ぶらんこ乗り (新潮文庫)

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レビュー : 885
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069210

感想・レビュー・書評

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  • たまらない。
    この雰囲気。

    賢くて
    動物と話ができて
    ブランコ乗りと指を鳴らすのが、誰より得意な男の子。

    そんな弟を持った、一人の女の子の物語。


    どうしよう。
    上手く言葉にできません。

    ぶらんこ、サーカス、夜の散歩
    絵はがき、夜ふかし、犬の掲示板

    この言葉が気になった人には
    とにかく、読んでみて欲しい。

  • 「ちょうどいい引力」
    いしいしんじさんの作品のリズムというのは、最初はものすごく独特で読みづらくわたしには感じられました。
    しかし、読み続けているうちに、とても心地よく心に馴染んで物語に引き込ませてくれる。そういう印象を受けます。

    そして、はっきりとしたメッセージが織り込まれていて、ダイレクトに胸を打たれたように感じました。

    ぶらんこ乗り、赤いつけ鼻、たくさんの物語、すべてのものが語る声にならないふるえ。

    ここはとても、とても、いいところ。

    ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ。

  • 久々に読んで、やっぱりこの人は天才だ!と思った。

    すごく優しいのに、すごく冷静で客観的。

    明らかにフィクションの、「ものがたり」なのに、
    非常に現実的に、ものごとを描き出す。

    月と地球がほどよい引力で引きつけ合っているように、
    人と人とも、それぞれがそれぞれの引力で引き合う。

    --------------
    「わたしたちはずっと手をにぎってることはできませんのね」
    「ぶらんこのりだからな」
    だんなさんはからだをしならせながらいった。
    「ずっとゆれているのがうんめいさ。けどどうだい、すこしだけでもこうして」
    と手をにぎり、またはなれながら、
    「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」
    ひとばんじゅう、ぶらんこはくりかえしくりかえしいききした。あrしがやんで、どうぶつたちがしずかにねむったあとも、ふたりのぶらんこのりはまっくらやみのなかでなんども手をにぎりあっていた。
    -------------(146頁)

    人間が人と関わりながらいきていくということの、
    それだけで生まれる哀しさ、喜び。

    ときに残酷な面も示しながら、つよくやさしく生きていくことを教えてくれる小説。

  • 家族(飼い犬も含めて)の愛情に満ちた、美しいお話でした。
    引力っていい言葉だ。ちょうどいい距離で、お互い支え合っているような感じがする。
    いしいさんて、こんなおはなし書く人だったんだ。ちょっと不思議だけど、すごく惹きつけられます。

  • 誕生日プレゼントに貰った本で
    なんて日本語ってすごいんだろうって思った。

    ひらがなの魅力についてこんなに衝撃をうけるとは!

    優しい雰囲気
    危なげな空気感
    じわりじわりと感覚で自分に落ちていく感じ。

    ああ、なんだか不思議。
    『ぼく』の気持ちがリアルに見えるみたい。
    風景もまるで本当に見えているかのよう。

    読んでいるけれど感じているという
    不思議な感覚に陥った一冊。
    トリップしたのだ、きっと。

  • 自己で声をうしない、動物たちのことばを理解することができるようになった弟と、彼ののこしたノートに記されているいくつもの物語をたどる姉をえがいた作品です。

    著者はしばしば「物語作家」ということばで紹介されていますが、本書でも物語の美しさにひたる歓びを読者にあたえてくれますが、それだけではなく、いろいろな読み方に開かれている小説です。

    本書では、死んでしまった弟ののこしたノートを姉が受け取ることからはじまります。そこに記されている物語は、弟が動物の語る声に耳を傾け、聞き取ったものとされています。そして本書の終わりのほうでは、飛行機の事故に遭いもはやこの世にはいなくはずの両親からの手紙が届けられます。これらのことから明瞭にうかがえるように、本作はメタ物語的なモティーフを含み込んでいる小説だといえるでしょう。

    いうまでもなく、ミステリにおいてこうしたメタフィクショナルなモティーフは自覚的に追及されてきました。しかし、それらの試みは袋小路に入り込んでしまっているように思えます。佐藤友哉までもが民俗学的な想像力に「物語」を開放する可能性を求めたのは、個人的にはこうした主題からの明らかな後退であるように思えます。

    これに対して本作は、「他者」や「異界」からの呼びかけを聞き取ることに物語の「起源」を求めようとしてはいないということができるでしょう。たしかにそれらの物語は、動物や死者、エクリチュールなどのかたちで姉のもとに届けられているのですが、「他者」や「異界」へと遡行するわれわれの試みは、それらの物語が相互に嵌入しあうような作品世界のなかに巻き込まれていくことになります。

  • 素朴。表層だけしか受け取れていない感じがして、わたしにはあまり合わなかった。

  • 何故だか心に突き刺さる…
    誰よりもぶらんこが上手だった弟、こちら側とあちら側を行ったり来たりしていた弟、誰よりも賢くて特別でお姉ちゃんが大好きで、ずっと孤独だった弟

  • 弟の書く文章が本当に独特。
    小学校低学年という設定のため、ひらがなが多くうまい日本語ではないが
    心温まる話や、怖さを感じる話になっている。
    直接書かないのに弟が姉、父親が母親を、指の音が人間を大好きなこと
    が痛いほど伝わってくるのは上手い。

  • ずっとゆれているのがうんめいさ。けどどうだい、すこしだけでもこうして
    おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ

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著者プロフィール

いしいしんじ
1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。
2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、
16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。
そのほか『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『四とそれ以上の国』『海と山のピアノ』など著書多数。
趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2019年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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