陰の判決 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1989年1月25日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784101084121

感想・レビュー・書評

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  • 社会派の法廷サスペンスのようでいて、本格ミステリの骨子がちゃんとある良作。

    冤罪事件で高名な弁護士中西良一が、『赤石事件』の死刑囚沖田修一の再審に乗り出す。一方では父の無念を晴らしたいと、若い女性が水木法律事務所を訪れる。そして、13年前の殺人事件で有罪判決を受けた男は、無実を訴えたまま獄中死していた。

    プロローグを読む限り、『赤石事件』の再審に燃える中西弁護士の物語かと思いきや、過去の別の冤罪事件を追う水木弁護士を中心に話が始まる。だが、その事件は中西良一が弁護士を志すきっかけとなる事件でもあった。水木は中西の協力をあおぎ再調査をはじめる。二人の弁護士が追う、二つの冤罪事件。その裁判の行方は。

    情報が全て出揃っておらず、所々後出しの感はあるものの、凝った構成と予想の上の上をゆく展開には驚いた。あるきっかけから不利な裁判を逆転に導く光明を得るが、その着想も面白い。登場人物達の輪郭が、抑制された文章の行間からにじみ出ていた。

    社会派の風貌で敬遠せず、ミステリ好きに読んでもらいたい。

  • 031030

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著者プロフィール

一九四七年、東京都生まれ。八三年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八八年「絆」で日本推理作家協会賞、九〇年「土俵を走る殺意」で吉川英治文学新人賞を受賞。他に「仇討ち東海道」「遠山金四郎」「風烈廻り与力・青柳剣一郎」「栄次郎江戸暦」「蘭方医・宇津木新吾」「親子十手捕物帳」「八丁堀赤鬼忠孝譚」「義賊・神田小僧」シリーズなど著書多数。

「2023年 『剣の約束 はぐれ武士・松永九郎兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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