風林火山 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063072

感想・レビュー・書評

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  • 武田信玄の天才軍師、山本勘助が主人公
    勘助が信玄に仕える場面〜川中島の合戦の途中(途中な理由は読めばわかります)までの歴史物語

    勘助の成りは異形が理由で今川義元に召し抱えようとされなかったほど…
    色黒で背が低く眼はすがめでちんば、指も1本ない
    知恵だけが彼の人生を支えた
    永く浪人だったがその知恵を活かし、武田晴信(信玄)の仕官となる
    晴信はそんな異形の勘助を気に入る
    常に孤独で人から疎まれてきた勘助
    勘助自身も人を人とも思わない非人情な男だった
    しかし自分を召し抱えてくれた晴信だけはこの世で唯一好感を持った
    いつしか晴信のためなれ命も惜しくないと思うように…
    晴信もまた、勘助に信頼を寄せ、周りからどれだけ非難されようとも彼の能力をかっていた

    勘助の印象が読み進めるうちにどんどん変わっていく
    皆に嫌われ、人と関わらないよう暮らしながらも、生きるためなら人を踏み台にしても平気だったまるで害虫のように生きていた勘助が、いつの間にか策士、軍師となり、晴信に信頼されなくてはならない人物に
    そして晴信と由布姫を愛しみ、二人の子である勝頼の初陣を夢見る人物へと静かに変貌を遂げる

    途中から勘助ジジイがめちゃくちゃ格好いいキレ者になるのだ!光る!眩しいっ!

    その反面、滑稽な人間臭さも溢れ出す
    由布姫の気高さに圧倒され、すぐ言いなりになっちゃうし、由布姫のために斬ろうとした於琴姫の立派な態度と人柄にほだされて、お守りします!なーんて言っちゃうし…
    晴信の出来心のせいで振り回されてるのに晴信を憎めないし…
    あんなに人嫌いだったのが嘘のように皆んなを愛してしまって右往左往してしまう勘助ジジイが何だか可愛らしい
    井上靖の手にかかると各人物に磨きがかかるのか非常にそれぞれが魅力的である
    晴信(信玄)も想像以上に柔らかくキレものながらに温かい人物像であった
    由布姫は最高にいい女だ
    己の運命を受け止めつつも最後まで気高く自分を曲げない

    そしてもちろん軍記物らしさも満載である
    戦略や合戦は読んでいて鳥肌が立ってしまう
    合戦場面も簡潔にし過ぎると迫力に欠ける、そして深追いし過ぎると読み手に緊張感がなくなる
    本書は大小様々の合戦描写があるが、この匙加減も見事であった

    そう一言で陳腐に言うと単に面白いのです!

    やっぱり井上靖って凄いなぁ
    押し付けがましくなく、変な小細工なく、自然体で引き算がうまい
    何より最高に居心地が良い
    静かな興奮がたまらない!

    まだ「天平の甍」しか読んでいないが、こちらを読んだ時に間違いなく好きなタイプの作家だと大喜びしたものだ
    2冊目読んだときに印象が変わったら…と不安だったが、まったく良い意味で期待外れ
    好みの作家に出会えた人生の喜びを噛み締めております
    まだまだたくさん読む作品があるので楽しみである

    • 地球っこさん
      そうだ、そうだ、「額田女王」も気になります。

      わたしは井上靖をnejidonさんに教えてもらったんです。

      いったん読み終わると満足して、...
      そうだ、そうだ、「額田女王」も気になります。

      わたしは井上靖をnejidonさんに教えてもらったんです。

      いったん読み終わると満足して、しばらくいいやと思うんですけど、こうやってレビューにあがったりすると、なんでか読みたくて仕方なくなる作家さんなんです。
      と、いってもまだ「天平の甍」と「星と祭」と「しろばんば」の三作しか読めてません……

      井上靖は、生涯かけてゆっくり読んでいきたい作家さんです(*^^*)
      2022/06/04
    • ハイジさん
      生涯かけてゆっくり…
      なんかわかる気がします
      派手さはないけど静かに心を掴まれますね

      天平の甍ではわからなかったのですが、風林火山を読むと...
      生涯かけてゆっくり…
      なんかわかる気がします
      派手さはないけど静かに心を掴まれますね

      天平の甍ではわからなかったのですが、風林火山を読むと女性(姫君)たちの描写が憎いくらいに良いのです(笑)
      そこから額田女王なんか面白いんじゃないかと…
      なんとなくですけど、地球っこさんもお好きな気がします!
      2022/06/04
    • 地球っこさん
      それは素敵な情報をありがとうございます!

      確かにわたしが今まで読んだものは、あまり女性が表だって出てくるものではありませんでした。

      次読...
      それは素敵な情報をありがとうございます!

      確かにわたしが今まで読んだものは、あまり女性が表だって出てくるものではありませんでした。

      次読むときは「額田女王」からいきたいと思います。
      2022/06/04
  • ちょっと私には読み進めるのが難しかったです。
    勘助の気持ちもよく理解できなかったし…
    情景もなかなか思い描けなかったです。

  • 「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」

    初読は確か高校生の頃にたまたま自宅にあった新書版?にて。
    今年はCSでずっと内野聖陽の大河ドラマ「風林火山」を観ていたので、原作も読んでみようと思い、再読してみました。
    ドラマを観ていた時は、かなり原作とは違っているのではないかという思いがなぜか強かったのですが、改めて原作を読んでみると、割とシーンやセリフも引き継がれていたんだなと。(笑)
    武田信玄の軍師・山本勘助を主人公にした戦国時代活劇で、信玄や側室の由布姫に盲従し人生を捧げる勘助がいとおしい。(笑)おそらく時代考証はむちゃくちゃなような気がしますが(笑)、そんなことは瑣末なことと思えるほど繊細な描写と躍動感ある筆致で、一気に読了しました。
    時代活劇とはいえ由布姫のアンビバレントな心情はもっと掘り下げないと、主人公の勘助との距離感にも関わることなので、ついていくのに戸惑ってしまう。(笑)終局に向かう盛り上がりは凄い。

  • 【シブかっこいい隻眼の軍師】

    山本勘助。
    風采の上がらぬ見た目。
    序盤から登場するも怪しさ満点。
    むしろ怪しさしかない。
    それがまさかこの人目線で進んでいくとは。
    だけど読み進めていくうちに
    意外なことに愛着が湧いてくる不思議。
    忠誠を誓った人にひたすらに愛を注いでいく人物像。
    感覚的で、説明のつかない愛情にどこか惹かれるものがあった。

    気になる武将に関わる小説を読み始めたけど
    次は趣向を変えて応仁の乱あたりから攻めてみようかな〜

  • 軍師の視点で武田信玄を描いているのは新鮮。ただ、愛とか憧れとかの感情に重きを置いた作品なので、群雄割拠な様相を求めている私には合わなかった。

  • 戦国の名武将の影に天才軍師の存在あり。大河を見ていなかったので存在は知ってはいたが読むのは初めて。
    その策略センスは、やはり持って生まれたものなのでしょうと言う事が、信玄の信頼を寄せる様子からよくわかる。各登場人物の感情表現巧みでそれぞれの個性が良く表れていた。由布姫の感情の激しさやそこに惹かれる勘助の心情と言った場面はこの物語の面白さの一つでしょう。
    勘助の最期のシーンは、臨場感あり、映像的で迫力ある印象的なものでした。

  • 1回より2回。読むごとに深みが増す不思議な魅力。

  • 相当前に買ってもらった本を再読。最初に読んだのは小学生の頃で、何も覚えてないので実質初読なのだが…
    歴史小説は司馬遼太郎ばかり読んでいたのと、最近は大河小説が続いていたので、シンプルかつスッキリとした印象。ひたすら戦をするというよりはヒロインも出てくるし、恋焦がれるような?心理描写もある。短いもののコンテンツが盛りだくさんだった。

    解説は古いこともあってやや蛇足感が出てしまったか。歴史小説は素晴らしいジャンルだと思ってやまない

  • 武田信玄に関する本を探していてこの本に。信玄の側近を中心とした物語。信玄自身には間接的にしか触れられていないけど、小説としては読みやすかった。

  • まあ まあ

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著者プロフィール

井上 靖 (1907~1991)
北海道旭川生まれ。京都帝国大学を卒業後、大阪毎日新聞社に入社。1949(昭和24)年、小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。1951年に退社して以降、「天平の甍」で芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」で日本文学大賞(1969年)、「孔子」で野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章。現代小説、歴史小説、随筆、紀行、詩集など、創作は多岐に及び、次々と名作を産み出す。1971(昭和46)年から、約1年間にわたり、朝日新聞紙面上で連載された『星と祭』の舞台となった滋賀県湖北地域には、連載終了後も度々訪れ、仏像を守る人たちと交流を深めた。長浜市立高月図書館には「井上靖記念室」が設けられ、今も多くの人が訪れている。

「2019年 『星と祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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