永遠の都〈1〉夏の海辺 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101067070

作品紹介・あらすじ

元海軍軍医の時田利平は、大正2年、三田綱町に開業。外科医の名声と妻菊江の実務で、時田病院は驚異的に拡張している。昭和10年、利平の長女で3人の男児の母親の初江は一高生の甥と密通し、次女夏江は陸軍中尉・脇敬助との結婚を諦めた…。著者のライフワークである『岐路』『小暗い森』『炎都』の三部作を『永遠の都』という総タイトルで刊行する文庫版(全七巻)。

感想・レビュー・書評

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  • 本作は、1つのクロニクルなのだけれど、それは
    日本という小さな国の、それも僅かな時間を
    切り取って見せたに過ぎないし、この時代に
    生きた人物群として、これは多数派では無い。
    物語は2・26事件の少し前から、太平洋戦争の
    終わり迄を中心に、明治期に軍医、その後に開業医
    として活動した時田利平を中心として、その血族、
    縁戚関係を主として描いている。文庫にして7巻
    という長大な物語を読み進める原動力は、この利平
    という人物のキャラクターに負う所が大きいと感じる
    のだけれど、如何にも明治の人であり、この人物は
    面白い。それは喜劇的な意味でもあるが、1人の
    人間として興味深いという意味でも面白い。
    そうして取り巻く人物達にも、数々のドラマがあって、
    飽く事は無く、また少しミステリの手法を用いたり
    する事で、物語としては盛り上がりを見せる。
    ドラマは問題提起と一体であって、その問題は
    永劫人間に付き纏うものなのかも知れない。
    結婚、宗教、恋愛、国家、戦争・・。
    本書によって、その解答が得られるわけでは無く、
    時代の変遷を持ってしても、人間というのは、
    何時までも同じ問題を抱えている、案外、愚昧な
    動物なのかも知れないという、シニカルな感想を
    持ってしまった。

    余談ながら、登場人物毎に1つの物事を語らせたりする点は
    手法としては良いのだけれど、物語を読み進めると
    いう点では重複もあって煩わしく感じた部分も
    あった。

  • 02.6.9

  • おはようございます【005】です。
    気がついたら朝でした。。。

    長編小説を読む歓びを堪能してます。



    時は昭和10年.。
    大きな病院を経営する父を持つ初江。
    好きでも嫌いでもない小暮悠次のもとに嫁ぎ3人の子供を育てながら年を重ねるごとに夫に失望してゆく日々の中、義理の甥(悠次の姉の息子)である一高の生徒晋助と恋愛関係になる。
    文学と音楽を好む明るく快活な晋助は居丈高な態度の軍人を嫌っている。
    晋助の兄であり、士官学校出身の陸軍中尉である敬介は初江の妹の夏江に好意を抱きプロポーズする。
    夫の愛人の存在に苦しむ母菊江と精神的に幼い夫悠次に神経をすり減らす姉初江を見ながら、結婚が女性を幸せにはしないと考えている夏江は敬介の好意に接し心が揺れる。
    初江と夏江の父時平の片腕である医者の中林も夏江にプロポーズをするが時平はあまり乗り気ではない。

    1巻は海軍軍医出身で現在は大きな病院の院長である時平とその長女である初江を中心に語られていきます。

    もうあっちも、こっちも、そっちも気になる人間関係が!!

    長編小説で文庫本にして7巻もあるのでとりあえずと今回は1巻のみ購入したけれど、さっそく今日続きを買ってくる!

    • team-idaさん
      うおぉお〜何か魅力的なstory展開だな・・・。時代や世代を超えて続く人々の物語ってチョー好き。人間関係って複雑になればなる程、頭ボンバーに...
      うおぉお〜何か魅力的なstory展開だな・・・。時代や世代を超えて続く人々の物語ってチョー好き。人間関係って複雑になればなる程、頭ボンバーになるけど興味深いのだよね。私はこの本は読んだ事がないので、是非久々この手のsoryにどっぷり浸かるのもヨシだな!
      似たよな感ぢで、私が●十年前にはまった小説がありやす。黒岩重吾の「さらば星座」第一部から第五部の完結編まで、計13冊。(←兄から引き継いだ?引き継がされた・・・?)【005】にはチョイ申し訳ないんだけど、ラストに向かう話で(いわゆる“現在”に近付いてくる)私はチョイ物足りず〜な不完全燃焼に陥りかけたので、この手のstoryのラスト部が非常に気になるところの【004】ではありんした。
      でも読んでみたい気がするのだ(^^;
      「さらば星座」気になるよならおかしいたす☆
      2009/06/28
    • team-idaさん
      【005】です。

      「さらば星座」初めて知った。
      けど13巻とは・・・長いね・・・。
      とりあえず今読んでいる「永遠の都」が読み終わっ...
      【005】です。

      「さらば星座」初めて知った。
      けど13巻とは・・・長いね・・・。
      とりあえず今読んでいる「永遠の都」が読み終わった時に考えてみるね。
      ありがとう。

      「永遠の都」もラストどうなるんだろ・・・。
      私は昭和初期とか士官学校とか陸軍とか海軍とか・・・要するに昭和の軍人モノに弱いので加賀乙彦さんの作品は前々からそのあたりの匂いがプンプンしてたので気になっててん。
      作家本人が士官学校出身ってあるから俄然リアリティーが増すってもんだよね。
      2009/07/04
  • 文庫本は全7巻。
    戦後の日本。
    薄暗い時代だったけどパワーがあった、ねちっこいけどあったかい人々の物語。

  • 全7巻で読み応えがあります。ちょっと男女問題とかが多いけど、でも戦前、戦時中、戦後を通しての人々の生活や社会、政府がよく分かります。個人的には二・二六事件の部分、若い将校のシーンが泣けました。

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著者プロフィール

加賀 乙彦(かが おとひこ)
1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務のかたわら、小説の執筆を始める。『フランドルの冬』で芸術選奨文部大臣新人賞、『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、『宣告』で日本文学大賞、『湿原』で大佛次郎賞、自伝的小説『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞、自伝的大河小説『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞している。その他の著書に、『錨のない船』『不幸な国の幸福論』など多数ある。
近年は、殉教者を描く歴史小説『ザビエルとその弟子』、ペトロ岐部の生涯を描いた『殉教者』などを発表。

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