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本 ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784101074016
感想・レビュー・書評
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和漢混合文の金字塔。
日本語の美しさと心情の描写が、半端ない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若くして両親を亡くした間貫一は、身を寄せる鴫沢家の一人娘・宮と許婚の関係にあった。しかし、ある日のカルタ会で宮を見初めた銀行家の息子・富山が宮に求婚すると、宮はそれを受け入れてしまう。熱海の海岸で宮の裏切りを知った貫一は宮を罵り足蹴にし、宮との縁を切る。人間不信に陥った貫一はその後高利貸しの手代となり、金銭のみを唯一信じる「金色夜叉」と化していった…。
地の文は文語体、会話文は口語体という雅俗折衷の文体で描かれた尾崎紅葉の代表作。読売新聞にて明治30年から断続的に6年間連載され一世を風靡した、明治文学を代表するエンターテインメント小説である。
予想以上に面白く、文学作品でこんなに単純に楽しめる小説は他にないように思う。そこに読み込まれたテーマ性などという小難しいことなどさて置き、ストーリーと登場人物たちの感情のぶつけ合いにハラハラ、ワクワクさせられた。まるで昼ドラを観ているかのよう。主要人物たちのキャラクターの鮮やかさ、そしてわかりやすいストーリー、現代のドラマでもヒットする要素が多く含まれており、明治の人々の趣向も現代とあまり大差ないのだなぁと感じさせられた。
熱海で貫一が宮を足蹴にするシーンは意外にも序盤の序盤。「金色夜叉」自体が「続金色夜叉」「続続金色夜叉」「新続金色夜叉」と続くのだが、かの名シーンは「金色夜叉」の「前編」「中編」「後編」の内の「前編」の終わり。むしろそのシーンから貫一の「金色夜叉」と宮の苦悩が始まる。熱海の貫一・宮の像は最近「女性蔑視だ」などと叫ばれているそうだが、あれはどう考えても宮が悪い。蹴られて当然。しかし宮の悔悟の念にだんだんと読者が宮を許し始めてしまう作品構造も、人気を博した理由だろう。
目次を見た時は「なんだか未練がましく続編を出していたんだなぁ」と読む前からうんざりとしていたのだが、一度読みだすともっと続きが欲しくなる。続編、続続編、新続編があることに喜びを感じ、そして著者・尾崎紅葉の死去により未完で書を閉じなければならないことに、戸惑いを覚え、心が置き去りにされる。だが一方で気付く。「金色夜叉」の舞台の幕は下りることなく、上演は続いていることに。熱海の海に浮かぶ1月17日の月は、今でもまだ、貫一の涙により曇り続けているのだ。 -
旧語表記が多く、当初は読みづらかったが慣れると気にしなくなった。
演劇等でよく見る貫一お宮の話。
未完成なのが残念。 -
娘に「日本文学の古典でGolden Devil」 と謎を問いかけられて考え込んで、「どのくらいの時代か教えて」と口走った直後、「わかった金色夜叉だ!」と大声を出してしまった。
宮にしてみれば、十年も同居した貫一と夫婦になるという先の知れたコースよりも金田という横恋慕した男に興味を持つのは当たり前。貫一にしてみれば宮を諦めれば鴫沢の家代は相続できる(金田と縁戚にもなれる)というのだから悪い話ではないが《矜持》と宮への恋情が許さなかったか。「僕という夫がありながら」と責めるから既に実事はあっただろうが子は無く、金田とはすぐに子が出来たのは避妊していたのか。その辺を明治の読者はどう推察?明治30年代は資本主義の黎明期だから、金融業は資本次第、開業に追剥的人殺し的なこともあっただろう… -
あまりに有名な明治文学の一冊。
高校で「女に振られた男が復讐の鬼と化す」みたいな話しだと教わったはずだが、実際に読んでみると、そんな単純なものではなかった。
復讐の話というより、「過ちと赦しの話し」と言った方が適切ではないか。
現代人からは馴染みの薄い雅俗折衷体で書かれていて、読みにくく感じるかもしれないが、ストーリーだけつかんでいれば楽しく読めるだろう。
本の解説で、「自分が死んだらお墓に金色夜叉の連載が載った新聞を置いてほしい」と言った女子がいると書いてあったが、現代の私たちでも完成品を読めないのは至極残念だ。
登場人物たちの幸せを祈らずにはいられない。
それにしても文体が魅力的だった。文体研究のため再読したい。 -
大切な人は、失って初めてその人の大切さがわかる。
途中の夢オチのシーンは圧巻。
文体難しかったけど面白かった。 -
文語体にギブアップ 勉強しなおして再チャレンジします
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愛と財がテーマ。宮の愛を失って非道な「金色夜叉」となってしまう主人公、貫一。対照的な狭山とお静が後半に登場する。宮と寛一や狭山とお静を見ていると金がいかに大きな力をもって人を苦しめるかということが分かるが、その大きな力をもって寛一が狭山とお静を救うことができたのもまた皮肉だ。
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読むのにちょっと骨がおれましたが、人物や服装、風景の描写の鮮やかさに引き込まれました。
現代アレンジでの舞台や映画とか見てみたいきがします。
尾崎紅葉の作品





