- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101060095
感想・レビュー・書評
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逆境におかれながらも経済的、精神的に自立した人間になろうと、ひたむきに努力する吾一少年の姿に心が震えた。
自分はいかにして生きるかという本質的な問いに対する答え、戦略を持つことの大切さを改めて感じた。
すごく面白かったけど、検閲の網に引っかかって未完なのが残念。 -
一気に読んだ。ここで終わんの!!!て感じ。
今でも十分やのに速記を覚えたり、手を繋ぎ合わないとという話を自分なりに解釈して味方にしたり、素直さと貪欲さに痺れた。
少年が頑張る話、いつまでも好きやわ… -
何度も蹴られる 路傍の石。
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働かないで家にも滅多に帰ってこず、吾一の貯めたわずかばかりの貯金さえ使い込んでしまうような父。生活のために内職をして体をこわし早くに亡くなってしまう母。吾一は奉公先を飛び出し東京で一人なんとか生きていく。子供ながらにその強さには感心する。次野先生の「吾一」とは「われひとり」この世にたった一人の大切な存在なのだと言うことばを胸にひたすらに努力して自力で学校にも通い、勉強を重ねる。だが再び父親に独立しようと貯めておいたお金を使い込まれる。彼は何度も何度も蹴られる路傍の石であった。
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小川洋子さんのラジオで紹介されていて、今更ながら読んでみたが、とてもよかった。
昭和15年、制裁を受け、未完にせざるを得なかったことは「ペンを折る」に書かれている。
吾一の志が素晴らしい。 -
本の内容はあえて省く。この本の書かれた時代が偶然にせよ、完結にまでいたらせなかったことが非常に残念ではある。主人公が厳しい境遇にありながらたくましく生きていくことは素晴らしいことであるが、自分の乏しい経験からするともはや時代遅れと感じている。
20年以上も前になるが、自分がいた会社で統括部長がその年にが新入社員に訓示したことは「石の上にも三年という言葉があるが、今はそんなことはない」というものであった。去る者はとっととされ、自分のやり方についてくるものだけついてこい、と自分は理解したが当時会社の中でもプロジェクトがあまり思わしくない状況であり、目の前は誰が見ても泥船でありそれを立て直すことに運命づけられた新人ははっきりいってハズレくじを引いたとしかいいようがない。
話がズレて申し訳ないが、少子化の時代でこの本を読むことは自らの幸せを感じることになることに一見みえるが、成人のそのあとはとても明るいものとは思えない。作者はこのような時代になるとはとても想像しなかったろう。 -
吾一が今後どうなるのか続きが気になる。
昔読んだことがあり、読み返すつもりが違う本と勘違いしていたのかもしれなかった本。
運命に翻弄される不遇の少年の話と思って読み始めた。
ところが、吾一は、思っていたよりも、強い上昇志向(倍働いて出世する、色恋よりも仕事を優先)と未来を掴み取ろうとする意志の強さを持っており、実際は、不遇の運命に挑戦し続ける話であった。
一方で、無理して仕事をしても健康な吾一に対して、あっさり亡くなってしまった人間や、必死に吾一が身につけたスキルが変な方向に利用されるなど、頑張れば報われる話ではない。
まさしく人生など自分など路傍の石でないか、なんのために生きているのかと考えさせられる。
“いかに生きるでなく、いかにして生きるか、、のほうがおれたちのようなものにはもっと問題ではないのか。”
平成の終わりまできても未だに、後者のレベルで人類は生きている気がする。どうやって食べてくかでなく、どんな人生をどんな風に生きたいかをちゃんと答えられるようにならないとなと思う。 -
主人公の吾一と同年代である若いときに読むのもいいけれど、大人になって改めて読んだらまた、大人の登場人物の心情や日露戦争前後の社会の空気など、いろいろ違うものが見えて面白かった。
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2018.01.17
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つらいことを我慢して、我慢して…
読んでてつらかった。
苦労すればいつかそれが糧になる、的な考え方が、いかにも昭和的な一昔前のような印象。
でもそれぞれの登場人物の思考や言動がリアル。 -
明治時代の生活がよくわかる。ある意味吾一のサクセスストーリーとも読める。ペンを折るところで、どうしてこういう小説が統制を受けなければならなかったのか、昭和初期の軍国主義の理不尽さを体験することができる。
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小学生向けの問題集にちらほらと載っていてそれの吾一がかわいかったので全部読んでみたんだけども、思ったより吾一おっきかったし、かわいかったのは序盤だけで、ずーっとふんだりけったりなだけやった。ふんだりけったりな話は好きなはずなんやけども、それが少年ていうだけで何でこんなに痛々しくなるのか。
京造いいやつだな。次野先生もいい人やった。文学したい人間はああいうことが言えるのよね。 -
艱難は汝を玉とす。
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愛川吾一
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吾一の志に感服である。