東京夜話 (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 1396
レビュー : 173
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069258

作品紹介・あらすじ

田町のアパートの一室にひっそりとあった闇のバー。酒と詩情溢れる「うつぼかずらの夜」。新宿で世にも可憐なダッチワイフを助ける「天使はジェット気流に乗って」。大海で出会った二匹が築地で思いを遂げる純愛物語「クロマグロとシロザケ」など、東京の街を舞台とする全18篇。『ぶらんこ乗り』の前史時代、原石の魅力が煌く幻のデビュー短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • いしいしんじが詰まった作品。
    いしいしんじが上手につく嘘と本当を、たっぷり堪能できた。
    さっきまで日常にいたのに、気がついたらフィクションの中にいる、みたいな不思議な感覚が味わえる一冊。
    なんていうか、境目が滑らか。

    個人的には巣鴨のおばあちゃんの話と先生の話がよかった。
    おばあさんの群れを「濃密なブラウン運動」と表現したのが笑った。
    「人生の入り口と出口において、人間の風貌はユニセックス化するのだ。」も、なるほど。


    先生のおでんの話や、「川はそこにある。水は流れていく。そして、すべての水は、合流する。いや、合流する以前から、ひとつの流れとして、すべての流れがある。」
    なんだか錬金術みたいだなーと思った。

    ぶらんこのりの、指の音もでてきて嬉しい。

    でも正直、読むのに時間がかかった。笑


  • いしいしんじさんの小説を読んでいると、いしいさんって普段はどんな人なんだろう?といつも気になる。普通の人は気にしないようなことを面白おかしく書かれていて普段も楽しい人なんだろうなと思う。

  • 村上春樹の『東京奇譚』とセットで読みたい「東京小説」集。
    ちょっと怖い話もあり、不思議な話もあり。
    クロマグロの一人称視点で、シラサケとの種を越えた恋が語られたかと思えば、「池袋」の町が擬人化された池袋くんが、池袋の町で酔いつぶれるとか、なにか頭の中が捩じれていくような不思議な感覚。

    毛皮に落書きをされた、情けない老犬が、柴又の章にもほかの章にも出ていた。
    「ぶらんこ乗り」でもそういう話が出ていたっけ。
    野良犬やホームレスの人々など、町と一体化して生きる存在が登場する。捨てられたダッチワイフも。
    恥ずかしながら、私は実生活でそういう存在に対し、見て見ないふりをしてしまう。
    彼ら、彼女らは間違いなく町の一部。
    実にいろいろな関係の取り方があるんだなあ、と思う。
    どれだけ懐の広い人なんだろう。

  • 1話目のシュールさに若干引いて、読むの止めようかと思ったのですが、読み切りました。
    中には心地よい感動をくれる話もあったけど、気持ち悪いという印象の方が強く残ったかな・・・

  • 凄い。
    現実から非現実へとひょいと飛び越えていく物語が沢山ある短編集です。
    あまりに自然に、唐突に非現実的な世界観が始まるので、逆に自然にすっと頭に入ってきます。

    きっと、作者は現実のちょっとした風景から、
    一気に想像力を膨らませるのだろうなぁ。

    とても、面白い小説でした。

  • 「ぶらんこ乗り」が面白かった印象があったし
     (内容は覚えてない。。。こんど読みなおします)
    原田郁子のアルバムで歌詞も書いてて印象が良かったので買ってみた。
    すなも(南砂町)に入ってる古本屋が、品ぞろえ・価格ともに良かったのでびっくり。


    短編集で、それぞれの話がほんの少しだけリンクしてるけど、そのリンクにほぼ意味はないみたい。

    順番に読んでいって、4話目までは「つまらん。外したなあ」と思ってたけど、神保町の話でちょっといいなと思って、築地マグロの話はかなり良かった。

    仲間たちより体が大きいクロマグロが主人公。
    誰よりも速く長く泳ぎ続けるんだけど、
    群れの中でもなんだか孤独で、ついには一人になっちゃう。
    「お前は、変だよ。お前を見てると、なにか、悲しいんだ」
    冒頭のシーンですでに漁港に引揚げられてて、
    時々漁港のシーンが間に挟まれる形で話が進んでいくんだけど、
    この進め方も、主人公マグロの悲しい強さを引き立たせてて、よくできてると思った。

    そんなクロマグロがある日、メスのシロザケと出会って、恋をする。だけど
    「うちらには実感ないけどな、このあたりの水温は、もうシャケには無理や。…あの子はシャケなんやで。マグロやないんやで。寒い、寒い、川の生まれなんやで」
    関西弁のおばちゃんがいい味出してるよね!さすが。

    ということでまあ、別れが来て最後に人間につかまっちゃうんだけど、築地で再会(?)することになって、ラスト。なんだけど!!!
    このラストはなんなんだ。。。マグロの悲しい強さも、シロザケの一途な美しさも、すべてが台無しのラスト。これって最後のページだけ他の人が書いたんじゃないのかと思わせるほど、最悪の終わり方。
    みんなこんなグロテスクなラストに感動するわけ!?安っぽいし、俗っぽくて、とってつけたみたいで、最低じゃん!

    そもそも性的なものを「汚い」ものだと感じてしまうおれがロマンチストすぎるのだろうか。
    みんな、「子どもは愛の結晶」なんて気持ち悪いことを、キリッとした表情で、心から言えちゃうのかな。気持ち悪。。

    とまあ、なんだか最後はよくわからなくなっちゃったど、これだけ話の種になるってだけで、いい本の証拠だよね。
    大半はつまらなかったけどね!

  • 今まで読んできたいしいしんじは無国籍な童話のようなお話ばかりだったので、現代の東京を舞台にしたこれは意外でした。悪くはないけれど、自分が求めてたのとちょっと違うと感じてしまった。

  • 短編。不思議話。東京。

  • 読み始めは ん?んん?となるけども
    次の場所へ移るごとにじわじわきます。
    一番のお気に入りは銀座。
    大阪版も書いてほしい!

  • 読みながらもっかい読みたいなぁと思いながら読みました。

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著者プロフィール

一九六六年大阪生まれ。作家。 現在、京都のミシマ社の「きんじよ」に在住。お酒好き。魚好き。 蓄音機好き。二〇一二年『ある一日』で織田作之助賞、二〇一六年『悪声』で第四回河 合隼雄物語賞を受賞。『ぶらんこ乗り』『麦ふみクーツェ』『ポーの 話』『 海と山のピアノ』(以上 、新潮社)『みずうみ』(河出文庫)など著作多数。

「2018年 『きんじよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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