さがしもの (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 854
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058245

作品紹介・あらすじ

「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。

感想・レビュー・書評

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  • 本って読むたびに思うことはかわるし、
    人と巡り会うきっかけになるし、
    知らない世界に行けたり新しい考え方を得たりできる。
    いいものだなと改めて感じさせてくれた一冊。
    「手紙」が特に好きだった。
    自分の境遇に似た人を客観的に見ると、自分のことも俯瞰的にみれて、ほっと気持ちが落ち着くことってあるよね、と思う。

  • R2.4.30 読了。

     本にまつわるエトセトラ。
     『旅する本』、人が旅するように、本もまた旅をする。
     『不幸の種』、最初は難解と思えた本が、自分の成長に合わせて姿かたちを変えてゆき、いつの間にか自分にぴったり寄り添うようになる。同じ本を読むことで、自分の変化、成長の度合いがわかる。
     『さがしもの』、おばあちゃんが亡くなる前に孫娘に探してほしいと託した本。孫娘はおばあちゃんが亡くなってからも探し続け、おばあちゃんがその本を熱望したのかをその本を読むことによって知ることができる。などなど。
     角田さんのこの短編集のような世界観がたまらなく好きですね。ストーリーが気になって先を早く読みたいが、居心地の良い世界観から出たくなくなるような。

    ・「私の思う不幸ってなんにもないことだな。笑うことも、泣くことも、舞い上がることも、落ち込むこともない、淡々とした毎日のくりかえしのこと。」
    ・「あいかわらず、いろんなことがある。かなしいこともうれしいことも。もうだめだ、と思うようなつらいことも。そんなとききまって私はおばあちゃんの言葉を思い出す。できごとより考えのほうがこわい。それで、できるだけ考えないようにする。目先のことをひとつずつ片づけていくようにする。そうすると、いつのまにかできごとは終わり、去って、記憶の底に沈殿している。」
    ・「だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう。」
    ・「本っていうのは、世界への扉」

  • 2023.8.21 読了 ☆9.6/10.0

    本がもっと愛おしく、大切に、大好きになれた、そんな一冊。

    "本との関係というのは、どこまでも個人的な行為である。スポーツをする、ゲームをする、レストランで美味しいものを食べる。温泉に入る。そういうことと本を読むということは、あまり変わらないことのように思える。スポーツしなくても、ゲームしなくても、美味しいものを食べなくても、温泉に入らなくても、なんら問題なく人は生きていけるが、けれどそこに何かべつのことを求めて、それらのことを人はする。その中に、本を読むという行為も含まれている。そうして、本を読むのは、そのような行為の中でもっとも特殊に個人的だとわたしは思っている。そう、だれかと一対一で交際するほどに"

    あとがきエッセイの角田さんの言葉

    "恋人は一人であることが望ましいけれど、本の場合は、三人、四人、いや十人と、相性の合う「すごく好き」な相手を見つけても、なんの問題もない。そんな相手は増えれば増えるほど、こちらはより幸福になる"


    〜〜〜〜〜印象に残った言葉〜〜〜〜〜


    "「人間は、本を読むために生まれてきた動物である」

    何を大袈裟なと思われるかもしれないが、そんなことはない。
    人間は、乳幼児の段階で、母親が膝に抱いて本を持つと、ページを指でめくろうとするらしい。いま見ているページの先に何かあるのかを、知りたくなって手が本に伸びていく。それは人間の本能なのだ" p.230


    "変わっているのは本ではなくて、わたし自身なんだと。家を離れ、恋や愛を知り、その後に続く顛末も知り、友達を失ったり、また新たに得たり、うまくいかない物事と折り合いをつける術も身につけ、けれどもどうしても克服できないものがあると日々実感し、そんなふうにわたしの中身が少しずつ増えたり減ったり形を変えたりするたびに、向き合うこの本はガラリと意味を変えるのである" p.23


    "私、子供の頃におばあちゃんに聞いたことがあるの。本のどこがそんなに面白いの、って。そしたら何を聞いているんなって顔で私を見て、『だってあんた、開くだけでどこへでも連れて行ってくれるものなんか、本しかないだろう』って言うんです。祖母にとって、本は世界への扉だったのかもしれないですね" p.164


    "死ぬのなんか怖くない。死ぬことを想像するのが怖いんだ。いつだってそうさ。出来事より、考えの方が何倍も怖いんだ" p.183


    "出来事は、起こってしまえばそれはただの出来事なのだ" p.185

  • まず、1話目からガツンと心を掴まれた!
    旅の途中の古本屋で昔手放した本と何度も何度も出会う、まさに宿命的な縁を感じさせる本
    自分はここまでの奇跡的な出会いではないけれど、一冊の本と出会って、今まで全く本なんて読んだことがなかったけれど、大の本好き、読書好きになるきっかけとなった大事な本はあるのです…

    2話目「だれか」を読んで思わず片岡義男の本を
    買ってしまいました…笑

    4話目「彼と私の本棚」
    ユニコーンの名曲♪「フリージャズ」が頭の中に流れてくるような、切なくて愛おしいお話

    その他のエピソードも全部素晴らしくて
    自分が本が好きで、この本に出会えたこと
    そして、この本が世界に存在することに感謝します。

    • sinsekaiさん
      はい!なんでしょうか?
      はい!なんでしょうか?
      2021/02/20
    • sinsekaiさん
      どの話も面白かったので選ぶのは難しいですが、最初の旅する本は好きですね
      絶対にあり得ないけど、こんな事が起こったらほんとに面白いなと思います...
      どの話も面白かったので選ぶのは難しいですが、最初の旅する本は好きですね
      絶対にあり得ないけど、こんな事が起こったらほんとに面白いなと思いますね♪
      さがしものも好きですよ!
      どちらも意味合いは違えど運命的な本というか人生に影響を与えた本ですよね

      自分も運命的に出会って大好きな本が
      角田光代の「この本が世界に存在することに」と言う本なんですが、未読でしたら是非読んでみて下さい。
      2021/02/20
  • 一冊の本を巡り、物語を綴る、本への愛が溢れた短編集。

    単行本発売当時の「この本が、世界に存在することに」というタイトルが、この短編集を言い得ていると思う。

    私も、著者と同じように、駅前に小さな本屋があるだけの田舎で育った。古本屋さえなく、BOOKOFFなんか、ほんの最近のシステムだ。

    「旅する本」のように、奥付の右下に、小さな名前のハンコとNo.を付けていた。手放したら、もう手に入らないと思っていたのだ。

    私が不在の時、親戚の叔父さんとか、文庫だし沢山あるし、貰えるんじゃないかと思っていて、時々、無くなるものがあったのだ。思い入れを理解しない親が、児童書はもう読まないだろうと、歳下の従姉妹に勝手にあげてしまい、しばし、茫然となったのは一度や二度ではない。

    まあ、子供だったしね、暴れたような記憶もあるなあ。

    そんな田舎から出てきて、横浜ジョイナス有隣堂や、東京丸善を知った時、動揺さえした。角田さんも、後書きで同じような気持ちを書いていた。
    懐かしさと、嬉しさで、後書きで泣きそうだったわ。

  • 〈本〉をテーマにした短編集

    以前、NHKのEテレ番組で個人の本棚を紹介する番組に角田光代さんが出演されていた。自宅の広々した本棚を公開し、その前に座ってお話しされていた中で、以前別れた彼の本と自分の本を分けるのが大変だったと。
    今の彼と生活し始める時にそれぞれの本を分けて並べようと提案し、なぜ?と言われたと言うお話をされていた。

    4編目の〈彼と私の本棚〉の中に、一緒に暮らしていた人と別れ、本棚の本を分けている場面があり、あのテレビでのお話を思い出した。

    5編目の〈不幸の種〉は若い頃出会った本が理解出来ず、面白くないと思っていたら、歳を重ねる事で違った読み方が出来たり理解できるようになった。
    それは、自分が成長し続けているということか。

    どちらかと言えば、私は長編物が好きだけど、
    短編 イイなぁー、今更思った。

    著者あとがきエッセイ より

    本の一番のおもしろさというのは、その作品世界に入る、それに尽きる、と私は思っている。一回本の世界に引っ張り込まれる興奮を感じてしまった人間は、一生本を読み続けると思う。…〈中略〉
    世の中には私の五百倍 一千倍の本を読んでいる人がいて、そういう人に追いつこうとしても無駄である。そんな追いかけっこをするくらいなら、知識なんか無くたっていい。私を呼ぶ本を一冊づつ読んでいった方がいい。
    そう、本は人を呼ぶのだ。

  • 早起きして地下鉄に乗り、病院へ行った。
    定期検診の為だ。予約はしてあるものの、大きな病院はやはり時間がかかる。
    ブク友さんの人気も高い、この本を待ち時間に読むことにした。本に纏わる、短編集。
    私も古本屋が好きで休みの日は、よく足を運ぶ。
    古本に抵抗がある方もいるようだか、ほんのり甘い紙の匂いも好きだったりする。
    ラインが引いてあったり、ふりがなが記入されていたりは、よく見かけるけれど、一度だけラブレターの様な文章が書いてあったものに出会った事がある。
    「委員会の時だけじゃなく、もっとずっと話がしたい。気づいて欲しい。」この短い文章から、同じ 委員会で集まり、議題にそって話し合いした後、すぐに立ち去る彼女は、おそらく他クラス、または学年違い。よく目は合うけれど、すぐにそらしてしまう。
    互いに本が好きで、自分が読んでいた本を貸すことになった(大チャンス到来)。本が好きな彼女ならあとがきまで読むはず、そしたら最後のページも気づくはず。
    と、妄想にひたった経験があるので、まさにこの短編集の登場人物達のように、本には香り、音楽、出会い、別れなど人を呼び、人につなぐ力があると思った。
    読書好きを内緒にしていた遠い昔、ご飯に行った相手の鞄から小説が見えて、借りた事がきっかけに、お互いに部屋の本棚から、数冊ずつ選び、本を貸し借りする口実で会い、いつしかデートになり、大好きになり、大切な人になった。
    私の体験談も、この短編集に入っていても違和感ないのでは無いか?(笑)と思うほど、身近な感じがした。
    本を読み終えた頃に、通院も無事済み、また半年後に受診することになった。
    帰りに、無性に本が読みたくなり久しぶりに、図書館へ。探していた本が見つかり、重かったがエコバッグにぎゅうぎゅうに詰めて帰ってきた。
    今夜からまた本を読んで世界を旅してみたい!


  • 上白石萌音「妹に迷惑がられている」 こだわりの読書スタイル、愛読書3冊を明かす | テレビ・ラジオで取り上げられた本 | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/article/576700

    角田光代 『さがしもの』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/105824/

  • もう一度いつか読み返したいと思える本になりました。
    本の何が楽しいのかを言葉で説明するのは私には難しいです。
    でもこの本にはそれが書かれています。
    本の何が楽しいのか聞かれたらこの本を読んでもらえれば分かります。
    さがしものが見つかります。

  • 角田光代さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。
    九つの作品からなる短編集ですが、読書好きの人にはたまらない魅力を持っていると断言します。
    (私は完全に魅了されました)
    その大きな要因として、どの作品も「本」が主人公と言っても過言ではない内容になっていることが挙げられるでしょう。
    また、九つの作品を読み終えた最後に収録されている「あとがきエッセイ 交際履歴」も秀抜で、本書の内容と共に、角田さんの作家としての矜持と、読書好きの人ならば何度か経験したことのある(なくとも共感できる)ことが書かれていることも、本書の満足度を向上させています。
    自分が読みたいと思う作家さんに出逢えた時が、読書の喜びの一つと言えますね。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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