キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2388
レビュー : 321
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058214

感想・レビュー・書評

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  • うめぇ~~~…!一気読み。
    いやもう角田光代の巧みさは予期していたのに、とはいえ、美味。

    小学五年生の少女ハルが、別居中かつ甲斐性なしの実父にユウカイされ、夏休みに貧乏旅行をする話。

    私は作品の評価をするときに、エンタメ性が高いかどうかをよく一つの指標にするのですが、キッドナップツアーはエンタメ的楽しみは低いです。
    だけど楽しい。
    子ども時代特有の不安や恐怖が、胸ときめく興奮に転じる感覚を随所で思い出しました。
    知ること気づくこと、人を見ること、自分の言葉を持つこと、それら自体が「楽しい」。

    読み終わってみると、物語としては、驚くほどなにも固定されていない。
    寓話のような話だった。
    親子モノになんの解決も押し付けない、安心して読めた。読後感◎

  • きゅーんと良い話

    彼と分かれた瞬間を思い出した
    たった今一瞬前まで一緒にいたのに、密に過ごしたのに、壁を隔ててもまだ20mしか距離離れてないのに、分かれた瞬間に離れちゃうあの瞬間

  • ドラマも良かった。文章だと、行間の心情がさらに伝わってきて良い。

  • ドラマからの原作。今の季節にぴったりの設定で、その点でも物語に入りやすいかも。

    ドラマでも原作でも「要求」なるものが一体何だったのかは不明なままですが、でもそれは別にどうでもいいのでしょう。本筋は別にあるので。

    にしてもハルが小学5年生の設定・・・むしろ1年生とか2年生くらいの方がしっくりきそうな無邪気さ。

    さて、夏休みの間にもう一回、ドラマを観ますかね(^-^)

  • なかなか好きです。
    父親と娘の距離感て独特だから
    わかるなーこの感じ。

  • 父親とは、本当に情けない。

    でも、その情けないなかに何かがある気がする。
    その何かは、うまく文字にできないけれど
    いつか(自分が父親になった時に)わかるかもしれない。

    情けなくたって、父親は力強い。
    ダメな男だけど、父親は父親だし

    娘にとって、誘拐犯だとしても、父親なのである。


    そんな、父親の教科書的(ほぼ反面教師)な小説でした。

  • こんなお父さん楽しいなぁ。アホだけどそこが愛嬌というか。お母さんとどんなやりとりがあったんだろ。
    余韻が残るお話でした。

  • ハルはアイスクリームを買いに行く途中、大きなサングラスをかけた男にユウカイされた。
    だがその誘拐犯を、ハルは知っている。男は、ハルのお父さんなのだ…。

    お父さんに誘拐された少女の、特別で異様で濃厚で淡々としたひと夏。
    設定からしてたまらない、と思って読み進んで、ますますその不可思議でかなしくもおかしい関係に魅了された。
    自分の娘を「あんた」と呼び、主導権は俺にあると言いながらたびたび彼女に振り回され、それでも彼女を連れて母親と何かの交渉をしている、貧乏で不器用で無様で何も出来ない父親。
    いつの間にか家からいなくなった父親に、好きか嫌いかの感情も持てないまま、父親のおふざけだか真剣だか分からない逃避行に付き合い、時には爆発し、時には冷徹とし、それでも多分、普通の父親と娘以上に儚くも強靱な何かで繋がっているハル。

    だめだめ親父とませた少女の逃避行。なんて、憧れてしまう。
    どんなに不自由でも現実味がなくても、ふっとどこかに逃げ出してしまうことは時々魅力的で、もしその傍らに誰か(誰でもいい全く見知らぬ他人でも)いたなら、多分その人を誰よりも強く、いとおしく肌で感じられるようになるんじゃないだろうか。

  • 父は娘を「誘拐」したと言い、娘は父が言った「誘拐」をまるで旅行へ出かけるきっかけの言葉として受け止め、そこから物語が始まる。
    両親がなぜ離れ離れに暮らしているのか?。
    母との暮らしは母の姉妹・祖母が出入りする暖かくそして落ち着いた日常。
    離れて暮らしている父とは?
    数えるにも少ないほどの思い出。

    誘拐という名の父との旅行。
    些細な出来事が冒険のようで、自分自身どう考え行動すべきなのか?少しずつ心が成長をする。
    相手を思いやる気持ち、そして知ることのなかった父の過去と現実。

    「誘拐」というからには目的があるものだが、結局明確にあらわされないまま物語が終るのは、読んだ本人が本の感想として探すということだったのかと思っている。

  • もうすぐ夏休みなので。久しぶりに読んだ。久しぶりに読むとまた前と違った印象だなあと思う。時代もだいぶ変わったな〜。交渉の内容は、ハルと自由に会わせてくれだとか、もっとくだらない内容なら、前みたいに手料理が食べたいとか、そういった内容なのかな、と。まあ、想像だけど。

著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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