リツ子その愛・その死 (新潮文庫 た 5-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (625ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101064055

感想・レビュー・書評

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  • 名作なのに今は売ってないのではないかな・・・病気の人間を抱える家族の葛藤が凄い、泣ける

  • 私のなかの、「勝手に檀一雄シリーズ」最終章。『火宅の人』より何より、一番、よかった。檀一雄その人のことを、一番身近に感じたような一冊だった。紡がれてく言葉、文章も一番率直で丁寧で、美しかった。最初の奥さんとの、生きるための壮絶な闘い、生活。子どもの天真爛漫さに(読者も)救われるひととき。リツ子さんの臨終のシーンやそのときの檀の心の葛藤の描写は激しく重く、顔をしかめずには読めなかった。ゴゴゴ、と何か強い力に胸のあたりを押される感じ。リツ子の死後も檀は素直に自分の溢れでくる感情に従う。正直であることの残酷さ。そんなふうにしてしか生きられない性(さが)を背負って生きていく著者の決意がみえたような気がした。

    時代、環境、いろいろあるけど、なんか、濃く生きるのっていいな。

  • チチー、ハハーという声が頭に浮かんでくる。 記憶が間違っていなければ、確か映画化されていて今井美紀がリツ子だったと思う。映画の中で病んでいく彼女がまた美しく切なかった。

  • 小説家・壇一雄と妻リツ子、息子太郎との生活を綴る。戦時中、妻と息子を日本において取材のためと称して内地へ行ったり、思うがままの生活を送る。肺結核にかかり寝たきりとなった妻の看護生活。

    はーなんともすごい話だった。わがままなのに献身的で哀切に満ちた話。太郎のかわいい振る舞い、言葉が救い。「なーん?ん、なーん」「大きくなってチチになって御飯タキタキする」

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著者プロフィール

1912年、山梨県生まれ。東京帝国大学経済学部在学中に処女作『此家の性格』を発表。50年『真説石川五右衛門』で直木賞受賞。最後の無頼派といわれた。文壇きっての料理通としても有名。主な著作に、律子夫人の没後に執筆した『リツコ その愛』『リツコ その死』のほか、『火宅の人』『檀流クッキング』など。1976年死去。

「2016年 『太宰と安吾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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