注文の多い料理店 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3041
レビュー : 193
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092065

作品紹介・あらすじ

これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません-生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、「雪渡り」「茨海小学校」「なめとこ山の熊」など、地方色の豊かな童話19編を収録。賢治が愛してやまなかった"ドリームランドとしての日本岩手県"の闊達で果敢な住人たちとまとめて出会える一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 子どものころに読んだ懐かしい宮沢賢治……そしていつのまにやら読んだつもりになっていた宮沢賢治……だいぶ大人になった今、きっと潤してくれる何かがあるような気がしてならず、久しぶりに手にとってみました。いや~素晴らしい!

    岩手出身の宮沢賢治(1896~1933年)、天才詩人は得てして早世してしまうもので悔やまれます。彼の詩はとてもわかりやすくて繊細で、思わず涙がこぼれそうになってびっくりしてしまいます。陰も陽も清も濁も綯交ぜた彼の……その老成した詩姿も追ってみたかったなぁ。
    また彼の短編集(童話)は、深い物語の森がどこまでもどこまでも連なっています。読んだ人を悦ばせてくれる食べものがそこここに溢れています。童話や民話の中には、子どもだけではなく大人にも読んでもらいたい物語というのがありますが、宮沢賢治の作品群はまさにそれだと感じます。

    「……これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。……わたくしは、これらのちいさなものがたりのいくきれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません」(序文より)

    『水仙月の四日』と『ひかりのすあし』は、雪深い山で幼い子にふりかかる遭難譚で、一方では自然の峻厳な顔を、他方では慈愛の表情を垣間見せます。形而上的な色艶を帯びて不思議な静けさがおとずれます。
    『土神ときつね』は、美しい女の楢の木、野卑で愚直な土神、おしゃれで空疎なきつねの三角関係が描かれています。ハイネの詩集を手に楢の木を訪れるきつねは、満天の星々やロマンティックな話で彼女の心をときめかせます。そのような情景にメラメラもだえる土神は、なぜこんなに胸苦しいのかわからず苦悩します。
    『楢の木大学士の野宿』は、賢治ワールドの炸裂。石や岩石までもがぺちゃらくちゃらとかまびすしいこと……ただごとではありませんねぇ(笑)。

    自然の厳しさと慈愛、豊饒な生と死の円環、森閑とした世界に広がるもの悲しさ……この人はまちがいなく宇宙を秘めた狂人的(天才的)詩人だと思います。そして、この本には彼を敬愛する井上ひさしの解説もあってすごく感激! 賢治の宇宙をひもといていくその言葉はあたたかい思慕と郷愁に満ちています。

    宮沢賢治にしても井上ひさしにしても、さらには石川啄木、斎藤茂吉、遠野に魅入られた柳田国男……すぐれた詩人や文豪が多いですね。東北の豊かな自然はすきとおったほんとうのたべものを彼らに授けたのかもしれません。作品をとおしてそのおこぼれをもらうことができた今日日の私は、なんともお腹がいっぱいで幸せな気分に浸っています。宮沢賢治の詩集、短編ともに大人の方にお薦めしたい♪

  • 初めての宮沢賢治。

    名前だけは知っていたが読んだことは無かった。
    他の小説で引用されており、気になっていた作品。
    またまた会社の方にお借りした。

    かなり短い短編がいくつも綴られている。
    私には一番苦手なパターンだ。

    表題の注文の多いレストランはなかなか面白かった。まるで絵本を読んでいるかのように、次の場面を期待しながら読み進められる。

    雪渡り、ひかりの素足などは、情景が想像しやすく、頭に映像が浮かび上がってくるのだが、そうでもない作品もかなりあり、読み進めるのに難儀した。
    ひらがなが多い所為かな?

    どの短編もしっかり落ちがあるというわけでもなく、一話読むたびに、この話の正解は何なのだろう??と悩んでしまう。

    本当は正解などは無くて、読者が感じたことがそのまま正解なのだろうけど。

    季節、風景、植物、動物、そういうものが美しく描かれているなぁと感じた。

  • 意外に怖い話やった。

  • 学生の時に国語の教科書にあったのを思い出して。
    今思い返すと実は奥の深い物語。
    二人の紳士、くしゃくしゃの顔戻らなかったのか・・・

  • 題名からは店はとても賑わっているものだと思っていたが、実際は違く驚いた。内容はとてもよく面白かった!

  • このお話の中では、二人の男の人が山に入り、道に迷い、お腹がすいてきた。回りを見ると、西洋料理店山猫店という札がついた建物を見つけました。その男たちがレストランに入ると、ここは注文の多い料理店だと書いてありました。そして、いろいろな注文が書かれていました。最後の注文におかしいと思った時に鍵穴に青い目玉を見つけ、話し声を聞き、食べられてしまうことに気づきました。
    この話の面白いところは、男の人たちが何かを食べるレストランだと思うのに、本当は食べられそうになるところです。本を読んでいると、そのレストランがだんだん怪しくなり、次に何が起こるか知りたくなります。
    (ジョニ)

  • 注文の多い料理店。こんな怖い話だったのか!!動物を殺すことを嫌う宮沢賢治の優しい気持ちは伝わった。

  • 読んだ本は古くてなかったのでこちらでメモ。

    確かに岩手の、あの少し涼しい澄んだ風のような印象はあったけれど、どれもファンタジーなのに妙に現実的で暗い部分を隠さない。ハッピーエンドきゃっきゃを求めてしまう私にはどうにも飲み込めず何かがくすぶったままとなってしまった。
    もっと自身中身が成長出来てから読んだら感慨深いのかもしれない。ばーさんになってしまいそうだけど。

  • 料理店の注文といえば、客がお店にするもの。

    お店が客にあれこれ注文するのは、頑固な店以外には考えられない。

    ああ、ここも頑固なおいしいお店なのかなと思うと、期待を大きく裏切られる。

  • 賢治の童話には、いわゆる悪者はでてこない。欲もあまりないから、意見の対立というのも起こらない。だからドラマチックではないし話の筋だって簡単で、終りのほうはぷっつりとあっけない。

    でもそれは賢治の詩とおなじように、感じたままあるがままを書いているという姿勢のあらわれみたいだ。だから「創作」って感じはしなくて、それこそ「心像スケッチ」と呼ぶにふさわしいのかもしれない。

    風土愛がね、溢れとるね。
    それから宗教的ともいえる自己犠牲の精神が、全編にわたって。
    でも決して積極臭くはないし、道徳的でもない。
    だけどその徳性が賢治そのものだったような気もする。

    岩手行ったけど、観光じゃ味わえないね。
    もっと一ヶ月くらい行って、岩手山をのぼったり林のなかに分け入ったりでもしなけりゃ。でもって賢治のように山のうえで星を見たり、野宿したり、ほいでもって金づちを片手に鉱石でも掘ったら素敵だろうね。

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著者プロフィール

宮沢賢治(みやざわ けんじ)
1896年岩手県花巻市に生まれる。中学生の頃から短歌制作を開始し、盛岡高等農林学校卒業後、童話を書き始める。1921年に稗貫学校(のち花巻農林学校)の教師となり、詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を刊行。26年農学校を退職して、みずから農民となり、33年に37歳で病死。主な作品に、童話「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」、詩「永訣の朝」「雨ニモマケズ」などがある。

「2019年 『セロひきのゴーシュ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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