17歳からの死生観 (新潮文庫 や 49-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101081229

作品紹介・あらすじ

生まれた者には、必ず死が訪れる。死を見据えながら、現代をどう生きればよいのか――。小・中・高校、大学、すべての学舎(まなびや)で教壇に立ってきた宗教学者が、次世代へ伝える「生きる」こととは何か。宮沢賢治の作品にはなぜいつも「風」が吹くのか。ガンディーの「非暴力」による運動の真意とは……。高校生からの生と死をめぐる根源的な質問に、宗教学者が全身全霊で応えた、感動の対話。

感想・レビュー・書評

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  • 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子著もそうであったが、高校生とのスクール形式の著作は、わかりやすいし新たな発見がある。多神教が緩やかな平和に繋がっているという捉え方、宮沢賢治とガンジーの生き方に対する解釈が印象的。二人とも真似のできない生き方である。ただガンジーの非暴力闘争が、その後、隣国との対峙、核保有にある現実が寂しい。2020.9.24

  • 山折哲雄 「17歳からの死生観」 高校生向けの講演。文学や歴史をテキストにした人間学の授業。答えではなく 見方を学ぶ。このような取組は リベラルアーツ教育につながるのかもしれない


    質疑応答の質問者が優等生ばかりで忖度してる気がする。人生の失敗経験者の質問だったら、学生が実践を学ぶ機会になったのに と残念に思う


    宮沢賢治作品をテキストとして使っている。「風」と「デクノボウ」というキーワードで括り、目に見えないものを感じる感性や死との向き合い方を伝えている?

    風は 人間が神や悪魔になり、動物が人間と対等な関係になる 賢治の世界への呼び水となっているので、物語の中で 風を吹かせることは 感性の入口と出口のように感じた


    著者のデクノボウ解釈は 独特。デクノボウに神性や自己犠牲精神を見出す解釈を否定し、デクノボウ=人形=生命のない存在としている。

    宮沢賢治がデクノボウになりたい意図が 死にたい(妹の元に行きたい)にあるなら、南無妙法蓮華経を唱え続けた賢治像と矛盾しているようにも思う


  • 図書館返却期限なので最後まで読めなかったが、気になった第1章の宮沢賢治は面白かった。他は日本人から考える、無情感から考える、非暴力思想から考える
    斜め読みではこれらは難しかった。またの機会に読んでみたい

  • 山折氏への熱い尊敬が序文で書かれ、冒頭から気持ちが引いてしまった。
    講演録だから雰囲気を掴めないためか、共感できず疑問が残る部分が多くあった。それは私が17歳じゃないからか。もちろん良い部分もたくさんあるけど。
    本の終わりに近づき感じたのはお葬式などで聞く僧侶の説教。あれにはいつも『?』が頭の上に浮かぶ。それと似たようなものかも。あとがきの五味太郎氏の言葉はストンと腑に落ちた。結局、そういうことなのかな・・・と思った。「彼は孤独なんだろう」頑張って善と思うことを人に伝えようとすればがむしゃらになってしまう。
    でも、宗教に関心がなく読んで少し学びたい人には取り掛かりに良いと思う。

  • タイトルである「死生観」の話の印象はあまり残っていないのだが、宮澤賢治についての話が興味深く、面白かった。
    前書きとあとがきは正直無い方がいいレベルだと思う。
    生徒達の率直な質問を愚問と決めつけて断言し、それに応える教師である著者を素晴らしい褒めることは、生徒に対して失礼であるし、先生にとっても名誉ではないと思う。
    本当に「17才からの」本になるにはあまりにも若者にとって感じが悪いという気がした。
    といってもこれは著者以外の書いた部分なので、著者の先生と生徒のやり取りはそれこそ先生の人柄が表れており、真摯で分かりやすく良かった。

  • 宮沢賢治は、風の世界に敏感な詩人でした。注文の多い料理店、風の又三郎、銀河鉄道の夜にも風が吹いている 太陽はどういう音を出して回っているかというと、プシュ、パチ、プシュ、パチっていうような音を立てている 増田さんにマラソンとはいったいなんですか?と聞いた時、「死にに行くことです」42.195キロ(シニニイク)この世の三原理世界観、自然観、宗教観 

  • ガンジーの徹底的な非暴力。無常観と生き残りの物語。日本に生まれたこと・死に触れたこと、いろいろと噛み締めてこれからも生きたいものですね。

  • 高校生に対して、決して子供扱いせずに語る姿が想像できました。17歳と言うターニングポイントでその数倍も生きている人の話を聴くという貴重な体験は正直羨ましいと思いました。

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著者プロフィール

山折 哲雄(やまおり・てつお)
昭和6年サンフランシスコ生まれ。父は浄土真宗の海外布教使。震災の被災地岩手県花巻市で少年時代を送る。東北大学印度哲学科卒業。同大助教授を経て国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長などを歴任。むずかしいテーマを分かりやすく、かつ独得な視点から論じて読者を飽かさないユニークな宗教学者。専門の宗教学、思想史のほか、西行などの文学的テーマから美空ひばりまで、その関心とフィールドの広さは定評がある。『人間蓮如』『悪と往生』『ブッダは、なぜ子を捨てたか』『親鸞の浄土』など、著書は100冊を越える。

「2022年 『日本人の心と祈り 山折哲雄講演選集 CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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