新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 889
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092058

感想・レビュー・書評

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  • 誰でも聞いたことがある、けど読んでる人は少ないよねってこないだテレビでやってたので買いました。宮沢賢治の作品は学生時代に授業で触れたオツベルと象、永訣の朝、やまなしくらいだったけど、この一冊を通じて宮沢賢治という人がとんでもないロマンチストなのだと思い知らされた。
    作者に対する漠然とした印象として、ネガティブで繊細な人なんだろうな、というイメージがあったんだけど、その孤独によって育まれた想像力がこれだけの作品を生み出す力になっているんだろうなと。
    双子の星の話や陽気なカエルの話、自分が好きなバンドのamazarashiが歌詞で使ってるシグナルとシグナレスの話などを楽しみながらたどり着いた目的の表題作品「銀河鉄道の夜」は、まさしくタイトルの通り、美しく切なく燦然と輝く星空をそのまま物語に閉じこめたような傑作。かつて自分が幼い頃に持っていたはずの、今はすっかり枯れてしまったような、文章を通じて無限に想像を膨らませることの楽しさを思い出させてくれた気がして泣きそうになってしまった。二段ベッドの下に弟が、上に自分が横になり、マンションの3階の窓から見える夜景を毎晩眺めながら、その夜空を飛び回る妄想をして眠りに就いていたころが懐かしい。
    ちょっと上に書いたamazarashiの「スターライト」という曲が、まさに銀河鉄道の夜を意識して作られた曲になっているので、読んでいる間に何度も頭の中で流れてきた。それはある意味純粋な姿勢で作品と向き合えなかったことになるわけだけども、自分にとってはそれが付加価値となることで、いっそう特別な物語として心に刻まれた。幸福とは何か…それを考え続けることが生きることなのだとしたら、自分はこれからも創作を通じて死ぬまで生きていきたい。その道中で流れる涙は通り過ぎる駅だ。

  • 不思議な感覚を与えてくれた一冊であった。本書は、いじめられっ子の主人公のジョバンニがあの世へと続く鉄道に乗って大切なことに気づくという物語である。一読した感想は、よく分からないであった。有名な文筆家の宮沢賢治の作品ということもあり、期待していたが、自分の想像力と理解力の無さからか内容と伝えたいメッセージがなかなか伝わらなかった。読了後はなんとも言えない印象を持っただけである。しかし、その後本書の漫画版を読み、インターネットでの解説の助けも得ながらなんとか著者が本書で言わんとしていることが少し分かった気がする。私は、本書には他者のために生きることが本当の幸福であるというメッセージが込められていると思った。日々の生活でもこのことを改めて意識して生きていきたい。

  • なんて綺麗な情景が浮かぶ作品だろう、という誰もが感じる感想が第一。そして、改めてきちんと読むとなんて寂しい作品なんだろうと思う。
    出会う人々との端的な会話で、銀河の旅の非日常なひと時の出会いと別れが切なく描かれている。
    「みんなのほんとうのさいわい」を知り、自己犠牲も辞さずに「石炭袋」の母の元へ行ってしまうのはいいのだろうか。この結末で尚且つ未完だからこその名作なのか。カンパネルラがいなくなってしまった時が本当に悲しい。

  • 表題の「銀河鉄道の夜」は、少年2人が銀河を旅する物語だが、ジョバンニの家庭環境やカンパネルラに訪れる結末など、児童書のイメージのある作品なのにそんな夢いっぱいの小説ではない。
    全篇どこかもの悲しい雰囲気を帯びている。
    一つ一つは短編でアッサリと終わる、だがそのどうしようもなさが寂しく切ない。
    でもやはり児童書なのかなと思わせるような、子供のような純粋さのある文章で、明治生まれの作者ということもあってか非常に丁寧な日本語で新鮮だった。
    後ろの解説を読んでも不明点が多く、またいつか読み返す日が来るだろうと思う。

  •  地元と言っていい処に住んでいる縁で、賢治に関わるあれこれに触れる機会は他の地域に住んでいる人に比べて多いはず。 大学時代には、我々が「けんじ」と呼ぶことに、他県の友人からは「違和感を覚える」と言われたことも思い出す。


     賢治の童話を基にした絵本やアニメ。イラストや題材をモチーフにしたオブジェ、店舗、グッズ。彼の作品そのものを詳しく知らずとも、何とはなしに身の周りに触れてきた賢治の世界。でも、意外と作品を読んだことがない、という声を聞くのも事実。


     先般「グスコーブドリ」がアニメになった時にも我が家で話題になったのだが、大体の作品を読んだことがあるのは私だけで、妻も子供も実は原本には触れたことがない。アニメや絵本と言った派生作品ばかり。そういうものなのかもしれない。
     さっそく子供向けの「銀河鉄道の夜」を買って与えたのだが、「よくわからない」というのが感想。確かに何か明確な冒険や謎ときがあるではなし、分かりにくいのは無理もない。
     アニメしか見たことがない妻も、感想は「映像はきれいだったがよくわからない」だったし。


     確認、という訳ではないのだが、読み返してみた。




     この文庫に収録された作品の多くに共通するのは「弱き存在」とその彼らが陥る境遇、そして聖なる領域としての星空・宇宙空間・銀河・高きとろこにある存在、だろうか。


     弱き者が虐げられ、いじめられ、不幸な目に遭う。救済が訪れるようではあっても、それは単純なハッピーエンドとは異なり、諦観を含んだ昇華的解決に見える。
     言い返すわけでもなく、戦うわけでもない。よだかは自ら空に昇って命の火を燃やし、かま猫はじっとこらえるだけ。
     「雨ニモマケズ」を思い出す。
     賢治の生き方そのものなのか。


     文学作品に触れる時、あまり作家の人生そのものを意識することはないのだが、宮沢賢治に至っては身近にありすぎ、多くの情報が記憶に刻まれてしまっている。




     このサイトの内容紹介にもあるように、銀河鉄道は未完成作品。他にも収録された作品のあれこれが原稿用紙がなくなったり、数行の空欄があったりと、完成した作品として世に出たわけではないものも多い。わかりにくいのは当然かもしれない。
     が、逆にたくさんの派生作品を生み出す要因でもある。賢治が残した隙間に自らのイメージを注ぎ込んで、新たな世界を想像していく作家もいるだろう。


     賢治独特の世界。
     雨の一日、静かな気持ちで浸ってみるのもいいかもしれない。

  • 銀河鉄道といへばカムパネルラ。カンパネルラ田野畑駅。
    以下は個人的な回想。
    田野畑駅には、残念ながら国鉄時代には訪問できず、三陸鉄道発足後の1988年に訪れてゐます。
    2000年9月には再び北リアス線を訪問、十分に堪能したその夜、盛岡市内のホテルで名古屋の豪雨を知つたのであります。
    風呂から出て寂しくなりはぢめた頭髪を乾燥させながら、部屋のテレビジョンを何気なく点けますと、名古屋を中心に記録的な豪雨になつてゐるとの報道であります。驚愕。

    自分が気楽に旅に出てゐる間、地元ではとんでもないことになつてゐたのでした。のちに「東海豪雨」と呼ばれた災害であります。
    家人も知人たちも、あの雨には恐怖を覚えたと述べてゐました。
    鉄道も運休してゐるといふことで、予定通り帰れるのか不安でしたが、自分が帰る頃には何とか復旧してゐました。ダイヤはズタズタでしたが。
    また、東海道線は運行再開してゐたものの、冠水した枇杷島駅とか清洲駅などは普通列車も通過で、その駅の利用者が豊橋駅ホームで駅員に喰つてかかつてゐました。駅員も「うるせいなあ、こいつ」てな感じで、まともに相手をしてゐませんでしたが。

    宮沢賢治の人と作品が、あまりに理想化されてゐるので、あへてちよつと無関係な話をしてみました。現代日本語が未完成で未成熟な時代だからこそ滋味を感じさせる賢治の文章であります。だから学校の教科書に載せるのはやめてもらひたいと勘考する次第でございます。
    いや、余計なことを申しました。もう休むことにします。晩安。

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11232549147.html

  • あまり何回も読む本はないのだけど、これは別
    きらきらでどこか寂しさもあってふっと泣きそうになったときに本棚でひかってくれます

  • ずっと昔のまだ幼かった頃、こういう類の本をたくさん読んでいたことを、思いだした。
    悲しくても、貧しくても、美しい心が何よりも大切だ。

  • ✩︎⡱銀河鉄道の夜
    儚く、美しく、悲しい夜空の旅。
    ほんとうのさいわいを探して。。

    ✩︎⡱マリヴロンと少女
    「正しく清くはたらくひとはひとつの大きな芸術を時間のうしろにつくるのです。」

  • 「ほんとのさいわいは一体なんだろう。」

    どこまでも儚く、
    どこまでも美しい物語は、
    ドヴォルザーク交響曲9番第二楽章に乗せてイーハトーヴォの世界にいざなってくれる。

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著者プロフィール

1896年、岩手県花巻生れ。盛岡高等農林学校卒。富商の長男。日蓮宗徒。1921年から5年間、花巻農学校教諭。中 学時代からの山野跋渉が、彼の文学の礎となった。教え子との交流を通じ岩手県農民の現実を知り、羅須地人協会を設立、農業技術指導、レコードコンサートの 開催など、農民の生活向上をめざし粉骨砕身するが、理想かなわぬまま過労で肺結核が悪化、最後の5年は病床で、作品の創作や改稿を行った。1933年没。

「2019年 『風の又三郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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