- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101069302
感想・レビュー・書評
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色んな人の人生と仕事をを垣間見るようで面白い。大人の童話という感じかなあ!
お気に入りは
・果物屋のたつ子さん
・旧街道のトマー
・玩具作りのノルデ爺さん
暗喩が多く、そういうことか…!という発見も多かった。温かくも切ないお話しが詰まっていました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仕事を全うすることの尊さ。
そして運命の呼び掛けに即応する美しさと儚さが沢山詰まった短編集。 -
さまざまな人たちのそれぞれの営みを描く掌編集。
物語作家いしいしんじの面目躍如という感じですね。ちょっぴり寂しくほんのり温かい、静かで力強い物語です。一気に読むのは勿体なく、でももっともっと読みたくなる。
ふとした時にパッと本を開け、読んでみたくなる、そんな物語が詰まっています。 -
31の短編集。1つ1つは2-3ページの本当に短いお話だけど、各主人公の生き様がぎゅっと凝縮されている。
心にフッと影が差した時に優しく寄り添ってくれるような読後感。
特に好きだったのは「コックの宮川さん」。
まさに大人のための童話 -
いろんな職業の人たちのいろんなお話。一つ一つは短いけれど、いしいさんらしい個性あるパンチの効いた人たちで印象に残る。彼らと彼らの感情が次々と私を通り抜けていく、その度に楽しく切なくなって、感情が落ち葉みたいに自分の中に積もって、豊かになっていく感じがする。
私が好きなのは図書館司書のゆう子さん、警察官の石田さん、似顔絵描きのローばあさん、ポリバケツの青木青兵!
「わたしのからだのなかに、ずっと長いあいだきれいな花火が眠っていたみたい」
久々に夢中になって本を読んだゆう子さんの言葉が素敵。本をまた読めるようになった時そう、まさにそんな感じだった…。ボーンアゲイン、アゲイン、アゲイン。 -
14:いしいしんじさんの作品は時にすごく難解だと思うのだけど、これはすごく面白かった! どれも、とても短い物語なのにひとつひとつがとても優しく、残酷で、温かくて、すべての物語がそれぞれに違う光を放っているように思えてなりません。お説教や教訓めいた読み方よりも、大人のための童話として素直に読むのが楽しい。おすすめです!
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2017.12.16
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偶然聞いたラジオ講座で取り上げられていた「調律師のるみ子さん」が気になったので読んでみた。
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小気味が良い、という表現がぴったり。
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掌編小説集。
各編の主人公たちの、生業から切り取った世界の断片が鮮やかに描かれる。
タクシー運転手、調律師、風呂屋に床屋、似顔絵描き...あたりは「職業」っぽい。
でも、中には「ポリバケツの青木青兵」とか、「旧街道のミトゥー」なんてのも登場する。
それぞれ短い物語なので、うかうか読んでいると、物語が急転直下、あれ?どうしてこうなった?なんてことになりかねない。
油断禁物である。
短い物語なのに、どこかにちいさな棘や、価値観のねじれを起こさせるものが仕込まれている。
心温まるいいお話、めでたしめでたし、でないところが、この人の作品だなあ、と思う。
アメリカで差別されながらもバスケットボール選手として活躍する中国人、スーホンくんが、やはり差別されるこびと達の励ましを受けて再起するけれど、結局、人々からはむごい仕打ちを受けること。
ポリバケツの青木青兵氏は、生ごみ入れであることに誇りを持っていて、ひびが入ってお役御免になった後、偶然南の島で宝入れになるという第二の人生を歩むことになるが、誇り高き青木氏は不服そう、とか。
美しいものと醜いもの、優しいものと恐ろしいもの、などがないまぜになった、味わい深い物語たちだ。
ところで、他のいしい作品を読んでいても感じるのだけれど、作品と現実世界との距離感って、一体どうなってるんだろう。
あとがきの、「編集者の関口う君」を読んで、ちょっとだけ見えたような気がした。
紙の本を愛し、声高に主張はしないけれど、誇りを持って仕事をする「関口君」の姿は、いしい的世界では、こうなるんだな。