見知らぬ町にて (新潮文庫)

  • 新潮社 (1977年7月1日発売)
3.25
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784101068077

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編九作品を収録しています。

    「ある晩年」は、弁護士のエリク・ファン・スターデンの晩年を、一人の男が物語るという話です。親しく交際していた女優のマグダレーナの息子が、不幸な事故で命を落とし、マグダレーナ本人も精神を病み、ファン・スターデンの晩年に人生観の動揺がもたらされたことがえがかれます。

    「空の王座」は、シリアで遺跡の発掘調査をおこなっている南村という研究者の秘められた心のうちが明かされる物語です。実証性を重んずる南村の「空の王座」に対する思いの背景には、学生時代にアンヌ・マリという女子学生と、友人の田原の妹の二人の女性と出会いがありました。

    「影」は、会社の上司のために下請け企業に無理な条件で仕事を引き受けさせる多田という男をえがいた作品です。清水一行のビジネス小説などでとりあげられがちな題材ですが、戦時中の彼の兵隊としての振る舞いと、戦後における企業戦士としての振る舞いとのあいだの本質的なつながりに気づいたことで、多田の心が壊れていった様がたどられています。

  • とても気に入ってしまった
    奈良も舞台となっていて驚いたよね

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

作家。1925年、東京生まれ。57年から61年までフランスに留学。63年、『廻廊にて』で近代文学賞を受賞。こののち、『安土往還記』『天草の雅歌』『背教者ユリアヌス』など、歴史小説をつぎつぎと発表。95年には『西行花伝』により谷崎潤一郎賞を受賞。人物の心情を清明な文体で描く長編を数多く著す一方で、『ある生涯の七つの場所』『楽興の時十二章』『十二の肖像画による十二の物語』など連作短編も得意とした。1999年没。

「2014年 『DVD&BOOK 愛蔵版 花のレクイエム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻邦生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×