- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101080123
作品紹介・あらすじ
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。
感想・レビュー・書評
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この世界感を30年以上前に作り出した作家さんの発想に脱帽。
どこまでが現実でどこからが仮想現実なのか、疑心暗鬼で狂っていく心理描写も良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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クラインの壺/岡嶋二人
徳山諄一と井上泉(現在、井上夢人)共作筆名。
内側と外側の区別のない世界。
この小説の初出が今から約40年前というのが、
本当に驚きでした。
現代のバーチャルリアリティ以上に、
リアルとバーチャルゲームの境目がない
状態を作るK2という機械の試作品モニターとして
主人公がチェックを行なっているという設定。
限られた登場人物の中で、いかにも怪しい人物が
現実なのかK2という壺の中なのか判別できない
恐ろしさをヒシヒシと感じました。
いつか技術がどこまでも進んで、
生きて経験していること全てが擬似体験に
なってしまうのか。
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今、読むからこそ、VRだったりが普及して、現実と仮想空間が入り混じる恐怖が伝わってくる小説。1989年の作品みたいです。クラインの壺は実際に存在する言葉であり、読み終わってタイトルの意味を調べて読み返して、納得。結末は読者に委ねられている気がする。何が真実で何が虚構なのか。これからの時代、仮想空間がリアルになればなるほど現実との境界が曖昧になってくる。そもそも今僕が感じている現実も、僕が現実と認識しているだけなんだよなーと、哲学的な観点もあったかもしれない。
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けっこう前に読メでどなたかが読んでてその感想を見てずっと読みたいと思ってたのをようやくブックオフ110円コーナーでみつけたので買ったのですが、ちょうど良いスリルでめちゃくちゃおもしろかったです。
VRに目をつけた先見の明作品のひとつなんだろうけど、時代設定は当時のままだから連絡くるのを待つ手段が家にいることしかないの不便すぎ〜とか思った(そういうのも楽しい)。
読後感はかなり読者側の随意という感じだけど、自分が今いる世界への疑惑という点ではけっこう馴染みのあるテーマでそういうの含めて展開にドキドキした。 -
30年前の本なのに今読んでも古くない、というか今の方がピンとくるのかもしれない。現実と仮想現実がだんだんお互いを侵食してくる恐怖は、これからが本番なのかなという気がしています。
現実としか認識できないレベルのヴァーチャルゲームや体験はこれからあり得るよね。当分無いだろうけど死ぬまでにはありそうな気がする。 -
僕には子供の頃から今だにふとした瞬間に陥る感覚がある。
気がつくと、今の自分は回想であって本当の自分は病院のベッドの上。命を綴じる間際。 -
これが平成元年の作品だと思うと恐ろしさを感じる。ポケベル、留守番電話、記憶領域1MBのPC、これらのキーワードが出てくるのを確認すると、その時代にVRが描かれていたなんてなかなか信じがたい。
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井上夢人作品にハマって辿り着いた岡島作品。
いやはや面白い。
現実がぐんにゃりと歪んでしまうような感覚が味わい深い。
これもまたカテゴリー分けしずらい作品だ。
また、いつか読み返すであろう。
大満足。 -
400ページほどある長編の小説だが、ぐいぐいと読ませるのですぐに読み終えてしまった。
新作ゲームのアルバイトをする主人公と同じくバイトをするヒロイン?との話だけど、途中からスピードアップしてきたら一気にラストへ。
夢かうつつか分からなくなる描写は面白いの一言。言葉づかいや風景描写も古びれてなく、これが1989年にできた作品とは・・・!と思わせる作品。
著者プロフィール
岡嶋二人の作品





