- 本 ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101095165
感想・レビュー・書評
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先月から奈良に3度くらい出かけているので、具体的な地名やお寺の名前が出てきて興味深かった。わたしも見たいものが増えた。
美しい感じだった。鳴海さんと多恵ちゃんが、分かるひと、のまま最後までいたのでよかった、ほっとした。(妻はずっと悪い描かれ方で、わたしはそれでよいのだけれど、でも終始、その構図が裏切られるのではないかと緊張していた。)
ご飯や美への執着みたいなものに憧れた。奈良や京都のお寺や、ご飯、行ってみたい。長浜の鴨とか、印象深い。
視る、ということが描かれていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美を追求する鳴海だからこそ、
どんなふうに展開していくのかと期待したのだけれど。
韓国の旅は、少し冗長に感じられた。
それでも、美しい街並みや歴史を味わい、
二人の行く末を、心配しつつ期待したのだけれど。
現実的にも、人の心も関係も変わっていく。
どうなっていくか、わからないことで、
胸のうちで物語は続いていくのだけれど。
期待しすぎたために、少々、物足りない気もした。 -
長かった。
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男と女の話。
妻子がありながら若い女へハマっていく男。女が落ちていくように書いているけど、沼に落ちたのは男。しかし先に開けてはいけない扉を開けたのは男の妻でもあるから、この夫婦、共にどこか欠陥がある。
作者は男女の交流を描くことが多いけど、この人の真骨頂は、風景の描写だと思っているのだけど、本作は食べ物の描写も素晴らしかった。 -
天野がストーカーとなって多恵の前に現われたり、範子が鳴海と多恵のもとに押しかけてきたりしますが、鳴海も多恵も、もはや後戻りすることはできません。2人はともに韓国旅行へ出かけることになります。
やがて2人は美術館を辞し、秋篠寺近くの家でいっしょに生活を始めます。そこへふたたび、範子がやってくることになります。鳴海との夫婦生活が完全に終わったことを知った彼女は刃物沙汰に及びますが、それによって彼らの運命が大きく変わることはなく、それぞれが運命を引き受けて生きていくことになります。
多恵の人物造型と範子の運命に、ややご都合主義的な臭いを感じてしまい、そのために本作をエンターテインメント小説以上のものとみなすことを阻んでいるように感じました。もっとも、そういうものと割り切れば、おもしろく読めると思います。 -
(上下巻を通じての感想です)
古い日本のものが現代に息づいている、立原正秋ワールドを楽しめました。除夜の鐘を聴くシーンと、それに関連する和歌が良かったです。 -
奈良などを舞台とした作品です。
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