しあわせのねだん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1993
感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058252

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんの読むのは初めて&エッセイも初めてかもしれない。
    あんまりエッセイっては好きじゃなかったけど予想以上に面白かった!!
    これはエッセイが面白いのか、角田さんが面白いのか。
    角田さんの表現は思考が面白い!一緒に飲みながらお喋りして聞いてる感覚になれる(* 'ᵕ' )☆

    お金や物への価値観などを重きに置いた話なんですが、24個の話かな、全部ニヤニヤと笑える部分があり。
    1番印象に残ったのは、
    迷いに迷って高額な買い物をしたときと、
    衝動で高額な買い物をしたときと、
    物への思い入れが全然違うという話。
    具体を書いてしまうと面白くなくなるのでこのへんで。

    半年前くらいからの積読本、気軽な気持ちで読めました!他の角田さんのも読んでみよーっと。
    あ、、八日目の蝉!?あれ?これは映画で見たような、、愛がなんだ?も映像で見たような。。
    映像化結構されてて、知らずに結構観てるかもだ
    ( °_° )_φ(..)メモメモ

  • 2023.8.30 読了 ☆9.2/10.0


    角田光代さんの、お金にまつわるエッセイ
    モノやコトの値段を通じて、その値段の持つ価値や意義、人それぞれの感じる価値の物差しの違い、男女差、お金を使うことから得られる気付きが散りばめられていて、ユーモアたっふりに描かれていて面白い。



    その中で特にハッとさせられた箇所がある。
    自分もこうなりかけていると自省も含めて恐ろしくなった…



    〜〜〜〜〜〜〜〜以下、引用〜〜〜〜〜〜〜〜


    "二十代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか。二十代のお金は、ほとんどが自分で作った自分のお金である。なくなろうが余ろうが、他人の責任ではなく全部自分自身のこと。

    それをどう使ったかということは、その後のその人の、基礎みたいなものになる。

    映画を見まくった人は他の人よりも絶対に映画に詳しいし、美味しいものを食べまくった人は、絶対に舌に自信があるはずだ。

    お金というのはそうしたものだと思う。

    そうして考えると、最も恐ろしいのは、何にもお金を使わなくって、貯金額だけが異様に高いということだ。

    一度そういう人に出会ったことがある。その人は、まるで自己紹介をするみたいに自分には貯金がいくらある、と平気で(というより得意げに)言っていた。映画も見ず、酒も飲まず、外食もせず、旅行もせずに貯めたお金なんだとすぐに分かった。
    そしてその人は中身が何にもなかった。

    二十代を貯金に費やせば、それだけのことはある、というかそれだけのことしかない。
    数字は積み上がるが、内面に積み上がるものは何もない。

    ゆたかであるというのは、お金がいくらある、ということでは決してないのだということを、その人を見て知った。
    そういう意味で、貧しいまま年齢を重ねることが、私はとても恐ろしい"


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


    自分もこうなりかけている節がある。

    投資信託の数字を見て喜んだり、貯金額を見て安心したり、家計簿の収支を見て満足したり…

    貯金に目的を持ちたい。
    節約に意味を持たせたい。

    「いくら貯めた、節約したから浮いたお金を〇〇に回そう、〇〇を経験しよう」と、そんな具合に

  • 角田光代さんの作品を読んだのは、数時間前に読了した『八日目の蝉』に次いで3冊目となりました。

    最初に読んだ『さがしもの』がとても良かったので、角田さんの作品を読み進めようと決め、『八日目の蝉』と本書『しあわせのねだん』を併読していました。

    本書は、お金に関するエッセイ23篇とあとがき2編から構成されています。
    『対岸の彼女』で直木賞を受賞され、5年もの歳月をかけて『源氏物語』の現代訳にも取り組まれた作家さんとは思えない?ユニークな作品が多く収録されており、また、ご自身の(全部ではないにしろ)あからさまな姿も描写されていて、とても楽しむことが出来ました。
    と同時に、併読していた『八日目の蝉』を書いたのも同じ作家さんなんだよな、というちょっと不思議というか変な感覚にも襲われました。(勿論、冷静に考えれば不思議でも何でもないのですが)

    本書に収録されているエッセイは、全て面白く読むことが出来ましたが、とりわけ、「100%感動する名作!」と帯に書かれていたとおり、角田さんと母親の旅行を題材とした『記憶 9800×2』は秀抜でした。
    別の小説家さんの作品ですが、氷室冴子さんの『冴子の母娘草』(本書と同じぐらい面白くお薦めです)を思い出しました。
    母親と娘が織りなす珍道中(涙もありますが)に間違いはないようですね。

    他の小説家さんのエッセイとしては、三浦しおんさんの『のっけから失礼します』を読んでいますが、本当にどの作品も面白く、楽しませてくれます。

    小説家さんの才能と、作品への精励には頭が下がります。

  • 読んでびっくりしたのは作者がとても普通の人に感じられた。
    お金に関するエッセイで読む前はもっとなんていうか濃い感じのイメージだったのがなんだかとても身近な人に思えた。
    作者の作品は中々生々しかったりするのだけれども。
    気軽に読めて作者と喫茶店でおしゃべりしいるようなそんな時間を楽しめた。

  • 急に角田さんのエッセイが読みたくなった!
    普段エッセイがはあまり読まない。
    単純にストーリーがある方が好きだから。
    でも角田さんのエッセイは読みたくなる!
    テレビで拝見して以来、その人柄に惹かれている。
    テレビで見せてくれる顔は角田さんのほんの一部だろうけれど、あのほのぼのとしたふんわりとした飾り気のない雰囲気が好きだ!
    そしてその見た目の中、言わなければ分からないのに角田さんの黒い部分も惜しげもなく披露してくれるところも大好き。
    このエッセイももう何度目の再読だろう…
    角田さんの独り言を聞かせてもらっているようでクスクスと笑いながら、時には「わかる〜」と思いながら楽しませてもらいました。

  • これならいくら使えるっていうのは人それぞれ違っていて、小さな金額でとても満足できる時や、逆もある。本当に必要な自分の心のエネルギーになるお金の使い方をしたい。

  • 隙間時間に読むのにちょうど良いエッセイ集。
    私とは異なる価値観をおもしろく読みました。
    あとがきが一番好きでした。

  • 王様のブランチで見て、気になって、偶然書店で見つけたので読み始めた、けど、相当時間をかけてしまった笑
    でもそのくらいで読んでいいものかもしれない。
    実際、他のちょっと重い作品とかスピーディーな作品の間のお休みみたいな位置付けで読んでいた。

    何にいくら使うのか、それが物理的なものなのか精神的なものなのか他のものなのか、考えてみると面白いし、個性が出るから自分のことを知るいいきっかけにもなりそう。
    実際に優先順位をつけなきゃと思っていたので。

    たまにはこういう一冊も良い。

  • 自分で自分のお金を使って経験をすることが自分の中身を育てるということに共感。他人のお金で経験したことは本当に残らないなと思っています。
    何にお金をかけるのか、痛い目を見たり失敗するのか。経験してこそゆたかになるという人生そのものだと感じました。

    「いろんなことがどうでもよくなくて、酒の力も借りて人と意見を交わす」というのが今の私にぴったりすぎてドキッとしたけど、私の飲み代もいつかに意味を持ってくるのかな…?

  • お金の使い方、価値観について、日常の何気無い一コマを切り取って語られる本エッセイ。頭を空っぽにして読み進めるうちに「はっ!」と何か人生の真理みたいなものを気づかせてくれる。

    印象に残ったのはエッセイの最後で著者が、「何にお金を使ったかで人は人生を形成する」と語っていること。著者自身は20代、貧しても飲すると宣い無い金で酒を飲み続けたそうだけど、その時間で人と語り合い、それが喜びとして生きるガソリンになっていたらしい。

    一方で、若いうちに貯め込むことに夢中になった人と出会った時、その人が何にも中身のないスカスカな人間だったと印象を受けたらしい。どうも数字を積み上げることは内面に何かを積み上げることにはならないらしい。

    最近の自分のモットーは「金で解決出来ることは悩まず払う」。結局お金についてクヨクヨ悩んでいる方が心の健康によろしくない、自分の中の物事のPriorityを見極めることが重要なのだ。

    と宣い、今日も散財する私。まあ、バランスが大切ってことで、そこはご愛嬌、ご愛嬌。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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