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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784101058351
作品紹介・あらすじ
ときに酒は、記憶を呼び覚ます装置になる。わたしを魅了するあの人は昼間から水玉のお猪口を手にしていた。僕はビールの苦さに重ねて父の呟きを反芻する。恋の行方を探りながらそっと熱燗を飲んだ日、ただ楽しくて倒れるほど飲んだ夜、まだ酒を知らなかった若さを、今は懐かしく思う。もう会えない誰かと、あの日あの場所で。九人の作家が小説・エッセイに紡いだ「お酒のある風景」に乾杯!
感想・レビュー・書評
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小説もエッセイも色々楽しめる。少々乱暴な言い方になるけど、「酒ならなんでもいい」という酔っ払い気質の人には楽しめる1冊じゃないかと思う。
私としては知らない作家さんの文章も読めて、次につながりそうな予感。角田光代、島本理生から始まって、久しぶりに恋愛小説を読んだせいか引き込まれた。
ちなみに私は〈アンソロジー〉という言葉がわからなくて、こういうスタイルを〈オムニバス〉だと思っていた。本だとアンソロジー。オムニバスは映像とか音楽。へぇー。
賛否両論はあるだろうけど、越谷オサムの『カナリアたちの反省会』が一番印象に残った。
賛否両論があるだろう、と思ったのは、「これで原稿料もらえるなんて(怒)」と思う人も絶対いるよな、と。
ただ、私としては「書けない、どうしよう」からの、ファミレスでの盗み聞きはやけにリアルで、妙に親近感を持った。お酒が飲めないのにこの原稿依頼を受けてしまった、という作者がなんとも憎めない。私も聞き耳を立てている気分になったし、挙げ句には同じ場所に本当に自分がいた気分になってきて、「まさか、あのときの!?」ってなってたらめっちゃよかったのに!と思うくらいに入り込んでしまった。
どこかで誰かのエッセイに、自分のことが書かれていないことを祈る私。あくまで自分のことが書かれるわけではなく、同席していた場面が書かれていたらいいのに、というズルさではある。
本書は、「このところやけに〈燃え殻〉というエッセイストの名前を見るなぁ」というところから始まり、「そろそろ読んでみるか」と図書館で検索して出てきた1冊。
ちょうど、恩田陸のやたらとビールを飲みまくるエッセイを読んだばかりだったこともあり、即取り寄せ。
この連休、実家に帰れば父とビールを飲める!
薄さ的に、持ち歩くのもちょうどいい。
読み終わって感想を書こうとして、全体的にあまりに評価が低くてびっくりした。
たしかに「酒ならなんでも」感が強すぎるかもしれない。
感想を書いていて気付いた。
私はお酒が好きだと思っていた。でも、そうでもないんだな。考えてみたら、この5年ほとんど飲んでいない。
おいしい食事があって、一緒に飲む人がいるのが好きなんだと思う。
「おまえ、ちょっと太ったな」
数ヶ月ぶりに会った父から言われたセリフに、「もう一杯飲む?」とはなかなか言えなくなってしまったけれど、一緒に飲める人がいるのはうれしい。父もそう思ってくれていれば、一応うれしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
角田光代さんと島本理生さんの作品よかったな。
なにをかくそう私もお酒が大好き。
大事な人達と美味しいものを食べながらお酒を飲む瞬間はとても幸せ。 -
電車の乗り換えがうまくいかなかった…。
ふらっと入った駅中の本屋さんでおいしそうなビールに引かれました。
次の電車まで時間がたくさんあったのでお店の中をくるっと一周したけど、この表紙が1番魅力的でした。
会計して電車に乗って、カバンから本を出して読む…
何年振りだろう?
電車自体久しぶりだったし、
電子書籍ばかりだったので
久しぶりが組み合わさって懐かしい気持ちになった。
生き返りの電車のなかで読み切れてしまうほど
どの話もテンポよく進みます。
読み終わってもう一杯飲もうか?迷いながらこれを書いています。
明日早いし寝ないとなんだけどなぁ -
断酒している自分を挑発してみました。
書下ろしの燃え殻さんと昨年掲載された角田光代さん以外は
一昨年「小説新潮」3月号に掲載された小説とエッセイ。
〈特集『「もう一杯、飲む?」ー酒のある風景をめぐって』
〆切1月末〉
作家の皆さんに12月上旬に依頼があり、
小説誌に掲載後、アンソロジーとして文庫化される予定とのこと。
私が読んでいて飲みたくなった作品は、上記を教えてくれた越谷オサムさん『カナリアたちの反省会』
いつもアンソロジーって知らない作家さんの方が多いけど、今回は知っている人が多かった。
でも越谷オサムさんはここで初めて知りました。
なんと越谷さん、下戸!
でも酒に関わる話、めちゃ面白かったです!
飲んで語りあう姿、とても楽しそう。
最後に友達と飲んだの、二年前だし、私。
でも大丈夫。
アカンプロサートがわりの本を用意していて
これから読むんです。
(浅倉かすみさん『シネマスコープ』は理解できなかったので、レビューで確認する予定) -
島本理生さんのお話、よかった。ジーンときた。また島本さんの本を読んでみたくなった。
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酒がテーマのエッセイと小説。
特に印象に残ったのは、小泉武夫の『奇酒は貴州に在り』。
食と酒の大家が、幻の酒を求めて中国の奥地へ。
そこで見つけた酒は何と。
「朝夕一杯ずつ服用すると、5日後には飲酒者の体から佳麗な匂いが立って、身の回りに漂ってくる。10日飲んで外に出ると、その佳香に誘われて風下から人々が続々と集まってくる」という酒。
続いて15日、20日、25日、30日後と、酒の効果が語られる。
著者も、中国の誇大な表現かと疑っていたが、実際翌朝トイレに行ったら「ほのかに甘く、耽美な香りが」漂ってきたと。
運動をして汗をかき、その汗をハンカチで拭い、ビニール袋に入れ、日本に持ち帰ったがその香がまだ残っていたとか。
誰でも一度飲んでみたいと思うことだろう。 -
お酒から始まる関係、お酒が取り持つ関係。お酒が生む本音。そこからお酒を取ると、新たな関係が生まれるのか、何も変わらないのか、それとも関係自体が切れてしまうのか。
お酒に限ったことではないけど、鎹がなくなる先にあるものを想像すると、怖くて立ち止まってしまう。
黒谷さん、優しいなぁ。
カナリアのその後が気になる(^^) -
短編小説集であるが、酒をテーマとしている。
酒の種類ばかりでなくシチュエーションや時代に及びとても深い一冊だ。
作家もバラエティー豊かだが、短編の文量も様々で、あっという間のものから読み応えのあるものまで多岐にわたる。
特に気に入ったのは、カナリアたちの反省会と奇酒は貴州にあり
カナリアとは面白い例えだが、そんな場面がありそうだし手に取るように目に浮かぶ
奇酒はここで故事に触れるあたりさすが小泉さんと思って益々興味がでた。ターゲットも背景も面白い。 -
<音>
LPレコードでの”ジャケ買い”ならぬ,本の”タイトル読み”。 その元になった理由はというと,それはもちろん僕が音楽や読書と同じくらいお酒が大好きな事です。
でも僕はこの様に何人かの作家が書いた作品を集めて一冊にした本が実は苦手なのです。ネットとかでこの本の事を調べても,作者の欄には 角田光代 としか書いてなかったりするのも少しイラっとするのです。角田の本ならまあいいか,と思ったのに。
で僕にしては目ずらしいのだけど,各作品の寸評を書いてみます。
『冬の水族館』(角田光代) :巻頭にふさわしくとても面白く読めた作品。これぞまさしく「もう一杯,飲む?」である。
『その指で』(島本理央):実に興味深い作品。主人公たちの実年齢がとても気になった。好き。
『これがいいんだ』(燃え殻) :なぜこの作品だけ書き下し?そしてこの短さは何?
『シネマスコープ』(浅倉かすみ): すまぬ,この作品に僕の感想は何も無い!朝倉はテーマを取り違えてはいないかっ!
『陸海空 旅する酔っ払い』(ラズウェル細木):新幹線のぞみ号で飲むならC席。僕と全く同じ意見。ついでの僕のウンチク。角ハイ缶を買った時,頼むとロハで氷をコップに入れて出してくれる。
『カナリアたちの反省会』(越谷オサム) :フォークトリオ というだけで音楽好きの僕にとってはもう100点満点。お酒登場のさせ方もナイス。
『奇酒は貴州にあり』(小泉なにがし):「俺」という一人称を使う上から目線の思い上がった爺じいの尊大な作品,嫌い。
『エリックの真鍮の鐘』(岸本佐和子):これは珠玉の酒飲み女子の一作である。アクアビットってどんな酒だ!
『振り仰ぐ観音図』(北村薫):ビッグネームの作者,けれど僕は彼の作品をまだ読んだ事が無い。あ,今回が初めて読んだ。好き。
”そ祖素” とおそまつ様で,高言失礼致しました。 りょうけん。 -
冒頭の角田光代さんと島本理生さんの短編は良かった。島本理生さんはさすがの表現力というか。やっぱ好きだな。角田さんの描く中途半端な関係もリアル。あとの短編はちらっと見ただけでなぜか読む気にならず、、燃え殻さんのは読んだ。
角田さんと島本さんは元々好きなので読めて良かった。
アンソロジーの作品





