなと思った。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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