午後の恐竜 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098111

作品紹介・あらすじ

現代社会に突然出現した巨大な恐竜の群れ。蜃気楼か?集団幻覚か?それとも立体テレビの放映でも始まったのか?-地球の運命をシニカルに描く表題作。ティーチング・マシンになった教育ママ、体中に極彩色の模様ができた前衛芸術家、核爆弾になった大臣-偏執と狂気の世界をユーモラスに描く『狂的体質』。ほかに、『戦う人』『契約時代』『理想的販売法』『幸運のベル』など全11編。

感想・レビュー・書評

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  • 星新一ショート11編。すこーしだけ、長めの印象。
    もしかしたら、午後の紅茶の発売の後かしらと思い、調べたら、午後の紅茶の発売は昭和61年。午後の恐竜は昭和52年。恐竜が先だわ。shukawabestさんは、15歳で読んだそうだけど、私は、もう少しあとです。
    この一冊はN氏少なめでした。季節事情風俗扱わずのSF、きちんとオチも練られてます。

    「契約時代」
    あらゆる事象に契約が必要となり、弁護士と、契約書の印刷屋が景気が良くなるという感じ。ペーパーレス化の未来は読めなかったのか、そう言いながら紙ベース大好き日本の未来なのか。私も契約書と通帳は紙派です。

    「午後の恐竜」
    地球全体、全人類的、消滅前の走馬燈。
    再読でも面白いですよね。

    「幸運のベル」
    PayPayとかでこのようなキャンペーンをやっていたような気がする。人間の心理を突いての、悲劇。

    「狂的体質」
    これは、外見から変化するように描いているけれど、近年増加している精神疾患の具象化かな。

    今となっては、もう古いという感じもなく、現在の作品のネタになっていそうなものもある。それにしても、作品多いですよね。まだ、再読できてないものがたくさんあります。

  • 古代生物の幻影と水爆ミサイルを積んだ原子力潜水艦の失踪の関係。幻影は地球の走馬燈、生命の過去を1日で再現。大人になって再読すると怖さが倍増する。

  • 星新一のショート・ショートは1話10〜20枚くらいでさらさらと読めてしまうけど、どの話もオチの奇想天外さや、社会への皮肉などが上手いこと散りばめられている。

    時期風俗な言葉を用いずに誰にでも分かる簡素な設定になっているからこそ、登場人物を想像することも、それになりきることも容易なんだろうな、と。
    登場人物と共にその世界で起こる不可思議な現象に戸惑い、結末で明かされるオチの爽快感たるや、推理小説の読後のような納得感に浸ることができる。

    電車での移動時間や、ちょっとした待ち時間に読むのにぴったりな作品だなと感じる。

  • 最後の話が印象的だった。

  • 宮沢賢治が藤子.F.不二雄なら星新一は差し詰め藤子.A.不二雄であろう。簡素で柔らかな文体に潜むユーモラスとシニカル。難解な言い回しや凝った表現も少ないので一見児童向けのように見せかけ、オチは真理を突いてなかなかに怖い。いや相当。自分が子供だったら悪夢をみそうだ。そこにリアリティがあるからだろう。表題作の『午後の恐竜』なんて、競って核配備拡張していた冷戦真っ只中に読んでいたら、いずれこういうときが訪れるかもしれないと思ってしまう。

    ということで大人向けブラックファンタジーとして星新一は面白い。

  • 『午後の恐竜』の話が星新一の作品の中でも一番好き。
    どうしてこんなこと思い付くのだろうと、どの作品も想像の遥か上をいく感じがたまらない。

  • 様々な読み心地のショートショート11作品が収録された短編集。
    SFからブラックユーモア、悪魔ネタから妖怪ネタまで盛りだくさん!星新一らしさを手軽に楽しめる入門本。

    「狂的体質」が面白すぎる!オチも含めて最高!!
    「契約時代」はオチが好き。ニヤリとできる。
    「幸運のベル」は星新一版青い鳥やん?うわーってなった!このラスト、好きだなぁ。
    表題作「午後の恐竜」や「戦う人」はなかなか考えさせられる。なるほどなぁ。

    なお、巻末の解説はなかなか興味深い。

  • 今まで読んだ星新一と比べて、最後のゾクゾク感が無かった。
    「戦う人」が印象的だった。人間に潜在する差別意識について考えさせられた。

  • 檀蜜が出てたドラマ(華やかな三つの願い)の原作が読みたくて手に取ってみた。どれも最後にニヤっとできる、もしくは考えさせられる名短編集。表題作が良かった。

  • 既読本

  • これまで「ボッコちゃん」「マイ国家」などを読んできましたが、本作はそれら2作とはまた違った印象を受けました。
    1話1話がやや長めで、少し読み応えを感じました。先の2作は、短い話の中で1発大きなオチがあってそれでおしまい、という印象でしたが、本作はもう少し長めに展開がある印象です。(もちろん全ての話がそうという訳ではありませんが)

    長めとは言え、やはり1話1話はとても読みやすかったです。さすが星新一…!

  • ある人から数年前におすすめされた一冊。
    おすすめされるまで星新一という作家を知らなかったのでどのような作品か知らなかったけど、いざ読んでみるとただただ着眼点がすごいなぁって、どの作品もとても面白かったです。

    カート・ヴァネガットの作品に似てるかもなぁって思いました。
    まあ、どちらもショートショートのSF作品が多いからかな。

  • 外れがないとは思っていましたが、面白かったです。
    『エデン改造計画』では人間の物欲の強さに笑え、『戦う人』では人間の「人を攻撃したい」本能の強さが引き起こすラストに驚きました。
    これだけの展開をこれだけの短いストーリーの中に凝縮できる星さん、ほんとに地球人だったのかしら、と思ってしまいます。
    いちばん好きだったのは表題作の『午後の恐竜』。起きている情景を想像しながら読むと映画みたいでとても楽しい。ハッピーエンディングではないですが、主人公が家族で身を寄せて迎えるラストがよかったです。

  • この短編を初めて読んだのは15歳のときだったか、それまでも星新一のおとぎ話のような世界観に惹かれていたが、この短編の読後感は格別だった。オススメは③。そのほかは落語のような味わい。うまい。笑える。
    ①エデン改造計画
    地球と違った文明の発達順序があったら・・・。星新一の着想に魅せられた。
    ②契約時代
    事故も買い物も飲み屋の会話も全て弁護士を通す未来。オチは・・・そう来たか
    ③午後の恐竜
    地球規模のパノラマドラマ。この短編の余韻に一週間ほど浸っていた。色褪せない。
    ④おれの一座
    こんな演出が裏でなされていたら楽しいだろうな。僕も知らずに出演しているかも。
    ⑤幸福のベル
    包装された商品がすべて当たり付き。そんな世界、自分なら一瞬で破滅するなぁ。
    ⑥華やかな三つの願い
    死のうとしている女性に「あの、ちょっと」と声をかける悪魔。それだけで満足。
    ⑦戦う人
    自殺志願の老人が部屋を出ると、すれ違うのは記憶喪失の人ばかり。その原因は?
    ⑧理想的販売法
    すべてがうまく行ってどうなるかと思ったらそういうオチか。うまい!座布団1枚。
    ⑨視線の訪れ
    なんだその平凡な結論は。思わず最後で笑ってしまったな。嫌いではない終わり方。
    ⑩偏見
    この本では唯一、今一つだった。首がねえ、意外ではあるがらしくないのかも。
    ⑪狂的体質
    15歳の僕はしょーもな、と言い、54歳の僕は、おいおい先生、と笑ってツッコむ。

  • 気の利いた作品かと(表題)

  • 星新一さんのショートショート、初めて読みました。その名の通り1作品がとても短いけどどの話もとても印象に残るもので面白かったです。

  • 新潮文庫から出ている星新一氏の文庫の中でこの表紙が1番好き。
    表題作は非常によくまとまっている。物悲しい。

  • 昭和52年発行
    不思議な物語の短編集
    今読んでも、予想外の展開だけど、
    当時は本当に斬新だっただろうと思う。

  • 『エデン改造計画』『午後の恐竜』『幸運のベル』『華やかな三つの願い』『戦う人』『視線の訪れ』『狂的体質』がお気に入り。

    『午後の恐竜』作品名から話の内容を想像できなかったから、前々から気になっていた。読んでみたら、予想以上に好きになった。

    宇宙が主な舞台の作品はこの本になかったけれども、それが何か新鮮で、一編一編の作品名に一ページ使っているのも珍しいなと思った。

  • 初めは合わないな、、と思って読むのをやめちゃいそうだったけど、
    これまで読んでこなかったジャンルだったからそう思ったようでした

    読み進めるうちにどんどんのめり込んでいき、
    世にも奇妙な物語の世界に浸ったようでした

    おもしろかった

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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