夜の声 (新潮文庫 い 7-25)

著者 :
  • 新潮社
3.25
  • (0)
  • (2)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 17
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101063256

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ――結構衝撃でした、この本。 「ある夜主人公は、夢の中で人間の愚かさと自分に課せられた使命を神

    から告げられる。翌朝主人公は、使命感にかき立てられ、孫娘と一人の女性を連れて街を飛び出す」井上

    靖さんはどんな気持ちでこの作品を書いたんでしょうね。相変わらず文体が新鮮です。 前半は読んでて

    ちょっと憂鬱でした。人間がどんなに愚かで無責任な生き物か。そんなことばっかりなんですもん。事実

    ですけど。 でもそれだけじゃない。ここにいる孫娘のように、美しいものを美しいと感じる心を持った

    人間がいるじゃないか。 そういうことに、徐々に主人公は気付いていくんですね。 まったく自分を振

    り返らずにはいられませんでした。どうだろう。自分は濁った考え方をしていないだろうか。 読み終わ

    ってもまだ小説の中にいる感じで、しばらくそんな事を考えてました。でも結局はっきりした答えは出ま

    せんでしたけど。 重い内容なのに、ここまで清々しく書ききってしまう井上靖さん、凄いと思います。

    人の愚かさと美しさ、両方を感じさせてくれる素晴らしい作品。ありがとうございました――

全1件中 1 - 1件を表示

プロフィール

北海道旭川で生まれた井上靖(1907~1991)は、天城湯ヶ島、三島・沼津で18歳まで過ごしました。伊豆の地が『しろばんば』『夏草冬濤(なつぐさふゆなみ)』、洪作少年を誕生させました。沼津中学(現・沼津東高校)時代には、文学へ目覚めるきっかけとなる友人たちと出会い、金沢の四高(しこう)で詩作を始め、京都帝国大学を卒業後大阪毎日新聞社に入社。小説『闘牛』で第22回芥川賞受賞、文壇へは1950(昭和25)年43歳デビュー。現代小説、歴史小説、エッセイ、自伝的小説、シルクロード西域関連の作品、詩集など創作、その軌跡は「山脈」と讃えられます。人間の本質を優しくとらえた井上文学、時を超えて愛されつづけています。

夜の声 (新潮文庫 い 7-25)のその他の作品

夜の声(新潮文庫) Kindle版 夜の声(新潮文庫) 井上靖

井上靖の作品

ツイートする