- 本 ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101069234
作品紹介・あらすじ
感想・レビュー・書評
-
マリモさんのレビューを読んで。
ステキなラブストーリーでした。
お話の初めは、ジュゼッペが何かに夢中になる様が面白おかしく書き綴られていて、街のみんなと一緒に読者も、ジュゼッペのことを半ば呆れて見ているのではないかと思います。
ペチカに恋をしてから、今まで夢中になってきた数々のこと、オペラ、三段跳び、サングラス集めetc.がなぜか役に立って、『え?“ベストキッド“の車にワックスがけしてただけでいつの間にか空手が強くなっちゃうやつ?』(←伝わってますか?)的な感じでますますププッと面白くなってきます。
でも、後半はもう切なくて切なくて、ジュゼッペの友だちのハツカネズミと同じく、『ジュゼッペ!違う!そんなの間違ってる!』と叫びたくなってしまいました。
でもそれは間違っているんじゃなく、私にはジュゼッペのようなそんな真っ直ぐな愛し方ができないだけなんでしょうね。
相手が笑顔になってくれることだけを考えて、どこまでも自分を犠牲にする。そんなジュゼッペの姿に胸が引きちぎられそうになります。
なんだかおとぎ話のようなお話で、昔ハマってよく観ていた野島伸司のドラマの世界観に似ているなぁと思いながら読みました。
とてもとても切ないラブストーリーでした。
マリモさん、素晴らしい本に出逢わせていただきありがとうございます!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一万円選書の紹介本です。
トリツカレ男のジュゼッペ。夢中になると寝ても覚めても、仕事中も夢中。やるときは、とことんやる。度を越してしまうジュゼッペだけど、周りの皆はそんな彼が大好きで受け入れている。
最初から最後まで、わくわくしぱなっしです。
子供にも大人にもおすすめの一冊です -
あぁ……涙がとまらない。。。
『トリツカレ男』
この本の表紙を初めて見たとき
〈ホラー〉かぁ…って思ったの。
だって怖いでしょ…表紙。
食わず嫌い的に苦手なもんだから…
それが全然違ってて…
100%ピュアなラブ・ストーリー❤️
ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。
何かに夢中になると、
寝ても覚めてもそればかり。
オペラ、三段跳び、サングラス集め、ハツカネズミ……他にもいっぱい!!
そんな彼が、寒い国からやって来た…
「ペチカちゃん」に恋をする物語。
第6章からなるこのお話…
第3章の「タタン」あたりから…
私の脳内に「クリープハイプ」の
「愛す」が流れて消えないの。
頭の中の音楽とジュゼッペとペチカちゃん
…もう、やられました。。。
頭の中の音楽は…
まぁ…しょうがない。
『トリツカレ男』
ひさしぶりにピュア♡…な気分に
なった1冊でした♪
-
いやぁ〜もう
大好きな小説です。
コレ何回読んだかなぁ〜♪
みんなから
「トリツカレ男」ってあだなで呼ばれているジュゼッペ。
次々となにかにとりつかれて
その道を極めていく困った性分。
オペラに三段跳びに
探偵に昆虫採集に
外国語にカメラ集めに潮干狩りに
ハツカネズミの飼育、
心の赴くままに
ただ好きなことを
本気でやり抜くだけ。
そんな彼が風船売りの少女ペチカに
恋をした。
果たして
悲しみに凍てついた彼女の心を
トリツカレ男はあたためることができるのか…
という
ウルトラミラクル
ラブストーリー。
童話的で無国籍情緒溢れる物語の中に
教えられたことが沢山あります。
トリツカレ男となり
その都度得てきた能力をフルに活用して、
ペチカのために
西に東に奔走するジュゼッペ。
彼を動かす原動力となるのは、
好きな人をただ救いたいという気持ちだけ。
結局人の心を揺り動かすのは
打算や計算じゃなく、
愚直で不器用なまでの生き方や
『好き』だからこその行動力なんだろうな。
しかし、こんなカッコいい男がいたら、ペチカでなくとも
メロメロになっちゃいますよね(笑)
焼きたてのパンを割ったときの
綿菓子みたいな湯気が好きだと言う
風船売りのペチカ嬢の
キャラがまたいいんですよ(笑)
他にも
ジュゼッペの親友で
人間の言葉が分かるハツカネズミや、
マフィアのボスで
昆虫の標本マニアの
ツイスト親分、
ジュゼッペが働く
優しいレストランの主人、
ぜんそくの病を持つペチカのママなど、
魅力的で温かい登場人物たちが
物語に色を添えます。
人を好きになるということは
誰かの心に種を蒔くこと。
その種はやがて芽吹き、
実をつける。
新たな種は、
今度は別の人の心に蒔かれて
想いは繋がっていく。
たとえ想いが叶わなくても、
今は花は咲かなくても、
たった一人の理解者に出会えたなら、
その気持ちを伝えなくちゃ。
今自分ができる
全力を尽くさなくちゃ。
『一期一会』とは、
そういうことなんだろうな(^_^)
カッコいい男をお探しのアナタ、
今現在恋している人、
夢を追いかけている人、
必読ですよ(笑) -
何かに夢中になるとそのことばかりにとりつかれてしまう「トリツカレ男」、ジュゼッペ。オペラ、三段跳び、探偵ごっこ。あらゆるものにとりつかれるジュゼッペが突然とりつかれたのは公園で風船を売る異国の少女、ペチカだった。
相棒のハツカネズミの奮闘により、ペチカとの仲を深めていくジュゼッペだが、ペチカはジュゼッペの知らない大きな哀しみを抱えていたのだった。
やわらかい言葉で紡がれたとても優しい物語だが、根底に流れる孤独や喪失の哀しみが奥行きを与えている。泥水を攪拌した後の透き通った上澄みのような印象を与える物語だ。
ジュゼッペの家族については一切語られないが、人と同じように生きられない彼は、これまでの人生の中で孤独を感じることが多かったのではないかと想像できる。ジュゼッペの相棒であるハツカネズミも家族に捨てられた身だ。そんな二人(一人と一匹)が、異国の地で必死に生きるペチカの心の哀しみに気づき、力になろうと奮闘するのは、同じ哀しみを経験している者ならではの優しさである。
一見子供向けのおとぎ話のようだが、根底に流れる哀しみとそれを経た優しさは、さまざまな経験を重ねた大人であればなおいっそう深く感じることができるのではないだろうか。そして皆が幸せになる物語のラストは、優しい者たちに対する著者からの贈り物ではないかと思う。 -
トリツカレ男,ジュゼッペ。
風船売りペチカに恋をした。
相棒のハツカネズミの言葉"何かに本気で取り憑かれる事はムダじゃない。"は本当だと感じた。純粋な彼の行動に胸が熱くなる。 -
トリツカレ男はとりつかれたら全力。
そんなジョゼッペは周りの人みんなに愛されていて、レストランのオーナーをはじめとして、時に困りながらも(本当にそばにいたら困りそう!)温かく見守っている。
そんな彼がある女の子に心がとりつかれて、これまでとりつかれて全力で向き合ってきたものが生きてくる。
真っ直ぐさが時に辛く切なかったけれど、温かく素敵なお話でした。 -
著者独特の空気感。
日本人作家なのに、どこか海外文学を読んでいるような感覚。
人の強く思う心は、周りに影響を与え、回り回って、返ってきてくれる。
最終章で、分かっていたけど、嬉しくて顔が自然と綻ぶ。
ピュアなラブストーリー。爽やかな読了感。 -
神尾茉利さんの『刺繍小説』に紹介されていた一冊。トリツカレ男なんて、ちょっと変わったタイトルだけど、主人公のジュゼッペと親友とも言えるハツカネズミの軽妙でささやかな毎日に、ほんの数行で惹かれてしまった。
私達の毎日で、トリツカレちゃうほど夢中になる何かを、一体いくつ持てるだろう。ジュゼッペみたいに感情の起伏が激しい日常じゃ、長いお休みをもらえない私達は、暮らしにくいだろう。でもジュゼッペを見てると、全然馬鹿げては見えないし、むしろ多才なのに、なんとなく報われない彼が愛おしくなる。
この頑張りは、なんのためだろう。そう思っていたら、彼は出会ってしまうんだ。たった一人の大好きな人、可愛い少女、ペチカと。ペチカはとっても可愛い。健気な女の子。ジュゼッペといるのが楽しくて仕方ない。ゆっくり心を近くする二人。だけど…。
報われなくても、自分がきゅうっと苦しくても、愛してる人のためなら、何だって出来る時がある。そう、なんだって。彼女が笑ってくれたなら…。まるでバレエの『ペトルーシュカ』みたいに、ジュゼッペは壊れてしまうのかなって、泣きそうになりながら読んだけど…。そこから先は、ないしょ。悪いやつが一人も出てこない、この恋物語を読んでほしい。
眠れないからってラジオ聴きながら、心はこの小さな本に傾けて、ものの30分で読んでしまった。明日まで、もうちょっと。嫌にならずに眠って、朝日と一緒に起きてみようって、幸せな気持ちになったから。
レビューだけ見てつまらなそうなんて、どうか言わないで。目玉焼きを二人分こさえる間にも、トリツカレてすいすい、きっと読んじゃうだろうから。 -
この本は、「1万円選書」で有名な北海道の小さな書店の店主、岩田徹さんのお勧め本だったので、読んでみました。
薄い童話のような本で、すぐに読み終わりましたが
、とても深く、心暖まる内容でした。
ぜひぜひ読んでみて下さい。
著者プロフィール
いしいしんじの作品





