ビルマの竪琴 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101078014

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに再読しましたが、記憶していたよりも、文章もストーリーも優しく感じました。今更ながら、童話雑誌掲載の子供にも読める作品だと思いました。
    日本軍の戦況は、悪化し、苦戦を強いられていた。ビルマの一小隊では、音楽学校出身の隊長が、隊員に合唱を教えていた。苦しい時、団結する時、彼らは歌う。今読めば、そんな事はなかったでしょうとは思うけど、こんな小隊もあったかもしれないと思わせてくれる。
    その隊の一人、水島は、楽才に優れて竪琴も自作していた。敗戦となり、小隊は捕虜となるが、水島は、ある任務をきっかけにビルマの戦死者の霊を弔うため、出家しその地に止まる決意をした。
    日本に帰る仲間は、生きて帰り日本の復帰を目指す。
    戦争の理不尽さ、戦闘への反省そして敗戦後の生き方を当時の子供達に伝える作品です。
    最後に作中で使われた楽曲の歌詞と楽譜が掲載されています。一高寮歌「嗚呼玉杯に花うけて」は、活字で読むとそれだけで、苦しくなりました。
    “剣と筆とを取り持ちて”

    • なおなおさん
      文庫の最後に歌詞があるのですね!?知りませんでした^^;
      実家に本があるので確認します!実は私の本で、ホントに「おーい、水島!」のあのシーン...
      文庫の最後に歌詞があるのですね!?知りませんでした^^;
      実家に本があるので確認します!実は私の本で、ホントに「おーい、水島!」のあのシーンだけを読みたくて購入^^;
      おびのりさんとのこのやり取りを機に読んでみますね!
      2023/06/13
    • 下山はじむさん
      本は読んでないのですが、市川崑監督の白黒映画を60年ぐらい前の小学生時代に見ました。川岸に死体が山のように高くるいるいとしている映像が「わ~...
      本は読んでないのですが、市川崑監督の白黒映画を60年ぐらい前の小学生時代に見ました。川岸に死体が山のように高くるいるいとしている映像が「わ~」と怖くて、今も脳裏に焼き付いています。「水島、帰ってこい」という戦友の声。「埴生の宿」の竪琴のの音も。いい映画でした。
      隊長=三國連太郎 水島上等兵=安井昌二 伊東軍曹=浜村純 小林一等兵=内藤武敏 馬場一等兵=西村晃
      というそうそうたるメンバーでした。
      2023/10/20
    • おびのりさん
      下山さん、いいね、コメントありがとうございます。
      ビルマの竪琴は、ずいぶんと昔の学生の頃読み、今回は久しぶりの再読でした。少し考えれば、戦地...
      下山さん、いいね、コメントありがとうございます。
      ビルマの竪琴は、ずいぶんと昔の学生の頃読み、今回は久しぶりの再読でした。少し考えれば、戦地で合唱はないだろうとわかるのですが、とても感動した記憶があります。
      この古い方の映画は、古さから現実感があり、男性合唱に聞き入り、ついつい全編鑑賞してしまいました。
      小説は、児童でも読めるように書かれていて、古さを感じませんでした。
      河合さんの著作をたくさん読まれていますね。以前、源氏物語を読ませていただき、幅広い方だなと思っていました。
      フォローさせていただきます。
      ありがとうございました。
      2023/10/21
  • 現地に行った。赤土を踏んだ。慰霊法要をした。視界がぼやけた。

    昨年11月のインド・ミャンマー行きから帰ったら必ず『ビルマの竪琴』を読むと決めていて今回映画('56年版)も鑑賞した。
    文章やワンシーンの端々に見られるビルマの景色や人々。ついこないだ行ってたもんやからイメージしやすい。'56年版は半分くらいしか現地での撮影が出来なかったらしいけど私達が行った時とさほど変わっていなかったのが驚きだった。

    作中の竪琴と現地で聴いた箏の音色が何度も重なる。両楽器で演奏された「埴生の宿」が頭から離れない。その時の静寂もまるで同じ。

    慰霊法要の時みたく、また何かが押し寄せて視界がぼやけた。

  • 歌う軍隊の竪琴弾き、水島上等兵が隊を離れ、屍となった日本兵を見て見ぬふりできず、ビルマの僧となり、日本には帰らず祈り続けることを決断する話
    戦後の児童文学っていう感じ
    現代を生きる人にとっても、便利ばかりを追求する価値観で良いのかを考えさせられる哲学的な内容でした

  • 生々しい戦闘シーンは描かれておらず、子供たちが歴史の悲惨さを学ぶにはちょうど良い一冊だと思う。

  • 児童文学。くもんの推薦図書ではハリーポッターと同レベルのFに並べられています。
    文体は優しく、音楽を主軸として、異国での苦境の前線を描いており、短い話で、中学生なら読み通せる子がいてもおかしくないかなぁと思わせます。

    作中には青いインコが登場しますが、その描写がいかにもリアルで感心しました。
    うちにもインコがおり、今もマラソンを観戦している家族に混じって、テレビと家族に向かってピィピィと楽しげに鳴いています。
    南国にいるインコがありありと想像され、また健気さに泣きながら読み終えました。

    今起こっている戦争とは、状況や価値観が違うものと思いますが、だからこそ1番根っこの大事なものについて思いを確かにすることができる書籍です。

  • とても感動しました!涙なしでは読めません。オススメ!

  • アウンサンスーチーさんが捕らえられ、ミャンマーの友人から「未来の希望がなくなった。今はこの状況をいかに早く脱却するかしか考えられない」と連絡があり、連日抗議デモの様子がfacebookに上がっている。

    それでミャンマーの話が読みたくなって手に取ったけど、日本兵の鎮魂や文明批判をメッセージとする本書を読む動機としては不純だったかも。現代ミャンマーに想いを馳せながら読んだので、物語に入り込みきれませんでした。

    最後のコメントに好感。
    「 本作品中には、今日の観点からみると差別的表現ととられかねない箇所が散見しますが、著者自身に差別的意図はなく、作品自体のもつ文学性ならびに芸術性、また著者がすでに故人であるという事情に鑑み、原文どおりとしました。(新潮文庫編集部)」

    ビルマ人の描写に賛成できかねるところはあるけど、かえって当時の日本の空気が伝わって勉強になりました。一方、本書に描かれるビルマの風習で現代にも残っているものは数多くあり、それを発見するのは楽しかったです。
    ちなみに大戦中日本軍が使っていた車両はまだばりばり現役でミャンマー国内を走っていて、日本軍の残した足跡を見ることができます。

  • 普遍的。

  • 児童文学ということもあって、文章は平易で、難しい語彙にはルビがあったり説明があったりするので読みやすい。
    戦争とはどういうものなのか、戦で死んでいくというのはどういうことなのかを垣間見ることができ、襟を正したくなる。
    ミャンマーも行ってみたい

  • 本作の重要な部分は最後のほうの第三話にあります。そこで語られる思想をみなが踏まえたうえで、靖国参拝だとかを考えるといいのでしょうね。この作品で語られていることを噛み砕いて、ちゃんと他国に伝えられることが大事なのではないか。ただ、そうすると、賠償金がどうだとかっていう話になるのかな。国際情勢っていうものも難しいものです。ただ、日本の民衆は、この『ビルマの竪琴』的な思想を胸に抱いていたり、深く考えたことがあったりするのは大事なことですね。

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著者プロフィール

竹山道雄(たけやま・みちお 1903-84)
1903~1984年。1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流れない執筆活動を続ける。著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。

「2017年 『主役としての近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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