新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 890
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092058

感想・レビュー・書評

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  •  facebookでの「千年読書会」というコミュニティにお誘いいただいて、久々に再読。といっても、細かいところはほぼ忘れていましたが、、(汗

     星々の光に照らされて夜空を駆け抜ける、一両の鉄道列車。行き先は“次なる世界”、そして乗客は不帰の人々、になるのでしょうか。

     この辺り、須弥山の思想なんかも感じさせてくれて、ある意味、古来から続く日本の“死生観”が発露されてもいるのかな、と。石炭袋の設定も“黄泉比良坂”の大穴ともリンクしてそうですし、横文字の名前が多いにもかかわらず、不思議と西洋のイメージは残りませんでした。

     なお、私の中での映像イメージは『銀河鉄道999』にだいぶ影響をもらっています。

     どちらも、どこかに“行きて戻りし”物語であることは共通ですが、あちらは“永遠の命”を求めて、こちらは“次の世界”への橋渡しとして。“旅”の果てに求めるものは“幻影”なのか“夢”なのか。999での“時の輪のどこかでまた会える”なんてフレーズを思い出してみたりも。ん、共通しているのは“幸せ”とは何なのか、との点でしょうか。

     この根底には仏教で言う輪廻転生も感じさせられましたが、、これらの“連環”から醒めた時に向き合う“現実”とは、さて。結局のところ、未完のまま取り残されているのですが、この先の物語を夢想してみるのも楽しそうです。

     ジョバンニとカンパネルラは、またどこかの“駅”ですれ違うコトがあったのか、はたまた、時空を越えた“神隠し”からの回帰なんていうコトもあったのか、とも。現世と幽世の境は意外と、近くて薄いのかもしれません、なんて。

     戦前から変わらずに長く読み継がれているのは、その表現の美しさ、儚さもあると思いますが、日本人の死生観という“民族意識の根底”を揺さぶる要素が籠められているのもあるのかな、ともなんとなく。そういった意味では、考えながら読むのではなく、感じながら読む物語なのかも、知れません。

     子どもに読み聞かせようと思ったら、どのような結末で伝えればいいのか、いろいろと模索してみたいところです。

  • 『セロ弾きのゴーシュ』
    セロを弾くのが下手なゴーシュは、セロを家に持って帰り夜な夜な練習する。毎晩いろんな動物がやってきて嫌がりながら怒りながらも、セロの演奏をするうちに、ゴーシュの腕は見る見るうまくなっていった。演奏会も大成功。
    地道な練習が大事。「努力に勝るものはなし」。

  • 漫画「アクタージュ」を読み本作にたどり着きました。ほんとうの幸について考えさせられる作品でした。
    短編集も面白かったです。

  • カンパネルラとジョバンニが銀河鉄道を旅しております。

  • 不思議な感覚を与えてくれた一冊であった。本書は、いじめられっ子の主人公のジョバンニがあの世へと続く鉄道に乗って大切なことに気づくという物語である。一読した感想は、よく分からないであった。有名な文筆家の宮沢賢治の作品ということもあり、期待していたが、自分の想像力と理解力の無さからか内容と伝えたいメッセージがなかなか伝わらなかった。読了後はなんとも言えない印象を持っただけである。しかし、その後本書の漫画版を読み、インターネットでの解説の助けも得ながらなんとか著者が本書で言わんとしていることが少し分かった気がする。私は、本書には他者のために生きることが本当の幸福であるというメッセージが込められていると思った。日々の生活でもこのことを改めて意識して生きていきたい。

  •  地元と言っていい処に住んでいる縁で、賢治に関わるあれこれに触れる機会は他の地域に住んでいる人に比べて多いはず。 大学時代には、我々が「けんじ」と呼ぶことに、他県の友人からは「違和感を覚える」と言われたことも思い出す。


     賢治の童話を基にした絵本やアニメ。イラストや題材をモチーフにしたオブジェ、店舗、グッズ。彼の作品そのものを詳しく知らずとも、何とはなしに身の周りに触れてきた賢治の世界。でも、意外と作品を読んだことがない、という声を聞くのも事実。


     先般「グスコーブドリ」がアニメになった時にも我が家で話題になったのだが、大体の作品を読んだことがあるのは私だけで、妻も子供も実は原本には触れたことがない。アニメや絵本と言った派生作品ばかり。そういうものなのかもしれない。
     さっそく子供向けの「銀河鉄道の夜」を買って与えたのだが、「よくわからない」というのが感想。確かに何か明確な冒険や謎ときがあるではなし、分かりにくいのは無理もない。
     アニメしか見たことがない妻も、感想は「映像はきれいだったがよくわからない」だったし。


     確認、という訳ではないのだが、読み返してみた。




     この文庫に収録された作品の多くに共通するのは「弱き存在」とその彼らが陥る境遇、そして聖なる領域としての星空・宇宙空間・銀河・高きとろこにある存在、だろうか。


     弱き者が虐げられ、いじめられ、不幸な目に遭う。救済が訪れるようではあっても、それは単純なハッピーエンドとは異なり、諦観を含んだ昇華的解決に見える。
     言い返すわけでもなく、戦うわけでもない。よだかは自ら空に昇って命の火を燃やし、かま猫はじっとこらえるだけ。
     「雨ニモマケズ」を思い出す。
     賢治の生き方そのものなのか。


     文学作品に触れる時、あまり作家の人生そのものを意識することはないのだが、宮沢賢治に至っては身近にありすぎ、多くの情報が記憶に刻まれてしまっている。




     このサイトの内容紹介にもあるように、銀河鉄道は未完成作品。他にも収録された作品のあれこれが原稿用紙がなくなったり、数行の空欄があったりと、完成した作品として世に出たわけではないものも多い。わかりにくいのは当然かもしれない。
     が、逆にたくさんの派生作品を生み出す要因でもある。賢治が残した隙間に自らのイメージを注ぎ込んで、新たな世界を想像していく作家もいるだろう。


     賢治独特の世界。
     雨の一日、静かな気持ちで浸ってみるのもいいかもしれない。

  •  おそらく授業や絵本では対象年齢に合わせて噛み砕いた表現にしてあるのでしょうが、元はこんなにも詩的でシンボリックな文学だったとは。宇宙に関する表現も多彩。
     よだかの星、オツベルと象、猫の事務所、セロ弾きのゴーシュ、飢餓陣営がお気に入り。
     人間に対する風刺や皮肉や警鐘が織り込まれていて、噛めば噛むほどに沁みそうだと感じました。

  • 死について描かれたお話。
    宮沢賢治らしい優しい文体で、詩のように綴られている。読み終わった後の喪失感が切ないが、じんわり沁み渡るように情景が浮かんでくる。

  • ジョバンニとカンパネルラ。2人の少年の物語。ほんとうのさいわいを探すジョバンニ、彼とならどこへでもいけると言った直後の別れは本当に辛かった。
    自己犠牲のために死んでいった者たちを乗せた銀河鉄道になぜジョバンニは乗れたのか。母への愛かそれともカンパネルラへの…。

  • 宮沢賢治は人間が嫌いだったのではないだろうか、とずっと考えている。
    自然や動物に対するやさしく親しみのある視線は、裏を返せば人間社会からの逃避願望に見える。
    楽団になじまないゴーシュも、鳥たちからつまはじきにされるよだかも、いじめられるかま猫も、みんな孤独を背負っている。
    だからこそ、そういうところが好きなのかもしれない。

著者プロフィール

1896年、岩手県花巻生れ。盛岡高等農林学校卒。富商の長男。日蓮宗徒。1921年から5年間、花巻農学校教諭。中 学時代からの山野跋渉が、彼の文学の礎となった。教え子との交流を通じ岩手県農民の現実を知り、羅須地人協会を設立、農業技術指導、レコードコンサートの 開催など、農民の生活向上をめざし粉骨砕身するが、理想かなわぬまま過労で肺結核が悪化、最後の5年は病床で、作品の創作や改稿を行った。1933年没。

「2019年 『風の又三郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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