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- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784101084121
感想・レビュー・書評
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社会派の法廷サスペンスのようでいて、本格ミステリの骨子がちゃんとある良作。
冤罪事件で高名な弁護士中西良一が、『赤石事件』の死刑囚沖田修一の再審に乗り出す。一方では父の無念を晴らしたいと、若い女性が水木法律事務所を訪れる。そして、13年前の殺人事件で有罪判決を受けた男は、無実を訴えたまま獄中死していた。
プロローグを読む限り、『赤石事件』の再審に燃える中西弁護士の物語かと思いきや、過去の別の冤罪事件を追う水木弁護士を中心に話が始まる。だが、その事件は中西良一が弁護士を志すきっかけとなる事件でもあった。水木は中西の協力をあおぎ再調査をはじめる。二人の弁護士が追う、二つの冤罪事件。その裁判の行方は。
情報が全て出揃っておらず、所々後出しの感はあるものの、凝った構成と予想の上の上をゆく展開には驚いた。あるきっかけから不利な裁判を逆転に導く光明を得るが、その着想も面白い。登場人物達の輪郭が、抑制された文章の行間からにじみ出ていた。
社会派の風貌で敬遠せず、ミステリ好きに読んでもらいたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
031030
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著者プロフィール
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