新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092058

作品紹介・あらすじ

貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作【銀河鉄道の夜】
    ちゃんと読めておらず、ずっと読んでみたいと思っていた不朽の名作。
    ブク友の皆様のレビューを読んで、やっと今回手に取ることができました。ありがとうございます。

    ちょうど今から90年前、37歳の若さでこの世を去ってしまった宮沢賢治。
    この作品は賢治が亡くなる直前まで、何度も書き直し惜しくも未完成でした。
    未完成でも人気の高い素晴らしい作品であり、世に出してもらって読めたことに、感謝したい気持ちです。

    人間の生と死、友情の大切さ、いじめやヤングケアラー、また、本当の幸いとは?、自己犠牲について、そんな様々な内容が盛り込まれていて、考えさせられました。

    調べてみたら、
    賢治は法華経を信仰している上に、この作品ではキリスト教の要素も加えた宗教についてや、そして哲学や天文科学、そして鉱物にも動植物にも詳しい人でした。
    また、賢治にはトシという妹がいて、早くに亡くなってしまい本当に悲しんでいて、その思いがこの作品にも込められているといわれている、ということも知りました。

    ○主な登場人物
    〈ジョバンニ〉主人公の小学生。家が貧しくて朝は新聞配達、学校帰りにも活版所で働く健気な少年。いじめられっ子で孤独
    〈母〉病気で寝込んでいる。優しい母
    〈父〉遠くの海ヘ漁に出かけたまま帰ってこない
    密漁で監獄に入っているという噂がある
    〈カムパネルラ〉家に行って遊ぶこともあった幼馴染の親友だが、最近はあまり話さなくなっている少年
    〈ザネリ〉クラスメイトでいじめっ子

    ○あらすじ
    ジョバンニは、教室で銀河系や天の川の授業を受けたあと、夜のお祭りに出かけるが、丘の上で一人寂しく星空を眺めていた。すると不思議な事にいつの間にか、明るい光が差し宇宙を旅する銀河鉄道に乗っていた。向かいの席にはいつの間にか親友のカムパネルラもいることに気が付き、暗かった気持ちが明るく嬉しさでいっぱいになる。そして、銀河幻想の煌めく美しい景色の中、面白くて驚くような不思議な出来事や乗客との交流の旅が始まった。
    カムパネルラとずっと、どこまでも乗って行きたいと願っているジョバンニでしたが……。

    作品としては主人公のたった一日の物語。
    序盤では、少年の現実生活での暗い労苦描写があり、読んでいて辛くなるのですが、それが一変して夢のように煌めく美しい不思議な銀河旅行へと続いていきワクワクします。
    電車内での奇想天外なエピソードを重ねていく中で、カムパネルラの台詞のいくつかや乗客の事、星座の事などの細かい部分が読んでいても、その時は理解できなく謎のままですが、読み終わってから気づかされたり考えさせられたりして、いろいろとリンクしていて構成の巧みさを感じられます。

    また、鉄道の中からみる景色の絵画的で、読んでいて魅了させられる美しさ。
    読者の、視覚や聴覚や嗅覚、味覚などを刺激する描写が素晴らしいの一言。
    ・一面の銀色に光るすすきは風にさらさら揺られ波のよう…
    ・紫に光って通り過ぎていく一面のりんどうの花…
    ・野原に大きな真っ赤な火が燃やされその黒い煙は高              くあがり、桔梗色の冷たそうな空をも焦がしそう…
    ・河原の小石はみんな透き通っていて水晶や黄玉。中で小さな火が煌めいている…
    ・「新世界交響楽」が遠く遠く野原の果てから、かすかなかすかな旋律が糸のように流れてくる…
    など…ちょっとここに書ききれない程。
     
    そんな風に銀河の景色は美しいのですが、この作品の最後は、明るくもなく、ハッピーエンドでもない、哀しい、切ない、展開が待っています。

    でも、ジョバンニが大好きなカムパネルラと最後に、この銀河鉄道の旅をしたことで、力が湧くような気持ちを持てたというラストなのだから良かったんだ…とそれは救われる思いもしました。
    「カムパネルラ、僕たちしっかりやろうねえ」
    と電車の中で固い約束を交わしたのですから…。

    素晴らしい作品でした。
    また時折、読み返したいなと考えています。

  •  ついに、いつかいつか…読もうと思っていた宮沢賢治さんを読みました!!!こちらの文庫、積んでしまってどのくらい経つのか…まぁ~今回読めたからOKということにしましょう。

     この小さな文庫に、14編もの童話が収められています。童話っていっても難しい作品もあれば、クスッと笑える場面もあったりして、みんなバラバラでそれがまたいい感じなんですよねぇ…。表題作の「銀河鉄道の夜」は、ストーリもよかったけれど、幻想的な雰囲気が感じられる文章がよかったです。あと「双子の星」はふたりがいい子すぎてなんとも癒されるし、「よだかの星」はよだかの切ない過ぎる思いが伝わってきて…いい作品ですよね!

     リアルに星空を見上げて、銀河鉄道に思いを馳せたくなるような作品でした。これから、寒くなって空気も澄んで、星がキレイに見えるようになりますもんね!寒くないようにいっぱい着込んで、外に出てみようかと思いました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん!!おはようございます♪
      わぁー、ありがとうございます(*^^*)ᴠ

      かなさ〜ん!!おはようございます♪
      わぁー、ありがとうございます(*^^*)ᴠ

      2023/10/18
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ~
      チーニャさんが、宮沢賢治さんの世界を堪能する
      きっかけを作ってくれました~!
      ...
      チーニャさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ~
      チーニャさんが、宮沢賢治さんの世界を堪能する
      きっかけを作ってくれました~!
      ありがとうございます!!
      2023/10/19
  • この本は、家の本棚に積読していましたが、先日、山田正紀さんの『カムパネルラ』という、この本の表題作をモチーフにしたSF作品を読んで、本作も是非よまなければと、いまさらながらですが読みました。
    表題作以外の作品も入っていますが、自分の為の記録として表題作のみレビューをします。

    この作品は、学校ではいじめに遭い、父は帰って来ず、母が病に臥せっているジョバンニ少年がただ一人の親友であるカムパネルラと共に”銀河鉄道”に乗り、銀河を旅する物語です。
    一見、美しい天の川を二人の少年が汽車に乗って旅する、壮大なロマンの物語だと読めますが、最後まで読むと、カムパネルラは、現実世界で、既に川に溺れた級友を助けるために、自らも溺れて死にかけていて、死への旅であったことが最後まで読むとわかりました。

    何か別の本で、カムパネルラのモデルが賢治の妹のトシで、ジョバンニが賢治だと読んだことがあります。


    以下ジョバンニと、カムパネルラの最後の方のシーンを抜粋。
    「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか、百ぺんやいてもかまわない」
    「うん。僕だってそうだ」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
    「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」ジョバンニは云いました。
    「僕わからない」カムパネルラがぼんやり云いました。
    「僕たちしっかりやろうねえ」ジョバンニが胸いっぱい新しい力が湧くようにふうと息をしながら云いました。


    天沢退二郎さんの「収録作品について」によると、賢治は第一稿からほぼ十年かけて第四次稿にいたるまで三度の大幅な改稿を試み第三次稿まではジョバンニの入眠はブルカニロ博士による一種の催眠実験であり、博士自ら「黒い大きな帽子をかぶった青白い顔の痩せた大人」の姿で、車内に出現し、ジョバンニにものの見方・考え方や進むべき道を教えさとすことになっていたそうです。

  • 何度目かの再読。
    比喩表現が美しいなぁといつもうっとりします。
    銀河鉄道の夜の中に出てくる桔梗色の空、とても印象的で空を見上げて探していますが、今のところ「これかも!」というものにはまだ出逢えておらず、ワクワクします。

    • まことさん
      にゃんちびさん。こんばんは♪

      いつも、いいね!をたくさんありがとうございます。
      にゃんちびさんのレビューは久しぶりですね。
      桔梗色の空を見...
      にゃんちびさん。こんばんは♪

      いつも、いいね!をたくさんありがとうございます。
      にゃんちびさんのレビューは久しぶりですね。
      桔梗色の空を見上げて探していらっしゃるなんて、とても素敵なレビューですね。
      私も、この本は、ブクログで読んでいて、自分のレビューも今、再読しましたが、こんな素敵なレビューではなかったです。
      にゃんちびさんも、レビューがこの頃少なくて、淋しいので、また、お時間があればレビュー拝見できるのを、楽しみにしています。
      2023/02/26
    • にゃんちびさん
      まことさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!

      あまりに有名な本なので、私の拙い言葉でレビューなんて烏滸がましいかしら…と思い...
      まことさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!

      あまりに有名な本なので、私の拙い言葉でレビューなんて烏滸がましいかしら…と思いながら笑
      一度読んだ時からずっと、どんな空だろう…さぞかし美しいんだろうなぁ…と思いながら見上げています。
      難しい表現も多いですが、やはり文豪の純文学、日本の宝ですよね!
      私もまことさんのレビューを毎回楽しみにしています。ここではいつもワクワクする本に出逢えて嬉しいです。
      2023/02/26
  •   双子の星
    ポウセ童子とチュンセ童子が結果的には悪くても、良い行いをし、報われる。
      よだかの星
    みにくい鳥として生まれたよだかが、しのうと決心した時、自分が食べていた虫がどれだけ辛いかを知り、星となる。
      カイロ団長
    アマガエルがあることをきっかけにとのさまがえるの手下となり、すごい量の仕事をさせられる。だが、王様が次々に色々な法律を持って放送で流した。その法律により、アマガエルととのさまがえるは、仲良くなった。
      黄色のトマト
    蜂雀が小さい時に話してくれた物語(ペルペルとネリの物語)
      ひのきとひなげし
    悪魔がひなげしを食べようとあの手この手と考える。
      シグナルとシグナレス
    シグナルとシグナレスの、恋物語。
      猫の事務所
    猫の事務所で、かま猫というたぬきのような猫は、いじめられて、黒猫という理事長だけ自分のこと親切にしてくれていました。しかし、かま猫は熱で休んでしまいました。
    その時、他の猫が黒猫に嘘をつき、かま猫のことを悪く言いました。すると、翌日から黒猫や事務所のみんなからいじめられました。するとそれをみた獅子は、解散させました。
      北守将軍と三人兄弟の医者
    ある時、北守将軍が帰ってきた。だが、北守将軍は病気で、馬も病気で、体から全身植物が生えていた。その時、三人兄弟である医者に頼んだのである。そして北守将軍は王に5人の将軍を選べと言われた。将軍は、4人の将軍と3人兄弟の医者を選んだ。
      銀河鉄道の夜
    ジョバンニがカムパネルラと一緒に本当の幸せとは何かを求め、長い長い旅に出る。
      セロ弾きゴーシュ
    ゴーシュはセロをふくのが上手ではなかった。だが毎晩来る動物に嫌々起こりながら続けてやりセロをふくのが上手になった。
      飢餓陣営
    砲弾ににやられ、お腹が空いていた軍団の一員は、隊長
    の服についている勲章を食べようとする。食べてしまった一員は自殺しようとするが体調がとめ、ある体操を思いつく。
      ビジデリアン大祭
    ビジデリアンとは、動物質のものを食べない団体で、ビジデリアン大祭で、ビジデリアン信者と異教徒の沢山の議論をする。
      

  • 夏の間に
    どうしても読んでおきたかった一冊。


    ひなげしを食べようと
    あの手この手を使って騙そうとする悪魔と
    本当の美しさを
    ひなげしに説くひのきのやりとりが面白い
    「ひのきとひなげし」、

    花巻駅を舞台とした
    なんともロマンチックな恋物語
    「シグナルとシグナレス」、

    歌うように軽快な文章で語られる
    可哀想な象の話
    「オツベルと象」、

    人間社会を鋭く風刺した
    「猫の事務所」、

    楽団の中で一番下手だったセロ弾きの青年が
    子猫やカッコウや子狸や野ねずみ親子の力で
    仲間たちの信頼を得ていく
    「セロ弾きのゴーシュ」、

    そして孤独な少年が
    死者たちと巡る銀河への旅を通して
    生きる意味に気付いていく不朽の名作
    「銀河鉄道の夜」などを収めた
    珠玉の童話集です。


    特に「銀河鉄道の夜」を再読して、
    これほど痛切で
    美しい物語だったのかと
    この歳になって改めて感動しました。



    賢治が持つ宗教観の色濃い
    儚く深遠なストーリーと、

    水素よりも透明な銀河の水、
    サファイアやトパーズの河原、
    りんごと薔薇の匂いがする風など
    ロマンチックこの上ない比喩と
    ファンタジックな世界観。


    誰かのために命を賭けて死することが
    人間にとって本当の幸いだという
    賢治のメッセージ。


    賢治の伝えたかった思いを理解した上で
    あえて言葉を変えるなら、
    自分は誰かのために
    生きていきたい。

    自分を救ってくれた愛する人のために、
    自分を必要とする
    誰かの声に応えるために
    今を生きていたい。


    夢から覚め
    現実を生きていく決意をした
    ジョバンニのように。

    被災地の夜に読んだ
    賢治の「雨ニモマケズ」のように。


    悲しみを糧にして
    強く気高く。

    • 九月猫さん
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとう...
      円軌道の外さん、こんばんは♪

      いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
      ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとうございます。
      そちらにもお返事させていただきました。

      宮沢賢治、大好きです。
      詩も物語も、自然の中や身の回りのものを「在る」ままに
      見つめている感じがとても好きです。
      賢治の眼差しは、どこにも満遍なく注がれている陽のように、
      過不足なくあたたかく包み込んでくれる気がします。
      いつ読んでも、何度読んでも、大好きです。
      円軌道の外さんのレビューを読んで、また読みたくなってきて、
      「銀河鉄道の夜」だけぱらりと読みました。
      素敵なレビューをありがとうございます(*´∇`*)
      2013/08/24
    • 円軌道の外さん

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一...

      ゆりさん、沢山のコメント
      ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


      宮沢賢治は
      自分も大人になってから
      読んだのは
      この一冊だけです(笑)

      昔の作家が書いた童話が
      今の大人にも通用する理由は、

      今のように娯楽がない分、
      昔の本を読む人たちは(子供たちは)
      今の大人と比べて
      ずっと成熟していたんやと思うんですよね。

      考え方も
      生き方も。


      だから普通に
      哲学的な話を
      昔の子供たちは読んでたし、
      受け入れられてたんやと思うんです。


      今は本を作るにも
      規制が厳しいし、
      童話でさえ
      作者は自由に描けないから、

      どうしても子供に(もしくは親に)媚びた内容で
      分かりやすさに終始してまうんじゃないかな。


      てか、この作品の舞台やるなら
      俺も観てみたいなぁ~(≧∇≦)



      2013/12/01
    • 円軌道の外さん

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そう...

      九月猫さん、お久しぶりです!

      素敵なコメント頂いていたのに
      返事が遅くなって
      ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


      そうなんですよね。
      宮沢賢治の眼差しは
      どんな生き物も区別することなく、
      暖かく注がれてるのを
      読むたびにスゴく感じるし、
      (宇宙的とも言えるし神の視点とも言えますよね)

      どの話も
      どこか詩的で
      ロマンチックですよね。


      特に「銀河鉄道の夜」は
      悲しさの中に
      一筋の希望が込められていて
      何度となく読みたくなるし、
      読む度に新たな発見がある
      永遠に語り継がれるべき名作だと思います(^_^)v


      2013/12/01
  • ケンジのあまりにも有名な童話「銀河鉄道の夜」を読んだ。
    童話の形をとりながらも子供にはちょっと難しいかな。
    銀河鉄道の夜等を読みながら、何故か悲しくなってしまった。死出の旅立ちが宇宙への旅なのか。
    長い暗闇・時間を彷徨う物語達。

  • お母さんのための「牛乳」を手に入れられなかった少年ジョバンニが、
    「銀河(milky way)」の旅に出る。
    モチーフがたくさん重なり合っていて、読み返す度に新たな発見ができた。
    いい作品は無駄がない。
    すべてのことに意味があるんだなぁと、物語の深さや厚みを知った。

    宮沢賢治は「さびしさ」の人。
    優しいあたたかい文章なのに、ずっと暗くてさびしい。
    だからこそきらきらした描写が際立つのでしょうな。
    光があれば影がある、というか。影があれば光がある、というか。

    映像を読んでいるかのような感覚になる文章も大好き。

    「下流の方は川はゞ一ぱい銀河が巨きく写って
    まるで水のないそのまゝのそれのやうに見えました。
    ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはづれにしかゐない
    といふやうな気がしてしかたなかったのです。」

  • 孤独な少年ジョバンニが友人カムパネルラと銀河鉄道を旅する、言わずと知れた宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』を表題とした宮沢賢治童話集。
    銀河鉄道からの美しい情景。この世ではない別の世界で、ジョバンニは不思議な出会いを数多くする。童話ならではの柔らかさをまとう夜の狭間で繰り広げられる、残る者と去る者の考え方。犠牲とは、幸福とは、命とは―何気ないやり取りの中にはさまざまなテーマが含まれている。読むたびに「生」に対し静かに、そして真摯に向き合いたくなる。
    決して手放しのハッピーエンドとはいえないけれど、不思議と温かい余韻が残る作品ばかり。表紙絵のように、宮沢賢治の作品には深い青色がよく似合う。

  • ずっと昔のまだ幼かった頃、こういう類の本をたくさん読んでいたことを、思いだした。
    悲しくても、貧しくても、美しい心が何よりも大切だ。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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