白い服の男 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1977年9月1日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784101098128

感想・レビュー・書評

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  • ショートショート10編。未来もの、博士もの、宇宙ものいろいろ。

    ・業が深かった編
    「悪への挑戦」
    実際の犯罪者の追跡と断罪がエンタメになった世界。憎むべき悪を追い詰めるスリル、因果応報を実感できるカタルシスは確かに楽しい。
    それでもTVの前から呟かれる「正義が楽しくて、どうしていけないのかしら」の台詞に「ああそれ言っちゃダメなやつ!!」ってゾっとした。
    そもそも”正義”ってそれぞれの立ち位置によって変わる胡散臭いやつだし、安全な場所から何の犠牲も払わずに楽しむものじゃないし、その牙がこっち向いてこない保証なんてどこにもないし…とか思ってたら案の定な展開にあっちゃーという他なかった。そして一皮めくれば骨の髄まで商業主義。そうよね全ては皆の「見たい」「知りたい」「自分も一枚噛みたい」を叶えるため。
    ”正義”という錦の御旗の下には相手を集団で一方的にボコる快感が潜んでる。(ちなみに暴力を振るう際の万能感は思考力を著しく下げるらしい)。正義と欲望を混同する怖さと集団心理の熱狂を踏まえて考えるとタイトル「悪への挑戦」の”悪”って”流されやすい自分”とも取れて業が深いなーと思った。

  • 筒井康隆、小松左京ときたら、星新一も並べて置こうと思ってエントリーしました。『ボッコちゃん』と迷ったけど、こっちに。
    暴力を抑圧することが暴力的なんだ、とまとめてしまうと単純ですが、星新一にかかれば切れ味鋭いショートショートになります。着想とかプロット自体に真新しさはないんですが、人間の本質をついてる感じがするんですよね。書けそうで書けない、というのが星新一流ショートショート。


    ちなみに余談ですが、著作権を管理してる娘さんが他人の作品にいちゃもんつけてパクリだなんだと騒いでいたのは星新一の名に泥を塗る行為だと思いました。古い話ですけど。

  • ショートショート集…というより短編集。
    ・白い服の男
    ・月曜日の異変
    ・悪への挑戦
    ・老人と孫
    ・テレビシート加工
    ・矛盾の凶器
    ・興信所
    ・特殊大量殺人機
    ・ねぼけロボット
    ・時の渦

    全体的に狂気を含んだ感じ。
    「白い服の男」の世界観などいい感じ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      今月出る、書籍未収録作品集「つぎはぎプラネット」と「真鍋博のプラネタリウム:星新一の挿絵たち」が楽しみ!
      今月出る、書籍未収録作品集「つぎはぎプラネット」と「真鍋博のプラネタリウム:星新一の挿絵たち」が楽しみ!
      2013/08/07
  • 後期作品なのか、皮肉やメッセージ性が強い
    他のに比べて濃口で、入門編ではないか

    特殊大量殺人機
    デスノート。でもロジックが知的。核を握り合うメタファー
    これが1番おもしろい

  • Instagramでフォローしている方の紹介。星新一が読まず嫌いにならなくなりました!シュール(恐)

  • テレビシートの案とか見ると本当アイディアマンなんだなと思う
    ドラえもんか星新一

  • 白い服の男 ★★★★★

    月曜日の異変 ★★★☆☆
    → 妻が脳の一部を入れ替えおしとやかになるが、入れ替えた人の過去の恋愛の記憶も受け継いでしまう。

    悪への挑戦 ★★★★☆
    → 犯罪増加をとめるために、極刑とその公開をテレビで始めた社会。処刑は視聴者からの電話数が一定数入るとスイッチが自動でオンになり行われる。視聴者参加型。悪意を憎むことが万事優先の世の中。
    結果、犯罪は激減した。しかし、処刑自体はテレビ局が本人そっくりな人形を使って行っていたフェイクだった。過激な処刑をすればスポンサーからお金が入る。

    老人と孫 ★★★★☆
    → テレビから流れてくることは自分とは関係ないという無関心さの怖さ。

    テレビシート加工 ★★★☆☆
    → テレビを紙並みの厚さに加工したシートがありとあらゆる場所に貼られ、絶えず映像が流れる社会。静止は罪となる。

    矛盾の凶器 ★★★☆☆
    → 酒乱の狂気を取り締まるロボット。

    興信所 ★★☆☆☆
    → 死者の国の霊媒師が現世で青年を墓地に呼び出し、依頼人からの質問をして答えを聞くビジネス。

    特殊大量殺人機 ★★★☆☆
    → 抑止力の重要性。

    ねぼけロボット ★☆☆☆☆

    時の渦 ★★★☆☆
    → 死者が蘇り、濡れ衣を着せられたり、暗殺されたものは真実を追求しようとし、この世から偽りが消える社会。

  • 表題作はじめ、ハード系・辛辣系の色合いが強い10篇を収める。1話ごとの分量が少し多めなのも特徴で、「特殊大量殺人機」は全6章からなっている。星新一作品集のなかでは、けっこう味が濃いぞ。

  • H30.08.10 読了。

    表題作『白い服の男』はショートショートというより短編。
    その分、物語として深さもあり、ブラックさも良い感じに面白い話だった。

    『老人と孫』みたいなショートショートも入っているのが良いクッションかつ、面白い。

    最後の『時の渦』は締めにふさわしいと思える不思議さとオチ。
    なんだか納得できるようなできないような。

    個人的にベストだったのは『悪への挑戦』。
    ブラックな話だけど、最後は救いもあるのがホッとした。

    全体的に読みやすいし、10編という短い編成のおかげでそれぞれがしっかりと濃厚なのがこの作品の良さだと思う。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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