- 本 ・本 (639ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101095028
感想・レビュー・書評
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1968〜69年に掲載されていた新聞小説。半世紀以上経った今と比べて、変わったことと変わらないことを思いながら読んだ。
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20年以上前に読んだ、読書好きになるきっかけとなった本。もう一度読んでみようかな。
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いい作品だったと思います。
読んでいて救われた気がします。
考えさせららることも多かった。
読んでいると主人公と共に成長を意識できるんじゃないかな。
そう思いました。 -
600ページ超の大作ながら一気に読ませる面白さがある。複雑な家庭環境と少年院が舞台の物語ながら不思議と暗さはない。むしろ前半は爽やかな青春群像劇を感じさせるのは行助の聖人君子たる人物描写のおかげであろう。
物語は面白いが設定はちょっと雑。IQ165の設定や何か起こりそうで何も起こらない人間模様、なのに安と行助は「えっ?それ!?」という出来事が降りかかる。行助と修一郎を取り巻く繊細な人間ドラマと思いきや昭和のメロドラマや漫画的なトンデモ展開が随所にあるのでそういう心意気で読むと楽しめる。 -
雑誌の書評を読んで興味が湧き、図書館で借りました。
聡明な少年の母が再婚した。
義父は出来の悪い実子よりも少年を愛し、
母は夫と連れ子に遠慮をしてなにもいえない、
そしてその連れ子は少年に逆恨みを念を抱く。
ある日少年は偶然誤って連れ子の兄を刺してしまう、だが、兄を精神的に追い詰めることが復讐になると考え、自ら少年院に入る。
このような環境に置かれた少年は、少年院での生活から社会を学び、自らの運命や宿命と向き合うことで精神的成長を遂げ、達観してゆく様を描いたお話です。
昭和40年代に発売された本だそうですが、人間の心の動きや変化、成長過程は今も変わらず、とても読み応えがありました。
義兄に生涯劣等感を抱かせるという方法で復讐を目論んだり、義父と義兄の仲を取り持つためとはいえ頑なに義父や母と距離を置いたりと、主人公の少年は普段の温和で優しい性格の裏で、冷徹で傲慢な部分も持ち合わせているという、人間の精神の複雑さを考えずにはいられませんでした。
ただ、せっかく精神的高みに登りつめたのに、破傷風が原因で若くして死を迎える結末は、少年院から出所後、実生活でそれがどのように活かされるのか、または活かされないのか興味があったので、とても残念に思いました。そこまで描いて欲しかった~
あ、それと、関係ないけど、今なら差別的に捉えられそうな「少年院に入ってくる人間は知能指数が低い」など知能指数を根拠に犯罪率などを語った表現が幾度も出てきて、当時の世相を表しているような気がして面白かったです。 -
公文推薦図書。長かったがすらすら読めた。特に最後の表現を何度も読みました。途中から出てくる「冬に向けて来るはずが来ない鴎」が最後にどっと溢れてくる。
完全無欠の人間のなかにある溜め込まれた鬱憤を表現しているように見えた。どちらかというと、行助のことを「こんな人いないよなぁ」というよりは、「無意識に感情を抑えすぎていて可哀想だなぁ」と思って読みすすめたので、最期は解き放たれて良かったなぁとすら思ってしまった。
共感できる人はあまり出てこなかったが、突然に起こる死も含め非常に現実味のある物語であった。 -
宇野行助は、義兄の修一郎が母の澄江を陵辱しようとしている現場に遭遇し、修一郎とも見合いになった結果、彼に包丁を突き立ててしまいます。しかし行助は取調べに対して、修一郎が母を犯そうとしていたことを明かさず、ただ修一郎が母を「女中」と罵ったことで彼を刺したのだと主張します。
少年院に送られた行助は、安坂宏一のような良い仲間と知り合い、模範的な院生として毎日を過ごし、ようやく出所する日がやってきます。彼は、出所後ふたたび家族とともに暮らしていたのでは、以前と同じような問題が起こるのではないかと懸念しますが、実の子である修一郎以上に行助に目をかける義父の宇野理一は、行助の願いを退け、修一郎を祖父母のもとに追い出して、行助を自分のもとに引き取ります。
一方、父・理一から疎んじられ、行助にコンプレックスを抱いている修一郎は、理一たち3人をなきものにしようと、ナイフを手にして夜中に襲撃をおこないます。理一は修一郎に刺され、そこに駆けつけた行助は、修一郎にふたたび刃物を振るってしまいます。
こうして行助はまたしても少年院送致となります。みずからの身を律する行助の心はいっそう強まり、理一と澄江も、そんな行助の希望に応じて、彼の籍を移すことになります。しかし、出所を目前にして、行助は破傷風にかかってしまい、自分の数奇な運命を思いつつ、安らかに眠りに就きます。
分かりやすいストーリーでおもしろく読むことができましたが、やや唐突な幕切れになっているのが気になります。行助のあまりに頑なな倫理観に、今ひとついま一つついていけないまま、物語が終わってしまった印象があります。 -
昭和48年発行だけど全く古さを感じない。
自然に世界に入れた。どの時代もみんな必死でいきてるんだ。 -
20101023 厳しさの先に寛容があるのでは?生きていてほしい。
立原正秋の作品





