宮沢賢治万華鏡 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年3月28日発売)
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  • 本 ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101092096

感想・レビュー・書評

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  • 天沢退二郎 編集
    宮沢賢治 の代表作品 以外の絵画、習字、書簡など多彩な創作集。代表作品でなくとも 宮沢賢治のテーマである 仏教的倫理観や共通命題(まこと と 非まこと の対比)は 読み取れる。

    詩「業の花びら」、絵画「日輪と山」は 修羅(非まこと)である自分に向き合う姿と 春(まこと)に向かって 生きるエネルギーを感じた。

    農民芸術概論綱要の序論と結論は、宮沢賢治が目指す「まこと」の人生探求の姿そのものだと思う。「永久の未完成これ完成である」は 自分が修羅であり続けることが 「まこと」なのだというメッセージと捉えた。


    農民芸術概論綱要の序論
    *おれたちはみな農民である
    *世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない
    *新たな時代は 世界が一の意識になり生物となる方向にある
    *正しく生きるとは 銀河系を自らの中に意識して これに応じていくことである
    *われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である

    農民芸術概論綱要の結論
    *われらに要るものは 銀河を包む透明な意志 巨きな力と熱である
    *永久の未完成これ完成である


    絵画
    「日輪と山」赤い太陽と青い山は 春と修羅では?
    「手の幽霊」生と死、現実と非現実の間の超越的空間か?
    「月夜のでんしんばしら」擬人化された電信柱の絵。兵隊だと思う。童話のイメージ図?

    習字「絶筆短歌」 稲の稔り(=御法。法華経の教え)のある年に 棄てる命ならば 悔いはない

    散文「柳沢」
    「これは夢のはじめの方の青ぐろい空だ」
    「日の光は琥珀の波。新しく置かれた みねの雪〜」

    詩「業の花びら」
    夜の湿気が風とさびしくまじり〜
    空には暗い業の花びらがいっぱいで
    わたくしは神々の名を録したことから
    はげしく寒くふるえている

  • カラーイラスト入り。
    メモ帳みたいで楽しい。

  • 『農民芸術概論 綱要』のところがいい

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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