もう一杯、飲む? (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101058351

作品紹介・あらすじ

ときに酒は、記憶を呼び覚ます装置になる。わたしを魅了するあの人は昼間から水玉のお猪口を手にしていた。僕はビールの苦さに重ねて父の呟きを反芻する。恋の行方を探りながらそっと熱燗を飲んだ日、ただ楽しくて倒れるほど飲んだ夜、まだ酒を知らなかった若さを、今は懐かしく思う。もう会えない誰かと、あの日あの場所で。九人の作家が小説・エッセイに紡いだ「お酒のある風景」に乾杯!

感想・レビュー・書評

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  • 角田光代さんと島本理生さんの作品よかったな。
    なにをかくそう私もお酒が大好き。
    大事な人達と美味しいものを食べながらお酒を飲む瞬間はとても幸せ。

  • 電車の乗り換えがうまくいかなかった…。
    ふらっと入った駅中の本屋さんでおいしそうなビールに引かれました。
    次の電車まで時間がたくさんあったのでお店の中をくるっと一周したけど、この表紙が1番魅力的でした。

    会計して電車に乗って、カバンから本を出して読む…

    何年振りだろう?
    電車自体久しぶりだったし、
    電子書籍ばかりだったので
    久しぶりが組み合わさって懐かしい気持ちになった。

    生き返りの電車のなかで読み切れてしまうほど
    どの話もテンポよく進みます。

    読み終わってもう一杯飲もうか?迷いながらこれを書いています。
    明日早いし寝ないとなんだけどなぁ

  • 断酒している自分を挑発してみました。

    書下ろしの燃え殻さんと昨年掲載された角田光代さん以外は
    一昨年「小説新潮」3月号に掲載された小説とエッセイ。

    〈特集『「もう一杯、飲む?」ー酒のある風景をめぐって』
    〆切1月末〉
    作家の皆さんに12月上旬に依頼があり、
    小説誌に掲載後、アンソロジーとして文庫化される予定とのこと。

    私が読んでいて飲みたくなった作品は、上記を教えてくれた越谷オサムさん『カナリアたちの反省会』
    いつもアンソロジーって知らない作家さんの方が多いけど、今回は知っている人が多かった。
    でも越谷オサムさんはここで初めて知りました。

    なんと越谷さん、下戸!
    でも酒に関わる話、めちゃ面白かったです!
    飲んで語りあう姿、とても楽しそう。
    最後に友達と飲んだの、二年前だし、私。

    でも大丈夫。
    アカンプロサートがわりの本を用意していて
    これから読むんです。

    (浅倉かすみさん『シネマスコープ』は理解できなかったので、レビューで確認する予定)

  • 島本理生さんのお話、よかった。ジーンときた。また島本さんの本を読んでみたくなった。

  • 酒がテーマのエッセイと小説。
    特に印象に残ったのは、小泉武夫の『奇酒は貴州に在り』。
    食と酒の大家が、幻の酒を求めて中国の奥地へ。
    そこで見つけた酒は何と。
    「朝夕一杯ずつ服用すると、5日後には飲酒者の体から佳麗な匂いが立って、身の回りに漂ってくる。10日飲んで外に出ると、その佳香に誘われて風下から人々が続々と集まってくる」という酒。
    続いて15日、20日、25日、30日後と、酒の効果が語られる。
    著者も、中国の誇大な表現かと疑っていたが、実際翌朝トイレに行ったら「ほのかに甘く、耽美な香りが」漂ってきたと。
    運動をして汗をかき、その汗をハンカチで拭い、ビニール袋に入れ、日本に持ち帰ったがその香がまだ残っていたとか。
    誰でも一度飲んでみたいと思うことだろう。

  • お酒から始まる関係、お酒が取り持つ関係。お酒が生む本音。そこからお酒を取ると、新たな関係が生まれるのか、何も変わらないのか、それとも関係自体が切れてしまうのか。
    お酒に限ったことではないけど、鎹がなくなる先にあるものを想像すると、怖くて立ち止まってしまう。
    黒谷さん、優しいなぁ。
    カナリアのその後が気になる(^^)

  • 短編小説集であるが、酒をテーマとしている。
    酒の種類ばかりでなくシチュエーションや時代に及びとても深い一冊だ。

    作家もバラエティー豊かだが、短編の文量も様々で、あっという間のものから読み応えのあるものまで多岐にわたる。

    特に気に入ったのは、カナリアたちの反省会と奇酒は貴州にあり
    カナリアとは面白い例えだが、そんな場面がありそうだし手に取るように目に浮かぶ
    奇酒はここで故事に触れるあたりさすが小泉さんと思って益々興味がでた。ターゲットも背景も面白い。

  • <音>
      LPレコードでの”ジャケ買い”ならぬ,本の”タイトル読み”。 その元になった理由はというと,それはもちろん僕が音楽や読書と同じくらいお酒が大好きな事です。
     でも僕はこの様に何人かの作家が書いた作品を集めて一冊にした本が実は苦手なのです。ネットとかでこの本の事を調べても,作者の欄には 角田光代 としか書いてなかったりするのも少しイラっとするのです。角田の本ならまあいいか,と思ったのに。
     で僕にしては目ずらしいのだけど,各作品の寸評を書いてみます。

       『冬の水族館』(角田光代) :巻頭にふさわしくとても面白く読めた作品。これぞまさしく「もう一杯,飲む?」である。 

       『その指で』(島本理央):実に興味深い作品。主人公たちの実年齢がとても気になった。好き。

      『これがいいんだ』(燃え殻) :なぜこの作品だけ書き下し?そしてこの短さは何?  

      『シネマスコープ』(浅倉かすみ): すまぬ,この作品に僕の感想は何も無い!朝倉はテーマを取り違えてはいないかっ!

       『陸海空 旅する酔っ払い』(ラズウェル細木):新幹線のぞみ号で飲むならC席。僕と全く同じ意見。ついでの僕のウンチク。角ハイ缶を買った時,頼むとロハで氷をコップに入れて出してくれる。

    『カナリアたちの反省会』(越谷オサム) :フォークトリオ というだけで音楽好きの僕にとってはもう100点満点。お酒登場のさせ方もナイス。

      『奇酒は貴州にあり』(小泉なにがし):「俺」という一人称を使う上から目線の思い上がった爺じいの尊大な作品,嫌い。 
     
    『エリックの真鍮の鐘』(岸本佐和子):これは珠玉の酒飲み女子の一作である。アクアビットってどんな酒だ!

      『振り仰ぐ観音図』(北村薫):ビッグネームの作者,けれど僕は彼の作品をまだ読んだ事が無い。あ,今回が初めて読んだ。好き。

     ”そ祖素” とおそまつ様で,高言失礼致しました。 りょうけん。

  • 冒頭の角田光代さんと島本理生さんの短編は良かった。島本理生さんはさすがの表現力というか。やっぱ好きだな。角田さんの描く中途半端な関係もリアル。あとの短編はちらっと見ただけでなぜか読む気にならず、、燃え殻さんのは読んだ。
    角田さんと島本さんは元々好きなので読めて良かった。

  • 【収録作品】「冬の水族館」 角田光代/「その指で」 島本理生/「これがいいんだ」 燃え殻/「シネマスコープ」 朝倉かすみ/「陸海空 旅する酔っぱらい」 ラズウェル細木/「カナリアたちの反省会」 越谷オサム/「奇酒は貴州に在り」 小泉武夫/「エリックの真鍮の鐘」 岸本佐知子/「振り仰ぐ観音図」 北村薫
     さまざまな酒のある情景。酒は目的にもなり、触媒にもなり、潤滑油にもなり。良い酒をほどほどに。孤独をかみしめさせられるものはあれど、悪酔いするものはなく、安心して読める。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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