新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1989年6月19日発売)
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本 ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784101092058

感想・レビュー・書評

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  • まだ途中だけど
    定期的に読んで考察して深い読み方をしていきたい本。

    『よだかの星』
    まだ感想が言語化できない、、、。
    食物連鎖。
    私も市蔵には改名しない。笑

    『マリヴロンと少女』
    描写が美しい。

    『オツベルと象』
    は中学の時教科書で読んだかも。もっと意味を理解して読んでればよかった〜。人に流されちゃいけない、欲に溺れちゃいけない。

    『猫の事務所』
    猫ちゃんがちょっとでも悲しい想いしてるのムリ!猫ちゃんを物語に出すなら常にハッピーであれ。

  • 宮沢賢治著「銀河鉄道の夜」
    もう何度読んだろう、一番最初に読んだ時は中学生だった、最初から数えるなら35年はゆうに越えている。
    自分の人生で節目節目で出会う人々が共通してこの「銀河鉄道の夜」の話になることが多々あり、その都度読んできた作品。

    「雨ニモマケズ」と双輪、言わずも知れた宮沢賢治の代表作。今作品は他に幾つかも作品が収集されているのだが今回はこの「銀河鉄道の夜」の事だけを書き残したい。

    門井さんの直木賞受賞作品「銀河鉄道の父」を読んで、やはり息子賢治の此方の作品ももう一度読みたいと思わされた。

    この作品の秀逸な点は幾つもあるのだが、まずタイトルだと思う。
    これほど華麗でセンスのある、素敵なタイトルってなかなか無いような気がする。決して造語でも横文字でもないのに、作品のなかみを知らなくても凄くファンタジーを連想させる素晴らしさ。一発で興味をひくインパクト。

    そしてもう一つの魅力が唯一無二の幻想力。ファンタジーはあまり好きではないのだが宮沢賢治のものは一味違う。
    宮沢賢治という人物を知れば知るほど色んなフィルターを通過していき、文章が透明に澄んでゆく不思議な魅力がある。

    内容も未完成なのか?と思わせるような物語。少年二人、ジョバンニと親友カムパネルラの不思議なファンタジー。
    「死」が大きなテーマなのだが、読みようによっては生きていく為の教訓のようにも見える。ジョバンニは多くの志半ばの人の「死」を銀河鉄道の列車の中で触れ、認識し、彼に「生」としての生き甲斐を再認識させているようにも読み取れる。

    物語は荒削りで、場面場面の切り替えも結構唐突に展開されている。まるで一気に書き上げられた作品のような気がする。
    この作品の凄いのが戦前、大正もしくは昭和初期に書かれたであろうという事実。時代背景等を踏まえればとにもかくにも異端だったろうと思う。
    そして生前中に発表されること無く、死後に評価され発表されるという運命。今現在もファンを虜にしている凄さ。
    そういう運命的でかつ短命だった宮沢賢治という人物に強烈なカリスマ性を感じさせられる。

    小学生中学生が読む童話として書いたのだろうが、それにしては深いと思う。自分も中学生の時に読んだ時は意味が分からなかった。これは宇宙の話なのか?活字拾い?牛乳に角砂糖?十字架?キリスト教?ハレルヤ?の「?」の連続だった事を思い出す。
    この作品の奥行きはある程度の経験と知識と年齢を重ねないと理解できない。

    20年位前になるがディカプリオ主演の「タイタニック」の映画が大きな話題をさらい一大ムーブメントが起きた。その時タイタニック号が「銀河鉄道の夜」での座礁した沈没船だと知った時は凄い衝撃を受けた。
    「タイタニック」はあの列車に乗り込んできた人達の生前の物語なのかと。
    ディカプリオの演じていた方も、銀河鉄道に乗車してきたのではないだろうかと。
    二つの別々の物語が妙に混同しだし別物と分かっていながらも結びつけようとしてしまう。
    その時分再度読み直した記憶がある。
    今の若い人達は認知度的に「映画タイタニック」→「銀河鉄道の夜」と自分とは順番を逆にして驚く事だろうと思う。

    節目節目で接するこの作品。
    今後も何度も読み直す機会が訪れるだろう、その都度読み直していこうと思っている。

    • しずくさん
      NSFMさん、イイネをありがとうございました。
      賢治15歳の時にタイタニック号沈没事件があって、そのことが『銀河鉄道の夜』に反映されている...
      NSFMさん、イイネをありがとうございました。
      賢治15歳の時にタイタニック号沈没事件があって、そのことが『銀河鉄道の夜』に反映されているということ、検索して驚きました。
      映画も観ているのに初めて知りました。
      結構話題になったのですね(((;´•ω•`;)))ビックリ!?
      こんな気づきを提供して下さるのでブク友は嬉しいご縁です。
      ありがとうございました。

      2024/06/12
    • NSFMさん
      しずくさん、コメントありがとうございます。
      皆さんのレビューみて読後に知る事が本当に多く、違う見解をしてる方の考えも読む事ができてとても面白...
      しずくさん、コメントありがとうございます。
      皆さんのレビューみて読後に知る事が本当に多く、違う見解をしてる方の考えも読む事ができてとても面白いと思ってます。
      これからも宜しくお願いいたします。
      2024/06/12
  •  ついに、いつかいつか…読もうと思っていた宮沢賢治さんを読みました!!!こちらの文庫、積んでしまってどのくらい経つのか…まぁ~今回読めたからOKということにしましょう。

     この小さな文庫に、14編もの童話が収められています。童話っていっても難しい作品もあれば、クスッと笑える場面もあったりして、みんなバラバラでそれがまたいい感じなんですよねぇ…。表題作の「銀河鉄道の夜」は、ストーリもよかったけれど、幻想的な雰囲気が感じられる文章がよかったです。あと「双子の星」はふたりがいい子すぎてなんとも癒されるし、「よだかの星」はよだかの切ない過ぎる思いが伝わってきて…いい作品ですよね!

     リアルに星空を見上げて、銀河鉄道に思いを馳せたくなるような作品でした。これから、寒くなって空気も澄んで、星がキレイに見えるようになりますもんね!寒くないようにいっぱい着込んで、外に出てみようかと思いました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん!!おはようございます♪
      わぁー、ありがとうございます(*^^*)ᴠ

      かなさ〜ん!!おはようございます♪
      わぁー、ありがとうございます(*^^*)ᴠ

      2023/10/18
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ~
      チーニャさんが、宮沢賢治さんの世界を堪能する
      きっかけを作ってくれました~!
      ...
      チーニャさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ~
      チーニャさんが、宮沢賢治さんの世界を堪能する
      きっかけを作ってくれました~!
      ありがとうございます!!
      2023/10/19
  • 何度目かの再読。
    比喩表現が美しいなぁといつもうっとりします。
    銀河鉄道の夜の中に出てくる桔梗色の空、とても印象的で空を見上げて探していますが、今のところ「これかも!」というものにはまだ出逢えておらず、ワクワクします。

    • まことさん
      にゃんちびさん。こんばんは♪

      いつも、いいね!をたくさんありがとうございます。
      にゃんちびさんのレビューは久しぶりですね。
      桔梗色の空を見...
      にゃんちびさん。こんばんは♪

      いつも、いいね!をたくさんありがとうございます。
      にゃんちびさんのレビューは久しぶりですね。
      桔梗色の空を見上げて探していらっしゃるなんて、とても素敵なレビューですね。
      私も、この本は、ブクログで読んでいて、自分のレビューも今、再読しましたが、こんな素敵なレビューではなかったです。
      にゃんちびさんも、レビューがこの頃少なくて、淋しいので、また、お時間があればレビュー拝見できるのを、楽しみにしています。
      2023/02/26
    • にゃんちびさん
      まことさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!

      あまりに有名な本なので、私の拙い言葉でレビューなんて烏滸がましいかしら…と思い...
      まことさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!

      あまりに有名な本なので、私の拙い言葉でレビューなんて烏滸がましいかしら…と思いながら笑
      一度読んだ時からずっと、どんな空だろう…さぞかし美しいんだろうなぁ…と思いながら見上げています。
      難しい表現も多いですが、やはり文豪の純文学、日本の宝ですよね!
      私もまことさんのレビューを毎回楽しみにしています。ここではいつもワクワクする本に出逢えて嬉しいです。
      2023/02/26
  • この本は、家の本棚に積読していましたが、先日、山田正紀さんの『カムパネルラ』という、この本の表題作をモチーフにしたSF作品を読んで、本作も是非よまなければと、いまさらながらですが読みました。
    表題作以外の作品も入っていますが、自分の為の記録として表題作のみレビューをします。

    この作品は、学校ではいじめに遭い、父は帰って来ず、母が病に臥せっているジョバンニ少年がただ一人の親友であるカムパネルラと共に”銀河鉄道”に乗り、銀河を旅する物語です。
    一見、美しい天の川を二人の少年が汽車に乗って旅する、壮大なロマンの物語だと読めますが、最後まで読むと、カムパネルラは、現実世界で、既に川に溺れた級友を助けるために、自らも溺れて死にかけていて、死への旅であったことが最後まで読むとわかりました。

    何か別の本で、カムパネルラのモデルが賢治の妹のトシで、ジョバンニが賢治だと読んだことがあります。


    以下ジョバンニと、カムパネルラの最後の方のシーンを抜粋。
    「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか、百ぺんやいてもかまわない」
    「うん。僕だってそうだ」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
    「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」ジョバンニは云いました。
    「僕わからない」カムパネルラがぼんやり云いました。
    「僕たちしっかりやろうねえ」ジョバンニが胸いっぱい新しい力が湧くようにふうと息をしながら云いました。


    天沢退二郎さんの「収録作品について」によると、賢治は第一稿からほぼ十年かけて第四次稿にいたるまで三度の大幅な改稿を試み第三次稿まではジョバンニの入眠はブルカニロ博士による一種の催眠実験であり、博士自ら「黒い大きな帽子をかぶった青白い顔の痩せた大人」の姿で、車内に出現し、ジョバンニにものの見方・考え方や進むべき道を教えさとすことになっていたそうです。

  •   双子の星
    ポウセ童子とチュンセ童子が結果的には悪くても、良い行いをし、報われる。
      よだかの星
    みにくい鳥として生まれたよだかが、しのうと決心した時、自分が食べていた虫がどれだけ辛いかを知り、星となる。
      カイロ団長
    アマガエルがあることをきっかけにとのさまがえるの手下となり、すごい量の仕事をさせられる。だが、王様が次々に色々な法律を持って放送で流した。その法律により、アマガエルととのさまがえるは、仲良くなった。
      黄色のトマト
    蜂雀が小さい時に話してくれた物語(ペルペルとネリの物語)
      ひのきとひなげし
    悪魔がひなげしを食べようとあの手この手と考える。
      シグナルとシグナレス
    シグナルとシグナレスの、恋物語。
      猫の事務所
    猫の事務所で、かま猫というたぬきのような猫は、いじめられて、黒猫という理事長だけ自分のこと親切にしてくれていました。しかし、かま猫は熱で休んでしまいました。
    その時、他の猫が黒猫に嘘をつき、かま猫のことを悪く言いました。すると、翌日から黒猫や事務所のみんなからいじめられました。するとそれをみた獅子は、解散させました。
      北守将軍と三人兄弟の医者
    ある時、北守将軍が帰ってきた。だが、北守将軍は病気で、馬も病気で、体から全身植物が生えていた。その時、三人兄弟である医者に頼んだのである。そして北守将軍は王に5人の将軍を選べと言われた。将軍は、4人の将軍と3人兄弟の医者を選んだ。
      銀河鉄道の夜
    ジョバンニがカムパネルラと一緒に本当の幸せとは何かを求め、長い長い旅に出る。
      セロ弾きゴーシュ
    ゴーシュはセロをふくのが上手ではなかった。だが毎晩来る動物に嫌々起こりながら続けてやりセロをふくのが上手になった。
      飢餓陣営
    砲弾ににやられ、お腹が空いていた軍団の一員は、隊長
    の服についている勲章を食べようとする。食べてしまった一員は自殺しようとするが体調がとめ、ある体操を思いつく。
      ビジデリアン大祭
    ビジデリアンとは、動物質のものを食べない団体で、ビジデリアン大祭で、ビジデリアン信者と異教徒の沢山の議論をする。
      

  • 夏の間に
    どうしても読んでおきたかった一冊。


    ひなげしを食べようと
    あの手この手を使って騙そうとする悪魔と
    本当の美しさを
    ひなげしに説くひのきのやりとりが面白い
    「ひのきとひなげし」、

    花巻駅を舞台とした
    なんともロマンチックな恋物語
    「シグナルとシグナレス」、

    歌うように軽快な文章で語られる
    可哀想な象の話
    「オツベルと象」、

    人間社会を鋭く風刺した
    「猫の事務所」、

    楽団の中で一番下手だったセロ弾きの青年が
    子猫やカッコウや子狸や野ねずみ親子の力で
    仲間たちの信頼を得ていく
    「セロ弾きのゴーシュ」、

    そして孤独な少年が
    死者たちと巡る銀河への旅を通して
    生きる意味に気付いていく不朽の名作
    「銀河鉄道の夜」などを収めた
    珠玉の童話集です。


    特に「銀河鉄道の夜」を再読して、
    これほど痛切で
    美しい物語だったのかと
    この歳になって改めて感動しました。



    賢治が持つ宗教観の色濃い
    儚く深遠なストーリーと、

    水素よりも透明な銀河の水、
    サファイアやトパーズの河原、
    りんごと薔薇の匂いがする風など
    ロマンチックこの上ない比喩と
    ファンタジックな世界観。


    誰かのために命を賭けて死することが
    人間にとって本当の幸いだという
    賢治のメッセージ。


    賢治の伝えたかった思いを理解した上で
    あえて言葉を変えるなら、
    自分は誰かのために
    生きていきたい。

    自分を救ってくれた愛する人のために、
    自分を必要とする
    誰かの声に応えるために
    今を生きていたい。


    夢から覚め
    現実を生きていく決意をした
    ジョバンニのように。

    被災地の夜に読んだ
    賢治の「雨ニモマケズ」のように。


    悲しみを糧にして
    強く気高く。

    • 九月猫さん
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとう...
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとうございます。
      そちらにもお返事させていただきました。

      宮沢賢治、大好きです。
      詩も物語も、自然の中や身の回りのものを「在る」ままに
      見つめている感じがとても好きです。
      賢治の眼差しは、どこにも満遍なく注がれている陽のように、
      過不足なくあたたかく包み込んでくれる気がします。
      いつ読んでも、何度読んでも、大好きです。
      円軌道の外さんのレビューを読んで、また読みたくなってきて、
      「銀河鉄道の夜」だけぱらりと読みました。
      素敵なレビューをありがとうございます(*´∇`*)
      2013/08/24
    • 円軌道の外さん

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一...

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一冊だけです(笑)

      昔の作家が書いた童話が
      今の大人にも通用する理由は、

      今のように娯楽がない分、
      昔の本を読む人たちは(子供たちは)
      今の大人と比べて
      ずっと成熟していたんやと思うんですよね。

      考え方も
      生き方も。


      だから普通に
      哲学的な話を
      昔の子供たちは読んでたし、
      受け入れられてたんやと思うんです。


      今は本を作るにも
      規制が厳しいし、
      童話でさえ
      作者は自由に描けないから、

      どうしても子供に(もしくは親に)媚びた内容で
      分かりやすさに終始してまうんじゃないかな。


      てか、この作品の舞台やるなら
      俺も観てみたいなぁ~(≧∇≦)



      2013/12/01
    • 円軌道の外さん

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そう...

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そうなんですよね。
      宮沢賢治の眼差しは
      どんな生き物も区別することなく、
      暖かく注がれてるのを
      読むたびにスゴく感じるし、
      (宇宙的とも言えるし神の視点とも言えますよね)

      どの話も
      どこか詩的で
      ロマンチックですよね。


      特に「銀河鉄道の夜」は
      悲しさの中に
      一筋の希望が込められていて
      何度となく読みたくなるし、
      読む度に新たな発見がある
      永遠に語り継がれるべき名作だと思います(^_^)v


      2013/12/01
  • 童話作家宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」を始めとして「双子の星」「よだかの星」「オツベルと象」「猫の事務所」「セロ弾きのゴーシュ」など14の童話が収録されている。宮沢賢治の作品には独自の宗教観や自然観を通して人間の姿が描かれている。
    「銀河鉄道の夜」は子供の頃に読んだことがあるが、悲しい物語という印象があった。久しぶりに読んでみるといろいろと考えさせられる。子ども向けに書かれた童話とは思えないくらい奥が深い。
    「ほんとうのさいわい」という言葉を通して宮沢賢治が伝えたかったことは何なのだろう。
    天の川の水の描写もとても美しく心に残った。
    カムパネルラのモデルは、宮沢賢治の最愛の妹トシではないかという説もあるそうだ。
    米津玄師が作った「カンパネルラ」という曲は、カンパネルラに助けられたザネリの想いを歌った曲ということなので聴いてみたいと思った。

    心に残った言葉
    ・「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸(さいわい)になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」(カンパネルラ)P208
    ・「ぼくわからない。けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」(カンパネルラ)P208
    ・(こんなしずかないいとこで僕はどうしてもっと愉快になれないだろう。どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。けれどもカムパネルラなんかあんまりひどい、僕といっしょに汽車に乗っていながらまるであんな女の子とばかり談しているんだもの。僕はほんとうにつらい。)(ジョバンニ)P242
    ・「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまかとのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。そしたらいつか蠍はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん仰ったわ。ほんとうにあの火それだわ。」(女の子)P249
    ・「カンパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」(ジョバンニ)P255
    ・「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」(ジョバンニ)P255
    ・「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」(ジョバンニ)P256

  • 新潮文庫の100冊(2024)にあったので、読んでみました。

    宮沢賢治の物語はあらすじは大体知っていたものの、原文を読んだことがなかったんですよね。
    改めて読んでみると、自分でも思わぬ感想が出てきました。

    わたしはこの小説(短編含め)を読んだとき、理解できなかったのです。大真面目に何を言っているのか理解できなかった。。。(私の読解力の問題だと思います)

    そんな時は夫に助け舟を出してもらうのですが、これがしっくりきたのです。

    宮沢賢治はエンタメを作ろうとしたのではなく、0から1を作り上げた芸術家なのではないか、と言う事です。

    これだけ世の中にエンタメが溢れていると、私たちの脳は良くも悪くもエンタメ慣れしているんですよね。
    なので、この作者は読者である私たちにどんな面白い物を提供してくれるのか、という期待を抱いて読むと「?」となってしまうんです。

    しかし、0→1を作り上げようとしていた、と考えると読み方が変わりませんか??
    この短編集の集まりは「銀河鉄道の夜」を作るためのアイデアの寄せ集めでもあると言えます。
    あれやこれやアイデアを出しては小さなストーリーを作り、それらをまとめて大作を作り上げる、みたいな。
    (なので、原文にエンタメを求めてはいけないと思う)
    実際に「双子の星」「シグナルとシグナレス」は「銀河鉄道の夜」のサイドストーリーのような内容です。(ほかにもあるかもしれないけど、わたしは読み解けなかった)
    本一冊、「銀河鉄道の夜」の世界にどっぷり浸れます。
    (全く別のストーリーも含まれてますが)

    それに、「銀河鉄道の夜」がなければ「銀河鉄道999」は世に出てこなかったかもしれません。
    それ以外に「銀河鉄道の夜」をベースに作り上げた漫画や小説、アニメ、映画はかなりあります。
    (具体的なタイトルが出てこない・・・)
    それくらい後世に影響を与えているんですよね。

    わたしは宮沢賢治=児童文学のイメージがあったので、すんなり読み解けると思っていたのですが、甘かったですね。。。
    あくまで個人的な感想ですので、あしからず。

  • ケンジのあまりにも有名な童話「銀河鉄道の夜」を読んだ。
    童話の形をとりながらも子供にはちょっと難しいかな。
    銀河鉄道の夜等を読みながら、何故か悲しくなってしまった。死出の旅立ちが宇宙への旅なのか。
    長い暗闇・時間を彷徨う物語達。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮沢賢治の作品

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