剣ヶ崎,白い罌粟 (新潮文庫 た 15-1)

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  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101095011

感想・レビュー・書評

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  • 短編は初めて。能を見てみたい。「つまづいた」という表現。借金の利子を訴えるという手法は昔からあるんだなあとおもった。戦争が描かれていた。

  • 決してこの本には救いなんていうものは
    存在しないと思っています。
    んなことないだろう、と思うことでしょう。

    いやいやいやいや。
    本当にないのです。
    読み終えたあとには、人の弱さ
    人の醜さという代物を
    いやというほど見せ付けられ、
    人間って…と思うことでしょう。
    そういう本なのです。

    比較的いい感じに見える
    「流鏑馬」という作品があります。
    夫の裏切りに別れを決意する女性が
    本当に愛する男の人と結ばれますが…

    その先はいえません。
    とっても救いがありません。
    でも、人生って、そういうものなのよね。

  • 暗い短編が揃うが、心の内面を打つ。とりわけ「剣ヶ崎」が良かった。2016.1.4

  • この短編集からは頽廃の気配を感じる。破滅とか自滅とか贖罪とか、そういったものに対して美しさを感じているのではないだろうか。私自身にそういう所があるからそう思ってしまうのかもしれないけど。

  • 83点。直木賞受賞作『白い罌粟』を含めた代表短編五編を収録。先日サウナで時間も忘れて読んでたら倒れそうになってしまった。短編は読み切りたくなるから注意。
    朝鮮半島出身の小説家だからか、アイデンティティや家系意識のような「血」に対する様々な思念が作品に共通しているように思う。また同時に日本の伝統文化、能のような伝統芸能、美学を厳しく重んじるのも出自ゆえ日本人としての理想を客観的視点に立って追い求めずにはいられなかったからなのかもしれないし、あるいは伝統芸能における厳然たる様式に自分の意識が自分の力の及ばない様式に律せられているという共通点を感じていたからかもしれない。
    内面的な様式美を重んじ、どこか趣のある雄大な筆致はそのあたりから形成されたのだろうか。
    直木賞だけでなく芥川賞の候補に挙がったこともある筆者の純文学と大衆文学を自由に行き来する幅の広さもいい。
    さらに男と女の恋愛話もラディカルかつエロティック。これが文学っというべきいい香り。

  • 本棚をあさっていたらいつ買ったかも覚えていない短編集を発見、からの、初・立原正秋。作品ごとに趣が異なる気がいたしますが、いづれも身体の芯にずしっとくる主題でございました。堪能。

  • 夫「一見読みづらいかと思ったけど、とても読みやすくてすらすら読んでしまったね。時代とその中で作者の置かれた立場をすごく反映してるんじゃないかな」
    妻「この短編集を通して読むと、そのキーワードが浮かび上がってくるよね。在日朝鮮人、祖父と孫、鎌倉、従兄弟。立原さん在日らしいけど、「剣ケ崎」では血みどろの在日の歴史を描いてるね。重かった」
    夫「作者は苦労されたんじゃないかな。どのお話もリアリティがあって話に引き込まれていってしまうね。特に「剣ケ崎」が俺は好き」
    妻「そうだね。私小説っぽい雰囲気だね。「白い罌粟」のアリ地獄も面白いよ。おかしいと思っても、深みにはまる。まさか実体験ではないだろうけど・・・」

  • 浦野所有。

    立原は独特の雄大な筆致に特徴があると聞いていたので、以前からとても楽しみにしていた作家の一人。実際、期待を裏切らない内容でした。

    5つの短編が収められていますが、個人的には「剣ケ崎(つるぎがさき)」がベスト。混血をテーマとした、かなり重い作品なんですけど、厳格かつ格調ある表現技法は独特のものだと感じました。

    「白い罌粟(けし)」は直木賞受賞作とあって、かなり読みやすいです。主人公が没落する様子が、人の心の危うい変化を通して見事に描出されていました。本当に、見事というほかないと思います。

  • 5つの作品の短編集。
    この作者の書く文章は、
    血(血縁等)を深く考えさせられる。

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