海と山のピアノ (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 83
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101069333

作品紹介・あらすじ

「四国って土地だから行政からほっといてもらえるのかもしれない」二年に一度、村の全員で住む場所を移す「村うつり」。私は“足” を澄ませ、移った故郷を探す(「ふるさと」)。三崎の若い漁師達は遭難し、マグロになった。海に飛び込もうとする彼らを 咤したのは船頭の大マグロ。励まされ、必死に漁を続けると──(「野島沖」)。生も死もほんとうも噓も。物語の海が思考を飲みこむ、至高の九篇。

感想・レビュー・書評

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  • ルルの話にふるえた、感動した。

  • 何を伝えているのか分かるようでいて、分からない。
    何も考えずに文章のキレイさを楽しめばいいのかなと思う。
    前半の3つは比較的わかりやすくて、面白かった。

  • 自分の中では、大きな当たりなんだけどポール際でぎりぎりファールみたいなそんな印象。

  • 明け方、眠りから覚めかけたころにみる夢のように、なんだかもあもあとした浮遊感のあるお話でした。ふわふわとした浮遊感ではなく、もやもやとしたでもない、もあもあとした読み心地のする短編集でした。
    9つの物語は、すべて水に関連していて、生と死が混在しています。この世と異界との境目もあやふやです。命あるものはいずれ終わりを迎え、形あるものはいつの日か崩れ去り、跡形もなくなる。そんな当たり前のことを、当たり前のこととして受け入れられないから、人の営みって面白味があるんでしょうネ。真実なんて探し求めたところで、どこにもないのかもしれません。当たり前のことを、当たり前のこととして受け入れたとき、さらに面白みが増すような気もしないではありません。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 隅から隅までいしいしんじで満たされている。そんな短篇集です。
    生と死、光と影、静と動、清と濁、それらが対を為すのではなく混じり合い、しかしひとつにはならないような。そんな混濁とした感じなのに清らかに透き通っている。それがいしいしんじの作品に接した時に感じるものなのです。

    二年に一度行なわれる「村うつり」、子どもの上に現れる透明な女の人とエアー犬、海からやって来た少女とピアノ、あたらしい熊を求める僕。突拍子もない設定に放り込まれて巻き込まれて流されて、行き着く先はどこなのか。想いも感想も思考も全てを飲み込む、そんな物語たちが詰まったいしいしんじの短篇集。

  • 不思議な短編集。
    生と死、善意と悪意、色んなものが同居する世界が
    とても独特な雰囲気を醸し出しています。
    暖かいのだけれど怖い、そんな世界観が大好きです。

  • 久しぶりのいしいしんじ、短編集。2年ごとに村人みんなで移動する「村うつり」だとか、秘密結社のような海賊の勧誘だとか、マグロ漁師がマグロになっちゃうとか、海からピアノに乗って女の子がやってくるとか、どれもちょっと不思議というか不条理というか独自のルールが設定されていて、飲みこむのに時間がかかるのだけど、こういう世界観自体は好みなので基本的には全部おもしろく読んだ。ただし何作も続けて読むとなぜかしら意外と消耗する。寝る前に1作づつ、とかにしとけばよかったかも。

    一見なんの繋がりもない短編だけれど、共通点は「海」と「うた」そして何らかの災害、それも圧倒的に波にさらわれる系の。直接的な表現はされていないけれど、やはり震災後に書かれたものだからだろうな。乱暴に分類すると海(川)は死者の領域、陸は生者の領域で、港とか、浅瀬とか、水際は死者と生者が共存、入り混じって行き来する領域なのだと思う。どの短編もだからテーマは同じで、その共存の形のバリエーションだったんじゃなかろうか。

    大好きだったのは「ルル」これは泣く。風邪薬ではなく見えない犬の名前。江國香織さんの「デューク」に匹敵する犬ものの名作短編だと思う。「川の棺」に出てくるガーナの個性的な棺桶の話はテレビで見たことがあったので目に浮かんだ。お葬式が楽しそうなのはいいな。「あたらしい熊」はちょっと難解だったかも。「浅瀬にて」は「穴」の話が怖かった。

    ※収録
    ふるさと/ルル/海賊のうた/野島沖/海と山のピアノ/秘宝館/あたらしい熊/川の棺/浅瀬にて
    解説:彩瀬まる

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著者プロフィール

一九六六年大阪生まれ。作家。 現在、京都のミシマ社の「きんじよ」に在住。お酒好き。魚好き。 蓄音機好き。二〇一二年『ある一日』で織田作之助賞、二〇一六年『悪声』で第四回河 合隼雄物語賞を受賞。『ぶらんこ乗り』『麦ふみクーツェ』『ポーの 話』『 海と山のピアノ』(以上 、新潮社)『みずうみ』(河出文庫)など著作多数。

「2018年 『きんじよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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