新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 1043
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092058

作品紹介・あらすじ

貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。

感想・レビュー・書評

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  • この本は、家の本棚に積読していましたが、先日、山田正紀さんの『カムパネルラ』という、この本の表題作をモチーフにしたSF作品を読んで、本作も是非よまなければと、いまさらながらですが読みました。
    表題作以外の作品も入っていますが、自分の為の記録として表題作のみレビューをします。

    この作品は、学校ではいじめに遭い、父は帰って来ず、母が病に臥せっているジョバンニ少年がただ一人の親友であるカムパネルラと共に”銀河鉄道”に乗り、銀河を旅する物語です。
    一見、美しい天の川を二人の少年が汽車に乗って旅する、壮大なロマンの物語だと読めますが、最後まで読むと、カムパネルラは、現実世界で、既に川に溺れた級友を助けるために、自らも溺れて死にかけていて、死への旅であったことが最後まで読むとわかりました。

    何か別の本で、カムパネルラのモデルが賢治の妹のトシで、ジョバンニが賢治だと読んだことがあります。


    以下ジョバンニと、カムパネルラの最後の方のシーンを抜粋。
    「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか、百ぺんやいてもかまわない」
    「うん。僕だってそうだ」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
    「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」ジョバンニは云いました。
    「僕わからない」カムパネルラがぼんやり云いました。
    「僕たちしっかりやろうねえ」ジョバンニが胸いっぱい新しい力が湧くようにふうと息をしながら云いました。


    天沢退二郎さんの「収録作品について」によると、賢治は第一稿からほぼ十年かけて第四次稿にいたるまで三度の大幅な改稿を試み第三次稿まではジョバンニの入眠はブルカニロ博士による一種の催眠実験であり、博士自ら「黒い大きな帽子をかぶった青白い顔の痩せた大人」の姿で、車内に出現し、ジョバンニにものの見方・考え方や進むべき道を教えさとすことになっていたそうです。

  •   双子の星
    ポウセ童子とチュンセ童子が結果的には悪くても、良い行いをし、報われる。
      よだかの星
    みにくい鳥として生まれたよだかが、しのうと決心した時、自分が食べていた虫がどれだけ辛いかを知り、星となる。
      カイロ団長
    アマガエルがあることをきっかけにとのさまがえるの手下となり、すごい量の仕事をさせられる。だが、王様が次々に色々な法律を持って放送で流した。その法律により、アマガエルととのさまがえるは、仲良くなった。
      黄色のトマト
    蜂雀が小さい時に話してくれた物語(ペルペルとネリの物語)
      ひのきとひなげし
    悪魔がひなげしを食べようとあの手この手と考える。
      シグナルとシグナレス
    シグナルとシグナレスの、恋物語。
      猫の事務所
    猫の事務所で、かま猫というたぬきのような猫は、いじめられて、黒猫という理事長だけ自分のこと親切にしてくれていました。しかし、かま猫は熱で休んでしまいました。
    その時、他の猫が黒猫に嘘をつき、かま猫のことを悪く言いました。すると、翌日から黒猫や事務所のみんなからいじめられました。するとそれをみた獅子は、解散させました。
      北守将軍と三人兄弟の医者
    ある時、北守将軍が帰ってきた。だが、北守将軍は病気で、馬も病気で、体から全身植物が生えていた。その時、三人兄弟である医者に頼んだのである。そして北守将軍は王に5人の将軍を選べと言われた。将軍は、4人の将軍と3人兄弟の医者を選んだ。
      銀河鉄道の夜
    ジョバンニがカムパネルラと一緒に本当の幸せとは何かを求め、長い長い旅に出る。
      セロ弾きゴーシュ
    ゴーシュはセロをふくのが上手ではなかった。だが毎晩来る動物に嫌々起こりながら続けてやりセロをふくのが上手になった。
      飢餓陣営
    砲弾ににやられ、お腹が空いていた軍団の一員は、隊長
    の服についている勲章を食べようとする。食べてしまった一員は自殺しようとするが体調がとめ、ある体操を思いつく。
      ビジデリアン大祭
    ビジデリアンとは、動物質のものを食べない団体で、ビジデリアン大祭で、ビジデリアン信者と異教徒の沢山の議論をする。
      

  • 夏の間に
    どうしても読んでおきたかった一冊。


    ひなげしを食べようと
    あの手この手を使って騙そうとする悪魔と
    本当の美しさを
    ひなげしに説くひのきのやりとりが面白い
    「ひのきとひなげし」、

    花巻駅を舞台とした
    なんともロマンチックな恋物語
    「シグナルとシグナレス」、

    歌うように軽快な文章で語られる
    可哀想な象の話
    「オツベルと象」、

    人間社会を鋭く風刺した
    「猫の事務所」、

    楽団の中で一番下手だったセロ弾きの青年が
    子猫やカッコウや子狸や野ねずみ親子の力で
    仲間たちの信頼を得ていく
    「セロ弾きのゴーシュ」、

    そして孤独な少年が
    死者たちと巡る銀河への旅を通して
    生きる意味に気付いていく不朽の名作
    「銀河鉄道の夜」などを収めた
    珠玉の童話集です。


    特に「銀河鉄道の夜」を再読して、
    これほど痛切で
    美しい物語だったのかと
    この歳になって改めて感動しました。



    賢治が持つ宗教観の色濃い
    儚く深遠なストーリーと、

    水素よりも透明な銀河の水、
    サファイアやトパーズの河原、
    りんごと薔薇の匂いがする風など
    ロマンチックこの上ない比喩と
    ファンタジックな世界観。


    誰かのために命を賭けて死することが
    人間にとって本当の幸いだという
    賢治のメッセージ。


    賢治の伝えたかった思いを理解した上で
    あえて言葉を変えるなら、
    自分は誰かのために
    生きていきたい。

    自分を救ってくれた愛する人のために、
    自分を必要とする
    誰かの声に応えるために
    今を生きていたい。


    夢から覚め
    現実を生きていく決意をした
    ジョバンニのように。

    被災地の夜に読んだ
    賢治の「雨ニモマケズ」のように。


    悲しみを糧にして
    強く気高く。

    • 九月猫さん
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとう...
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとうございます。
      そちらにもお返事させていただきました。

      宮沢賢治、大好きです。
      詩も物語も、自然の中や身の回りのものを「在る」ままに
      見つめている感じがとても好きです。
      賢治の眼差しは、どこにも満遍なく注がれている陽のように、
      過不足なくあたたかく包み込んでくれる気がします。
      いつ読んでも、何度読んでも、大好きです。
      円軌道の外さんのレビューを読んで、また読みたくなってきて、
      「銀河鉄道の夜」だけぱらりと読みました。
      素敵なレビューをありがとうございます(*´∇`*)
      2013/08/24
    • 円軌道の外さん

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一...

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一冊だけです(笑)

      昔の作家が書いた童話が
      今の大人にも通用する理由は、

      今のように娯楽がない分、
      昔の本を読む人たちは(子供たちは)
      今の大人と比べて
      ずっと成熟していたんやと思うんですよね。

      考え方も
      生き方も。


      だから普通に
      哲学的な話を
      昔の子供たちは読んでたし、
      受け入れられてたんやと思うんです。


      今は本を作るにも
      規制が厳しいし、
      童話でさえ
      作者は自由に描けないから、

      どうしても子供に(もしくは親に)媚びた内容で
      分かりやすさに終始してまうんじゃないかな。


      てか、この作品の舞台やるなら
      俺も観てみたいなぁ~(≧∇≦)



      2013/12/01
    • 円軌道の外さん

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そう...

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そうなんですよね。
      宮沢賢治の眼差しは
      どんな生き物も区別することなく、
      暖かく注がれてるのを
      読むたびにスゴく感じるし、
      (宇宙的とも言えるし神の視点とも言えますよね)

      どの話も
      どこか詩的で
      ロマンチックですよね。


      特に「銀河鉄道の夜」は
      悲しさの中に
      一筋の希望が込められていて
      何度となく読みたくなるし、
      読む度に新たな発見がある
      永遠に語り継がれるべき名作だと思います(^_^)v


      2013/12/01
  • 友達が「よだかの星」を、過去に、演劇でやったことがあると話してくれたので、読んでみました。

    個人的には、表題作「銀河鉄道の夜」が1番好きです。
    背景描写がとても美しく独創的でした。
    映画や絵本にすると、活字の本とはまた違う意味で、素敵だろうなぁ…。

    そして何よりも、終盤のジョバンニの「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」の台詞が印象的でした。
    この物語では「幸(さいわい)」について、繰り返し語られます。
    人々は、いまと似たようなことで昔から悩んできたんですね。
    幸せって大切ですよね。
    しかし、物語の中では、それはあまり明確にされていません。
    強いて言うならば、正しいこと・良いことを行う、といったことくらい。
    人によって様々な感じ方・考え方があるとは思いますが、一理あると感じました。
    人として正しいことを行うこと、神と人とを愛して、神さまに喜ばれる生き方をすること、いつか天に召されたとき、何の恐れや迷いもなく神さまの御前に出て行って、「よくやった。良い忠実なしもべだ」と言っていただけること。
    こうしたことの1つ1つが「ほんとうの幸」に繋がるのかもしれません。
    また作中には、氷山にぶつかった船が沈没してジョバンニたちの乗る汽車にやって来た青年が、神さまのもとへ行くのだから、何も怖がる必要も悲しむ必要もない、といったようなことを言っていましたが、いまから自分の罪を悔い改めて、善い行いを積み重ねるよう心掛けて、天国で神さまにお会いできるのを楽しみにできるようになれたらいいなと思いました。
    そう考えると、死の恐怖も軽くなるのかもしれません。
    死について、神と人との関係について考えさせられる作品でした。
    もちろん、どんなことが本当の幸せなのか、自分の力で考え、探し出していくことも大切にしたいです。

    「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう」
    「けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ」(カムパネルラ)

    「ほんとうの神さまはもちろんたった一人です」
    「わたくしはあなた方がいまにそのほんとうの神さまの前にわたくしたちとお会いになることを祈ります」(青年)

    「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」
    「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」(ジョバンニ)

  • ケンジのあまりにも有名な童話「銀河鉄道の夜」を読んだ。
    童話の形をとりながらも子供にはちょっと難しいかな。
    銀河鉄道の夜等を読みながら、何故か悲しくなってしまった。死出の旅立ちが宇宙への旅なのか。
    長い暗闇・時間を彷徨う物語達。

  • お母さんのための「牛乳」を手に入れられなかった少年ジョバンニが、
    「銀河(milky way)」の旅に出る。
    モチーフがたくさん重なり合っていて、読み返す度に新たな発見ができた。
    いい作品は無駄がない。
    すべてのことに意味があるんだなぁと、物語の深さや厚みを知った。

    宮沢賢治は「さびしさ」の人。
    優しいあたたかい文章なのに、ずっと暗くてさびしい。
    だからこそきらきらした描写が際立つのでしょうな。
    光があれば影がある、というか。影があれば光がある、というか。

    映像を読んでいるかのような感覚になる文章も大好き。

    「下流の方は川はゞ一ぱい銀河が巨きく写って
    まるで水のないそのまゝのそれのやうに見えました。
    ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはづれにしかゐない
    といふやうな気がしてしかたなかったのです。」

  • 孤独な少年ジョバンニが友人カムパネルラと銀河鉄道を旅する、言わずと知れた宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』を表題とした宮沢賢治童話集。
    銀河鉄道からの美しい情景。この世ではない別の世界で、ジョバンニは不思議な出会いを数多くする。童話ならではの柔らかさをまとう夜の狭間で繰り広げられる、残る者と去る者の考え方。犠牲とは、幸福とは、命とは―何気ないやり取りの中にはさまざまなテーマが含まれている。読むたびに「生」に対し静かに、そして真摯に向き合いたくなる。
    決して手放しのハッピーエンドとはいえないけれど、不思議と温かい余韻が残る作品ばかり。表紙絵のように、宮沢賢治の作品には深い青色がよく似合う。

  • ずっと昔のまだ幼かった頃、こういう類の本をたくさん読んでいたことを、思いだした。
    悲しくても、貧しくても、美しい心が何よりも大切だ。

  • 銀河鉄道を含む、宮沢賢治さんの短編が綴られています。
    完成されることなく、空白として残されている部分が数多くあります。
    しかし、この空白に「宮沢さんは何と書こうとしたのだろう」と想像を巡らせます。

    全体的に読んでみて、まるで西洋の作品を感じていました。
    日本人作家にもこんなメルヘンなお話が書けるのか、と感服しました。

  • 「銀河鉄道」の文字だけで心が躍る。

    最後は現実に引き戻される。容赦ない。
    なんとなく救われた気分もあった。

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著者プロフィール

1896年〜1933年。多くの愛好者をもつ詩人・童話作家。「銀河鉄道の夜」「グルコーブドリの伝記」「風の又三郎」など多数の作品がある。

「2023年 『セロひきのゴーシュ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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