宣告 下 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101067162

感想・レビュー・書評

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  • 刑務所の中の死刑囚と看守、監獄医の日常を描き方だけでもすごいリアリティでせまってくるが、そこから死刑制度、人の生き死にについてまで広がっていく。私は死刑囚ではないが、死を受け入れるという意味では、死が明確に見えているか、遠くにぼんやり見えているか、の違いでしかない。哲学的な議論が問答で進んでいくのは王道で、そこだけ小説とは少し毛色が変わるが、個人的には、死刑囚が事件を起こすまでの半生を追っていく文章のボリュームがよかった、もっとあってもいいくらい。小説の醍醐味は、人生を描くところなんだなぁと、改めて思った。

    • nasunonasuoさん
      これはちょっと面白そうな題材だね、おれも読んでみたい。そこの境地ってすごく覗いてみたくなる。
      これはちょっと面白そうな題材だね、おれも読んでみたい。そこの境地ってすごく覗いてみたくなる。
      2017/08/28

  • なんという壮大な死刑監獄の物語だろう。
    死刑について、その監獄についてわたしは何も知らなかった。分かろうとも思わなかった。まるでそこに存在していないものだった。そこには人間の生と死が最も純粋に存在する。壮絶な葛藤がある。

    この物語はいつ起こるかわからないが確実に近い将来の死、という特殊な状態の人間のライフスタイルを描く。それがとても生々しくリアルで、時にそこにいるような錯覚に陥る。下巻は、他家雄と恵津子との文通内容があり、読むうちにまるで自分が監獄にいるような気持ちになっていた。彼の文体は今までの印象とは全く違い、柔らかく優しく子供のような茶目っ気を持つ。最初はなにか嘘くさく思えたが、読み進めるうちにそれもまた彼の本心で彼自身であり、母親への嫌悪が愛に変わったことも伺えた。

    1ページづつ進めていくうちに、鼓動が早くなるのが分かる。なにか犯してはいけない罪を行う感じに似ている。もう戻れないのだと思い焦る感覚。何か重要なことを見落とすのではないかとずっと目が離せない。時が流れるのが早く、しかし凝縮された時間がそこにあった。

    わたしたちは、何か大切なものを忘れて生きているのかもしれないと思う。知らないことが多すぎる。この小説はそんなことを気づかせてくれる。

  • 垣内(死刑囚)の独白から、
    その後主人公の楠本が死刑執行を告げられてからの、楠本の日誌(手紙?)や精神医の近木の思い…最終的な執行の様子が描かれている下巻となります。

    作者が死刑廃止論者と知っていてこちらを読みつつ、
    尚、死刑は必要とは思っていますが、
    色々な人に読んで欲しい書だと思った。

  • 死刑制度は、執行までの定めのない刑期により、死刑囚に甚大なる精神的拷問を与えるもの。もって、被害者とその家族等の限りない無念をいくらかでも払うもの。いや、刑罰が何より犯罪の抑止を求めるなら、一義的に国民すべてに対し、非情なる殺人を犯した末の恐怖を与えんとするものか。

  • 上、中、下巻と大作でした。途中飽きてしまったところもあったが、読み終えた後は読んで良かったと思った。
    死刑囚の心情のみならず、この国の死刑制度、精神医学、宗教観など盛り沢山。

  • 死刑制度というものをあらためて考えさせられた。

  • 面白い。坂口安吾の『堕落論』みたいになってきました。
    まだ、中・下巻ありますので、大事に読みます。

  • 全3巻、長かった。上巻のレビューに書いたように、 http://booklog.jp/users/pn11/archives/1/4101067147
    中島義道の本を読んで読むことに決め、4年経った。と言ってもほぼずっと積読状態だったので、今年の正月から2ヶ月かけて読んだ。

    感想はまたのちほど。

  • ついに読み終わった。精神科医の視点からだったり、主人公の死刑囚の視点だったり、書簡続きだったりと私にとっては全く飽きずに最後まで読めた。拘禁が引き起こす心理への影響…ガンゼル症状群、拘禁性被害妄想、キリスト教信仰との関係、、、いろんなことが興味深かった。この作者が死刑反対論者だということを念頭に置いたとしても・・・なんだかこれを読まずにいたことが少し恥ずかしいとさえ思えた。

  • 上・中におなじ。

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著者プロフィール

加賀 乙彦(かが おとひこ)
1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務のかたわら、小説の執筆を始める。『フランドルの冬』で芸術選奨文部大臣新人賞、『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、『宣告』で日本文学大賞、『湿原』で大佛次郎賞、自伝的小説『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞、自伝的大河小説『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞している。その他の著書に、『錨のない船』『不幸な国の幸福論』など多数ある。
近年は、殉教者を描く歴史小説『ザビエルとその弟子』、ペトロ岐部の生涯を描いた『殉教者』などを発表。

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