四季 (新潮文庫 な 8-4)

  • 新潮社 (1982年10月1日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784101071046

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  • 五十代を迎えた語り手が、戦争直前のひと夏を高原の山荘でともにすごしたKという人物とともに、当時の記憶をたどる旅に出る物語です。

    自由主義者である秋野先生や、主人公たちがあこがれていた秋野先生のお嬢さんとリュシエンヌという若いフランス人の女性、そして仲間たちとのやりとりなどの記憶を思い起こしつつ、記憶の痕跡をたどっていきますが、二人の記憶はたったひとつの事実へと収斂することなく、さまざまなしかたでかさなりあいつつ、両者の歩んだ半生の照明を受けて、異なる相貌を示します。

    戦争という出来事によって切断された主人公たちの青春が、彼らの追憶のなかで一つの物語へと収斂することを拒むという本書のテーマは、現代に大きな問いを投げかけているようにも感じられました。

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著者プロフィール

中村真一郎(なかむら・しんいちろう)1918年、東京生まれ。東大仏文科卒。42年、福永武彦、加藤周一らと「マチネ・ポエティク」を結成し、47年、『1946文学的考察』を刊行する一方、『死の影の下に』で戦後派作家として認められる。以後、小説、詩、評論、戯曲、翻訳と多分野で活躍。王朝物語、江戸漢詩にも造詣が深い。作品に『回転木馬』、『空中庭園』、『孤独』、『四季』四部作、『頼山陽とその時代』、『蠣崎波響の生涯』他多数がある。

「2019年 『この百年の小説 人生と文学と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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