新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 887
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092058

作品紹介・あらすじ

貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。

感想・レビュー・書評

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  • 夏の間に
    どうしても読んでおきたかった一冊。


    ひなげしを食べようと
    あの手この手を使って騙そうとする悪魔と
    本当の美しさを
    ひなげしに説くひのきのやりとりが面白い
    「ひのきとひなげし」、

    花巻駅を舞台とした
    なんともロマンチックな恋物語
    「シグナルとシグナレス」、

    歌うように軽快な文章で語られる
    可哀想な象の話
    「オツベルと象」、

    人間社会を鋭く風刺した
    「猫の事務所」、

    楽団の中で一番下手だったセロ弾きの青年が
    子猫やカッコウや子狸や野ねずみ親子の力で
    仲間たちの信頼を得ていく
    「セロ弾きのゴーシュ」、

    そして孤独な少年が
    死者たちと巡る銀河への旅を通して
    生きる意味に気付いていく不朽の名作
    「銀河鉄道の夜」などを収めた
    珠玉の童話集です。


    特に「銀河鉄道の夜」を再読して、
    これほど痛切で
    美しい物語だったのかと
    この歳になって改めて感動しました。



    賢治が持つ宗教観の色濃い
    儚く深遠なストーリーと、

    水素よりも透明な銀河の水、
    サファイアやトパーズの河原、
    りんごと薔薇の匂いがする風など
    ロマンチックこの上ない比喩と
    ファンタジックな世界観。


    誰かのために命を賭けて死することが
    人間にとって本当の幸いだという
    賢治のメッセージ。


    賢治の伝えたかった思いを理解した上で
    あえて言葉を変えるなら、
    自分は誰かのために
    生きていきたい。

    自分を救ってくれた愛する人のために、
    自分を必要とする
    誰かの声に応えるために
    今を生きていたい。


    夢から覚め
    現実を生きていく決意をした
    ジョバンニのように。

    被災地の夜に読んだ
    賢治の「雨ニモマケズ」のように。


    悲しみを糧にして
    強く気高く。

    • 九月猫さん
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとう...
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとうございます。
      そちらにもお返事させていただきました。

      宮沢賢治、大好きです。
      詩も物語も、自然の中や身の回りのものを「在る」ままに
      見つめている感じがとても好きです。
      賢治の眼差しは、どこにも満遍なく注がれている陽のように、
      過不足なくあたたかく包み込んでくれる気がします。
      いつ読んでも、何度読んでも、大好きです。
      円軌道の外さんのレビューを読んで、また読みたくなってきて、
      「銀河鉄道の夜」だけぱらりと読みました。
      素敵なレビューをありがとうございます(*´∇`*)
      2013/08/24
    • 円軌道の外さん

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一...

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一冊だけです(笑)

      昔の作家が書いた童話が
      今の大人にも通用する理由は、

      今のように娯楽がない分、
      昔の本を読む人たちは(子供たちは)
      今の大人と比べて
      ずっと成熟していたんやと思うんですよね。

      考え方も
      生き方も。


      だから普通に
      哲学的な話を
      昔の子供たちは読んでたし、
      受け入れられてたんやと思うんです。


      今は本を作るにも
      規制が厳しいし、
      童話でさえ
      作者は自由に描けないから、

      どうしても子供に(もしくは親に)媚びた内容で
      分かりやすさに終始してまうんじゃないかな。


      てか、この作品の舞台やるなら
      俺も観てみたいなぁ~(≧∇≦)



      2013/12/01
    • 円軌道の外さん

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そう...

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そうなんですよね。
      宮沢賢治の眼差しは
      どんな生き物も区別することなく、
      暖かく注がれてるのを
      読むたびにスゴく感じるし、
      (宇宙的とも言えるし神の視点とも言えますよね)

      どの話も
      どこか詩的で
      ロマンチックですよね。


      特に「銀河鉄道の夜」は
      悲しさの中に
      一筋の希望が込められていて
      何度となく読みたくなるし、
      読む度に新たな発見がある
      永遠に語り継がれるべき名作だと思います(^_^)v


      2013/12/01
  • 小生にとってとってもとっても思い入れのある一冊。
    それは小生がまだ年端もいかぬ純粋に読書を楽しんでいた頃。
    『良書に親しめ』というある方のスローガンに則り、母が、国語の便覧に載っていた文豪たちの作品をかたっぱしから集めてくれたのです。
    ねだると文豪の本だけは二つ返事で買ってくれたものでした。


    ASDの人は、想像力がないと言われがちですし、共感能力がないから物語文はダメダメと思われていますが、小生は毛色が違うようで、一文一文が情景をありありとイメージして読むことに、登場人物のセリフにウキウキすることに、それはそれは楽しくて仕方がなかったのでありました。
    この「銀河鉄道の夜」との出会いは、深夜に観たあのアニメーションが始まりでした。その結末を知っていてもやはり読ませる文章ですから、読む手が止まりません。
    夜にベッドの上でこの本を開いてちびちびと味わうように読んでいました。
    読み終えたらもったいないと楽しみにとっておきたくて、夜を待って少しずつ味わって読んだものでした。

    自己犠牲と二人の少年の友情。
    優しさ、幸せとはなんだろう。二人の少年が行き着く答えは、一体なんでしょう。
    この文章の裏には、キリスト教やタイタニック号の話が織り込まれていてハッとしました。

    宮沢賢治のその文体を分析した方がいらっしゃいましたが、その方の論考も読み合わせるとなるほどと頷けるはず。

    アンソロジーとしても優れていて、教科書に採用された「オツベルと象」から朗読に使われていた「セロ弾きのゴーシュ」まで粒よりです。

    小生は、この中でも「猫の事務所」が好きでした。
    今や学校でも職場でも”いじめ”が流行っていますが、最後の結末部に賢治の意思が出ています。
    賢治らしいなと小生は思いました。

    • nejidonさん
      読書猫さん、こんばんは♪
      いつも丁寧なレビューで、読みごたえがありますね。
      共感能力が無い?ま・さ・か!

      ところで「猫の事務所」が...
      読書猫さん、こんばんは♪
      いつも丁寧なレビューで、読みごたえがありますね。
      共感能力が無い?ま・さ・か!

      ところで「猫の事務所」がお好きでしたか。
      私はあの作品は辛くてなりません。
      自分の席を奪われて悔しさに泣く場面がありますが、一緒に泣いてしまいます。
      胸をえぐられるような辛さを感じます。
      仕事をしてもしていなくても、同じような場面に遭遇することはあります。
      現実にはお話のような唐突な幕切れなどなくて、知恵をしぼって格闘しております(笑)。
      おそらくは、賢治さんにも同じようなことがあったのかなと勝手に想像してます。
      そうでなければ、題材にはしないようなストーリーですよね。
      2017/10/27
    • 夜型読書人さん
      わあっ、nejidonさん、今晩は。
      コメントありがとう御座いますm(_ _)m
      天候がうつらうつらと暗く、肌寒くなってきましたね。
      ...
      わあっ、nejidonさん、今晩は。
      コメントありがとう御座いますm(_ _)m
      天候がうつらうつらと暗く、肌寒くなってきましたね。
      お元気ですか。

      「猫の事務所」は主役の釜猫が気の毒で仕方ないのですが、最後にライオンさんが現れて助けてくれましたよね。
      そこに、苦しんでいる者にこそ救いがあるように感じられたのです。
      おっしゃるように、賢治にはなんらかの思いがあったのかもしれません。願いとか…。

      夏目漱石の「吾輩は猫である」のわんぱくさとは打って変わって、違った猫感がありましたね。だからこそ印象に残ったのかもしれません(笑)

      現実は厳しいですね。
      ニュースを観ていると耐えかねて命を落とす方もいらっしゃいます。
      しかしながらそういう時に賢治の思いに触れてみたくなります。
      文学って肌で感じていることとすりあわせて読めますもの。
      最近の文学についてはめっきり疎いのですが、その昔の文学は肌と頭で感じ取れる良さがあると小生は思うのです。
      2017/10/27
  •  facebookでの「千年読書会」というコミュニティにお誘いいただいて、久々に再読。といっても、細かいところはほぼ忘れていましたが、、(汗

     星々の光に照らされて夜空を駆け抜ける、一両の鉄道列車。行き先は“次なる世界”、そして乗客は不帰の人々、になるのでしょうか。

     この辺り、須弥山の思想なんかも感じさせてくれて、ある意味、古来から続く日本の“死生観”が発露されてもいるのかな、と。石炭袋の設定も“黄泉比良坂”の大穴ともリンクしてそうですし、横文字の名前が多いにもかかわらず、不思議と西洋のイメージは残りませんでした。

     なお、私の中での映像イメージは『銀河鉄道999』にだいぶ影響をもらっています。

     どちらも、どこかに“行きて戻りし”物語であることは共通ですが、あちらは“永遠の命”を求めて、こちらは“次の世界”への橋渡しとして。“旅”の果てに求めるものは“幻影”なのか“夢”なのか。999での“時の輪のどこかでまた会える”なんてフレーズを思い出してみたりも。ん、共通しているのは“幸せ”とは何なのか、との点でしょうか。

     この根底には仏教で言う輪廻転生も感じさせられましたが、、これらの“連環”から醒めた時に向き合う“現実”とは、さて。結局のところ、未完のまま取り残されているのですが、この先の物語を夢想してみるのも楽しそうです。

     ジョバンニとカンパネルラは、またどこかの“駅”ですれ違うコトがあったのか、はたまた、時空を越えた“神隠し”からの回帰なんていうコトもあったのか、とも。現世と幽世の境は意外と、近くて薄いのかもしれません、なんて。

     戦前から変わらずに長く読み継がれているのは、その表現の美しさ、儚さもあると思いますが、日本人の死生観という“民族意識の根底”を揺さぶる要素が籠められているのもあるのかな、ともなんとなく。そういった意味では、考えながら読むのではなく、感じながら読む物語なのかも、知れません。

     子どもに読み聞かせようと思ったら、どのような結末で伝えればいいのか、いろいろと模索してみたいところです。

  • 孤独な少年ジョバンニが友人カムパネルラと銀河鉄道を旅する、言わずと知れた宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』を表題とした宮沢賢治童話集。
    銀河鉄道からの美しい情景。この世ではない別の世界で、ジョバンニは不思議な出会いを数多くする。童話ならではの柔らかさをまとう夜の狭間で繰り広げられる、残る者と去る者の考え方。犠牲とは、幸福とは、命とは―何気ないやり取りの中にはさまざまなテーマが含まれている。読むたびに「生」に対し静かに、そして真摯に向き合いたくなる。
    決して手放しのハッピーエンドとはいえないけれど、不思議と温かい余韻が残る作品ばかり。表紙絵のように、宮沢賢治の作品には深い青色がよく似合う。

  • これだけの文章を読んでいると、40代にならないうちに亡くなってしまったのも不思議と納得してしまう。
    文章が透明で純粋すぎるもの。
    透明すぎて悲しいもの。
    きっと現世でいきているのはつらかっただろう、と思わせてしまうくらいに。達観と希望と絶望と、一つ一つの話で、さまざまなものが垣間見えてしまう。


    才能があっても健康で長生きしてる人ももちろん存在するけど、大半の人は才能や力と引き換えに、別のものをあらかじめ差し出しているように思う。それが例えば寿命であったり、人柄であったり周囲の環境であったり。
    どこかで精算が行われてしまうんじゃないかなあ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どこかで精算が行われてしまう」
      確かに、、、
      夭折した創作者の作品には、命と引き換えにしなければ表すコトが出来なかったかも知れない、凄さ重...
      「どこかで精算が行われてしまう」
      確かに、、、
      夭折した創作者の作品には、命と引き換えにしなければ表すコトが出来なかったかも知れない、凄さ重さ潔さがありますね。。。
      2013/03/28
  • 『セロ弾きのゴーシュ』
    セロを弾くのが下手なゴーシュは、セロを家に持って帰り夜な夜な練習する。毎晩いろんな動物がやってきて嫌がりながら怒りながらも、セロの演奏をするうちに、ゴーシュの腕は見る見るうまくなっていった。演奏会も大成功。
    地道な練習が大事。「努力に勝るものはなし」。

  • 杉井ギサブロー監督のオススメ作品
    「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

    杉井監督レビュー
    アニメーション映画化させてもらった作品だが、星空を見上げるたびに、生命という存在が宇宙と共に在るということを想わせてくれた作品。

  • カンパネルラとジョバンニが銀河鉄道を旅しております。

  • 小さい時にも読んだと思うけど、大人になって改めて読んでみた。
    これはもう、小説ではなくて、絵本だと思った。
    文字を読んでいるはずなのに、頭の中では色彩豊かにその情景がまさに上映されている。
    今、どんな話だったかなと思い出しても、色んな場面が絵として出てきます。
    すごい!不思議な読書体験でした。

    そして、こんなストーリーだったんですね。
    ただの鉄道旅行の話ではなかったのか。深い!そして悲しい。

    今まで古い本はあまり読んでこなかったけど、文体は確かに読みにくいけどそれを補って余りある面白さ!
    天才です。これは確かに名作!!

  • 誰でも聞いたことがある、けど読んでる人は少ないよねってこないだテレビでやってたので買いました。宮沢賢治の作品は学生時代に授業で触れたオツベルと象、永訣の朝、やまなしくらいだったけど、この一冊を通じて宮沢賢治という人がとんでもないロマンチストなのだと思い知らされた。
    作者に対する漠然とした印象として、ネガティブで繊細な人なんだろうな、というイメージがあったんだけど、その孤独によって育まれた想像力がこれだけの作品を生み出す力になっているんだろうなと。
    双子の星の話や陽気なカエルの話、自分が好きなバンドのamazarashiが歌詞で使ってるシグナルとシグナレスの話などを楽しみながらたどり着いた目的の表題作品「銀河鉄道の夜」は、まさしくタイトルの通り、美しく切なく燦然と輝く星空をそのまま物語に閉じこめたような傑作。かつて自分が幼い頃に持っていたはずの、今はすっかり枯れてしまったような、文章を通じて無限に想像を膨らませることの楽しさを思い出させてくれた気がして泣きそうになってしまった。二段ベッドの下に弟が、上に自分が横になり、マンションの3階の窓から見える夜景を毎晩眺めながら、その夜空を飛び回る妄想をして眠りに就いていたころが懐かしい。
    ちょっと上に書いたamazarashiの「スターライト」という曲が、まさに銀河鉄道の夜を意識して作られた曲になっているので、読んでいる間に何度も頭の中で流れてきた。それはある意味純粋な姿勢で作品と向き合えなかったことになるわけだけども、自分にとってはそれが付加価値となることで、いっそう特別な物語として心に刻まれた。幸福とは何か…それを考え続けることが生きることなのだとしたら、自分はこれからも創作を通じて死ぬまで生きていきたい。その道中で流れる涙は通り過ぎる駅だ。

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著者プロフィール

宮沢賢治(みやざわ けんじ)
1896年岩手県花巻市に生まれる。中学生の頃から短歌制作を開始し、盛岡高等農林学校卒業後、童話を書き始める。1921年に稗貫学校(のち花巻農林学校)の教師となり、詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を刊行。26年農学校を退職して、みずから農民となり、33年に37歳で病死。主な作品に、童話「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」、詩「永訣の朝」「雨ニモマケズ」などがある。

「2019年 『セロひきのゴーシュ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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銀河鉄道の夜 Audible版 銀河鉄道の夜 宮沢賢治

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