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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101063256
感想・レビュー・書評
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――結構衝撃でした、この本。 「ある夜主人公は、夢の中で人間の愚かさと自分に課せられた使命を神
から告げられる。翌朝主人公は、使命感にかき立てられ、孫娘と一人の女性を連れて街を飛び出す」井上
靖さんはどんな気持ちでこの作品を書いたんでしょうね。相変わらず文体が新鮮です。 前半は読んでて
ちょっと憂鬱でした。人間がどんなに愚かで無責任な生き物か。そんなことばっかりなんですもん。事実
ですけど。 でもそれだけじゃない。ここにいる孫娘のように、美しいものを美しいと感じる心を持った
人間がいるじゃないか。 そういうことに、徐々に主人公は気付いていくんですね。 まったく自分を振
り返らずにはいられませんでした。どうだろう。自分は濁った考え方をしていないだろうか。 読み終わ
ってもまだ小説の中にいる感じで、しばらくそんな事を考えてました。でも結局はっきりした答えは出ま
せんでしたけど。 重い内容なのに、ここまで清々しく書ききってしまう井上靖さん、凄いと思います。
人の愚かさと美しさ、両方を感じさせてくれる素晴らしい作品。ありがとうございました――
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