くまちゃん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2097
感想 : 215
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058283

感想・レビュー・書評

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  • 失恋ってもっとブルーな気分かと思ったが、意外に激しい気分をいうんだなあ

    作者の角田光代さんのいう、「ふられ」小説。

    第一章で主人公をふった彼氏が次の章で主人公に。そして彼をふった女性が次章の主人公に、と物語を語る「視点」が次々と変わることによって、ああ、こういうふうに相手に世界は見えていたんだ、こういうふうに感じていたんだ、という新鮮な感覚が。

    次の章に移るたびに、前の章では「何なんだコイツは?」と感じていた登場人物に、いつのまにやら非常に好感を持っている自分に気がつく。
    なんとも不思議な感覚。どんどん読み進めるうちに、キャラクターへの当初の印象がコロコロとかわってしまう、というか視点を変えてみると、こういう風に感じるものなのかとすごく面白かった。そのへんの構成とか読ませる力ははさすがになぁ、うまいよなぁ、好きだなぁと思う。

    別れた後に、新しい恋人なりパートナーが出来て初めて「ああ、あの時の彼女は(彼は)こういう気持ちだったんだな、こんなことを思ってあんなことを言っていたんだな」ということがわかるということなんだよね。皮肉だよね。

    なんとも切ない。

  • 連鎖していく?「ふられ」小説。
    確かに、恋愛って、ふるか、ふられるか のどちらか。

    ふと思い出した…私が高校3年間密かにずっと憧れてた彼は、同じ女の子に3回告ってふられてた。(それを知っても同情や失望する訳でもなく相変わらず憧れてたけど)この小説と同じだわ!

    この本読んで思ったのは恋愛のゴールってどこだろう?てこと。結婚…とは言えないのはハッキリ描かれてたし。
    恋愛って、生きてる間一生付き纏う足枷みたいなものなのかもしれないな。

  • いいですね~
    人ってほんとにみんな違う生き方をしているんだな、と思い、そしてみんな一生懸命なんだな、と。
    とても考えさせれました。
    最初、短いエッセイを集めたものかな、と思いましたが違っていて、全然違うお話(人生)が次のお話に絡んでいく。とても新鮮でした。

  • なかなか良かった。
    他人の気持ちはわからないけれど、その他人にもそれぞれの生活や考えがあり、その人からしたら、自分のこともよくわからないんだろうなーとか。
    あとは、一方的に大恋愛をしていると思っていても相手にとっては特になんてことはない恋愛だったりしてってところも印象的。

  • 話がテンポよく進んでいくので、読んでいて気持ちがよかった。
    そして、終わり方も気持ちがいい。
    失恋してぼろぼろになっても、後でじわーっと得るものがあるって、何かいいなぁ。
    ふったりふられたりしなければ、別の誰かと違う物語を作ることもないわけだし、出会いってほんと奇跡だなぁって思う。

  • 振られ小説!
    振った人が次の章で振られるストーリー!
    好かれている人には冷たくて
    好きな人には重くなって上手くいかないみたいな
    あるあるがひたすら続く(笑)
    いっぱいいっぱいの時
    自分の気持ち伝えられなかったり
    相手に振り回されていたり…
    後味はスッキリ小説❣️

  • どうやら私は精神的に辛くなると本に頼りたくなるらしい。
    成人式から数年経ってるというのに初めての失恋を経験し、何をしてもどこにいても辛く、何かを求めて書店に足を運んだ。偶然手に取った本が私の人生を変えるような…というようなことを期待したりもしたが、偶然手に取った本がラブラブサクセスストーリーだったりした時には私の心は死んでしまう。結局ネットで失恋したときに読む本を検索し、出てきた中で気になったのが今作だった。どこまでも単純な人間だなあと思いながらも購入。積読も沢山あるのに…。


    それぞれの主人公が全員失恋する連作短編。ふられる側がメインでありながらもふる側が次の話で恋をして失恋するつくりになっているため、様々な面から作品の世界を見ることができた。

    良くも悪くも他者への“好き”や“憧れ”、“尊敬”が人の性格、考え方、人生に影響を与えあらゆることが変化する。もちろん恋愛に限った話ではない。でも恋愛ってすごい。
    なんていうか、好きになった方が負けってしみじみ感じてしまう。言いたいことが言えなかったり、相手の言葉一つで一喜一憂したり、ああ私ってこんなに弱い人間だったんだなんて気付かされたりもして。でもそれでも楽しくて幸せで嫌ではなかったりして。

    今作を読んでいて、共感する部分や学びの部分が所々あり、失恋というネガティブな題材でありながら前向きな気持ちを持つことができたように思う。こんなに弱いのは私だけじゃないんだ、とかこの辛さも過去になって未来の私の一部になるんだ、とか。
    何よりもこの登場人物達と同じように私も失恋を経験できて良かったなと思う。辛いけど。

    私をふったあの彼のほんの一部にでも私はなれているのだろうか、いつか名前も忘れられてしまうのだろうか、ふとしたときに思い出したりしてくれるのだろうか。彼が主人公となる話は読むことができないし永遠に答えが分からないんだろうけど。


    なんだかただの自分の失恋への感想になってしまった…。

    失恋の連鎖を通じて人と人の繋がりや人生について考えさせられたのは本当のこと。すごく面白かったし読みやすかった。
    だけど読んでいた最中の正直な感想として、なんだかんだで幸せそうな期間の描写が多く少し辛かったし、早くふられてくれと思ったし、ふられるといってもはっきりふられる描写はほとんどなくてもっとしんどいのが見たいとも思った。歪んでるよね



    はあ〜〜幸せになりた〜〜〜〜〜〜い

  • 八日目の蝉 を録画したつもりが出来ていなくて悲しい。
    角田光代さんの恋愛小説がうまいのは周知のことだけど、今回は「ふられ」小説である。

    ふる側、ふられる側。どちらも経験しているけれど、どちらがしんどいかと言えば私の場合は間違いなく、ふられる方がしんどい。大人になってからの失恋は学生時代より辛いし、だからこそ慎重になりすぎたりもする。

    風の又三郎のように現れては消えて行く恋を通して、新しい自分を発見したり再認識することもある。「ふる」小説でなく、「ふられ」小説だからこそそれが嫌味なく描けるんだろう。
    恋愛の形には遊びか本気かしかなくて、それは付き合う前から決まっているものってイメージがあったけど、寄り道みたいな始まりでも本気になる恋もあるんだろうなーと最近思うようになった。逆もまた然り。

    • m.cafeさん
      「予定日はジミー・ペイジ」面白そうですよね。ありがとうございます。(^^♪
      「予定日はジミー・ペイジ」面白そうですよね。ありがとうございます。(^^♪
      2012/06/27
    • 円軌道の外さん

      こんばんは!
      お気に入りポチありがとうございました(^O^)

      「八日目の蝉」ヤバいです(>_<)

      自分は女やないけど、...

      こんばんは!
      お気に入りポチありがとうございました(^O^)

      「八日目の蝉」ヤバいです(>_<)

      自分は女やないけど、
      かなり考えさせられたし…


      しかしレビュー上手いですね(^_^)v

      しかも深いぃぃ!


      自分は男だからなんかなぁ〜
      振る方がかなり辛かったです(^_^;)
      (そんな経験は数少ないんやけど汗)


      また気軽に遊びに来てくださいね(*^o^*)

      2012/07/04
    • hetarebooksさん
      円軌道の外さん
      ありがとうございます。嬉しいです。
      円軌道の外さんの本棚はDVDやCDも充実してて、あっ!コレコレって思いながら拝見させ...
      円軌道の外さん
      ありがとうございます。嬉しいです。
      円軌道の外さんの本棚はDVDやCDも充実してて、あっ!コレコレって思いながら拝見させてもらってました(*^_^*)

      振るのも悪者にならなくちゃいけないから辛かったけど、向こうからアプローチされたのに振られると、期待はずれだったのかなとか考えてぐるぐる~。

      きっと円軌道の外さんは優しい方なんでしょうね。
      2012/07/05
  • ふられるのって、居心地が悪い。
    なんだか全部自分が悪かったみたいに思ってしまって。
    自分が自分でなくなって、どうしたら相手の気持ちを捕まえられるかばっかりになってしまう。

    「くまちゃん」からバトンのようにフラれていく連作小説で、前の話に出てきたカレもしくはカノジョが、次の話ではふられるので、痛み分けって感じでモヤモヤせずに読めました。

    お互いに相手を愛するみたいに、相手は愛してくれなくって、すれ違いが起こっていく。
    今の自分の精神状態的に、恋愛を必要としてないので、かなり客観的に読んでしまったけど、面白く読めた。
    円環的な話法だから、最初の「そのちゃん」だけフラれっぱなしかと思ったらそうでもなく、予想外の見せ場も用意されていました。

    惨めで、カッコ悪くて、不幸せで、切ない。
    こんな思いをわざわざ小説でするなんて!
    そんなふうにも思いましたが、落とし所のスッキリさが心地よかったです。
    フラれて損って気持ちにさせない、むしろふることも、ふられることも、恋愛の一部なんですってテーマ性があってよかった。
    恋愛してると、相手から嫌われたらとか、ジタバタしちゃうけど、それでも恋してカッコ悪くなっちゃうことに、背中を押されている気分になる。
    ふられたほうが、えらいモンを失って、失った分、何かを得られるのかも。

    私が悪かったんかな…なんて思うあの気持ちも抱きしめてくれる気がして、フラれたことのある人には、過去の記憶の意味も変えてくれるストーリーなのではないでしょうか。

  • 失恋した時読みたかったなぁ。
    本当、あの頃の私はしんどかった。

    振られた翌日の朝、出勤する時、
    片腕を失ったような、世界が180度変わってしまったような、空がとっても低く感じて呼吸がうまくできなかった。

    この本に出てきた『別人格』の話。
    すごくうまい表現でしっくりきた。

    そうか、あの時
    私がせっかく形成し
    築いてきた彼に合わせた心地よい別人格を
    ある日突然彼に殺されちゃったんだなーと気付かされた。

    彼に『もういらない』と言われたら、その別人格は消えちゃうもんね。

    けどそうなると本当の自分ってなんだろう?

    みんなに共通して言えるのは…結局は惚れたもん負けなんだわ。

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著者プロフィール

1967年生まれ。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。著書に『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)など。『源氏物語』の現代語訳で読売文学賞受賞。

「2022年 『にごりえ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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