絵描きの植田さん (新潮文庫)

  • 新潮社 (2007年11月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101069265

みんなの感想まとめ

やさしく淡い美しい世界が描かれた作品は、静かなバックミュージックのように穏やかに心に響きます。雪や氷に閉ざされた湖のほとりの村で、個性的な登場人物たちがそれぞれの思いを抱えながらも調和して生きる姿が、...

感想・レビュー・書評

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  • 植田さんの挿絵のように
    やさしく淡い美しい世界
    雪や氷に閉ざされた湖のほとりの村
    それぞれが何かを抱えて
    生きている姿と
    それゆえのやさしさが
    あふれている
    人もまた自然の中で生きさせて
    もらっているという
    メッセージも‥
    こんなにも淡い色が
    美しいと思ったことはなかった
    何かと原色を好んでいたから
    植田真さんの絵本も見てみたい

  • 静かなバックミュージックがかかる中、穏やかに読み進められる本。
    登場人物は皆個性的でありながら、彼らがぶつからず調和していく。
    そこに荘厳な自然とその中に生きている動物たちが、この世界の厳しさと美しさを教えてくれるように存在する。
    優しい絵がストーリーを朗らかに包み込んでくれる。

  • 今回で二度目\(^o^)/。
    何度読んでも、登場する人たちの暖かな気持ちが伝わり、私にとって、読み終える頃に『素直に毎日過ごすことができたなら、こんな風に素敵な時間をすごすことができるのでは』と考えることができる作品です。

    • kharaさん
      いしいしんじさん。タイトルも素敵で気になっていました!
      レビューを拝見して、よみたーい(≧∇≦)ってなっちゃいました!探してみます!
      いしいしんじさん。タイトルも素敵で気になっていました!
      レビューを拝見して、よみたーい(≧∇≦)ってなっちゃいました!探してみます!
      2012/12/18
  • キレイな話が読みたかった。
    不純物の混じっていない
    美しい雪の地上をささやかな
    人生が交わる。
    心に傷を負った耳の聴こえない
    絵描きの植田さん、氷った湖を
    ママと渡って来た妖精の様な少女メリ
    2人を取り巻く人びとの話し。
    心静かに過ごせる一冊。
    挿絵もとてもステキ。
    画集が有れば欲しいな。

  • いしいしんじと村上春樹は人気のある作家であるが、私にとってはいつも「よっこらせ」と勢いをつけなければ読めない作家なのである。
    嫌いなのではない。苦手なのだ。

    けれど最近いしいしんじを素直に楽しめるようになってきたと思う。

    多くを語らない。
    ただ、温かく見守ることで、見守っている側の方が救われていくような。

    動物、植物、自然の中で生きること。
    メリは小学生にしてはびっくりするほどよく知っている。
    お父さんと図鑑で見たから。お父さんに教えてもらったから。
    メリはおとうさんについて何も言わないけれど、どんなにお父さんのことが好きなのかがそれでわかる。

    素直にあるがままを受け入れていくメリを見て、植田さんもあるがままを受け入れていく。

    この本には植田真の絵が収録されているが、それは文章の挿絵ではなくて、いしいしんじの文章と同じだけの重みをもったイラストとして、物語の終盤にまとめてページが割かれる。
    最初にパラパラと眺めただけではわからないイラストが、きちんと絵描きの植田さんの絵として差し出されるのは、物語を読んだ後で。

  • 「ぶらんこ乗り」の弟は声を失い、「麦ふみクーツェ」では視力を失ったボクサーやチェロ奏者、色彩をもたない娘が登場したけれど、絵描きの植田さんは聴力を失っている。何かを失い、欠落ひとたちのやさしい再生の物語がいしいしんじは上手いのだなあ。

  • 事故で聴覚と彼女を失くした植田とメリという少女の交流を描く。交流を通し次第に植田さんの傷ついた心を溶かしていく。雪山と凍った湖が舞台で植田さんの変化と雪解けに至る情景が互いにシンクロしてる描写が美しかった。

    2015.5.22(1回目)

  • かつての事故によって聴覚を失い、一人都会から離れた高原の小屋で絵描きとして暮らしている植田さんのお話。

    自然の描写がとてもきれいだし、本の中の植田真さんの絵は繊細でかわいくて、とても癒されました。

    登場人物もみんなあったかい。特にメリが私はかわいくて好きです。

    短いお話なのですぐ読めます。時間がなくて疲れてるときとか読むといいかも。
    2008年11月17日

  • やさしく、ちょっとずつ、読み進めたい本。厚さは薄めで、ぎっしり文字が書いてあるような本じゃない。だからかもしれないけど、空白を楽しむことができる本。最後は驚きました。ひとつの区切りごとにほんとにいい意味で空白がある。本の中の植田さんと時間を共有している感じがする。そして挿絵がイメージぴったり。細かくかかれてないからこそ、いろんなことが見える気がする。耳がよくきこえなくても、伝えようっていう意思があるなら絶対に伝わるはず。

  • スピッツの「大好物」を聴いていたら思い出したので再読。閉じた心を柔らかくするとか、小鳥たちのイメージから喚起したかと。
    すいぶん久しぶりに読みましたが、ほんとうに美しい物語です。いまだ閉塞感の漂う日々の中、植田さんやメリに再会できてよかった。

  • 文体が詩的で絵画的でもあり、柔らかく優しい。

    心が疲れて、文章を読むのを頭が拒否してても、スッと入ってくる。

  • ほっこり。

  • 優しいものがたり。

  • 寒い季節の、あったかいお話し。

  • 事故で聴力のほとんどを失った画家の植田さんの物語。
    高原の土地に移り住み、ひげもじゃの農夫、オシダさんや定食屋の夫婦、そして隣に移り住んできた林イルマとメリ母子とかかわる中で、自分の新しい世界とのかかわり方を見つけ出していく。

    物語の時間は、ある年の冬から春の直前まで。
    雪で真っ白の世界、のはずなんだけど、不思議に緑の沃野の色が感じられ、囀る鳥の声が聞こえてくるかのような作品。
    無色なのにカラフル。
    静謐なのに音が聞こえる。
    静かなのに、力がみなぎっている。
    そんな不思議な魅力を持った作品だった。

    ところで、この本の挿絵を書いている植田真さんは、物語の植田さんと関わりがあるのだろうか?

  • 高原の小さな村に、絵描きの植田さんは住んでいる。かつて、恋人と聴覚をいっぺんに失った植田さんの心は、いつもしんと静かだ。ある日、凍りついた湖を渡って、母と娘が越してくる。娘メリのすなおさは、植田さんの心を溶かしてゆくが、そのメリが雪の森で遭難して……。植田真の絵が扉をひらく奇跡のような物語。
    ------------------
    いしいしんじさんにしては珍しく、ファンタジー色のない物語だった。登場人物は魅力的で、雪山や自然の情景がキラキラとしていて、文章がやわらかく、人が人を想う気持ちにあふれたとても暖かくなる本でした。挿絵もかわいらしく、この本にあっていてよかったです。
    最後、遭難にあったメリちゃんは助かり、病室には植田さんの絵がたくさん貼ってあった。

  • 生と死。
    出会いと別れ。
    まっすぐに進むこととはみ出すこと。

    色。
    真っ白の中の、たくさんの色。

    そんなことがらが、きゅっとおさまっている。

    あっというまに読み終えた。

  • 植田真さん絵本『おやすみのあお』が素晴らしくて、植田さん熱再燃。積読状態だった1冊を手に取りました。
    装画のみならず、タイトルもとっても気になります(*^v^)
    イメージは、植田さんの画風どおり。白の中の極彩色。慎ましいながらも目が離せなくなります。
    今の時季ぴったりの作品で、まさに本に呼ばれた印象。
    いしいしんじさんの文章も雪のイメージにピッタリ。しんしんと降る雪のように、淡々と美しい言葉を紡げる人。読んでいて、何度も胸に迫ってきました。
    雪の中って、意外とあったかいんだよね…そんな思いが頭をかすめます。
    辛かったり地味だったりする毎日の暮らしの中にこそ、本当に大切なものがあるんだろうな。
    冬に再読したい大好きな本が、また1冊増えました(*˘︶˘*).。.:*♡

  • いしい先生の描く人々には、どこか影を感じます。だけど、作品中でその影に焦点が当たることはないんだよなあ。何だか不思議な読み心地。
    悲惨な過去の記憶や、現在の闘争がクローズアップされることはなく、ただただ丁寧に紡がれて行くのは、静寂に包まれた時間、心優しい人々の関係性です。
    それなのに、作品中から滲み出る、この寂とした哀しみは何なのでしょう。
    植田さんの視界に映る世界を変えたメリちゃんの素直さや、彼女の目に映る世界の美しさを知らない(忘れてしまった?)自分自身が悲しいのかな。うーん、それはちょっと懐古趣味が過ぎるかしら…。


    Amazon先生お世話になります( ^ω^ )φ Quote!

    ツノジカ、白テン、ナキウサギ、マヒワ、ツグミ、キレンジャク……高原の小さな村に、絵描きの植田さんは住んでいる。かつて、恋人と聴覚をいっぺんに失った植田さんの心は、いつもしんと静かだ。ある日、凍りついた湖を渡って、母と娘が越してくる。娘メリのすなおさは、植田さんの心を溶かしてゆくが、そのメリが雪の森で遭難して……。植田真の絵が扉をひらく奇跡のような物語。

  • 事故で耳の遠い植田さん。女の子との出会いで世界がきらきらと開いていく物語。

    植田さんが山の中で周りの音と、音を聞いたり楽しんだりすることとまた出会うシーン、普段の自分が重なって涙がでました。

    周りの人や自然や街の中で、わたし自分以外の音や存在に心を開けているかな?
    自分だけの言葉とか考えに縛られて聞こえなくなっているな、と。

    短くて、いしいしんじさんならではのあたたかい言葉とリズムであっという間に読めてしまいます。
    でも、読むたびに自分自身を振り返させてくれる、最後にはあったかくなる一冊だと思います。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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