にぎやかな部屋 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1980年1月27日発売)
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感想 : 35
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  • 本 ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098203

感想・レビュー・書評

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  • 喉越しスッキリ!実に読みやすい!あとがきにも書いていたが、セリフが多いと読みやすいのね。

    貸金を営む男と占い師の女、そして、唯一まともな娘。そして、その家族に心中した夫婦と老紳士の霊がそれぞれ取り憑いているという状況。

    現実の人が増えるたびに霊も1人増え、舞台はただの部屋だというのに、実に賑やか。まさにタイトル通りの「にぎやかな部屋」である。

    詐欺師VS詐欺師の様相に、さらにイレギュラーを加えて、カオス状態。それでも、スッキリと飲み込めるのが素晴らしい。頭の中で舞台がイメージできるぐらい読みやすかった。脂っこい筒井康隆作品ばかり読んできたので、喉越しさっぱりの星新一も新鮮フレッシュ。バランスよく読んでいこう!

  • 高利貸しの主人、占い師の夫人、一人娘の3人が住む
    マンションの一室の中で繰り広げられる星さんの戯曲。

    家族3人に客のふりをして訪れた相談者、詐欺師、強盗、それぞれ
    一人一人の背後についている白およびブルーの濃淡の霊魂。

    バラバラでまとまりのない家の中で陽気で勝手な人々。
    辛い、悲しい、退屈と嘆きをつぶやきながら
    人間にぴったりと付き添う新入り、ベテラン、とり揃った霊たち。

    死んで愛を実らせる人、死後の世界に絶望を感じ、
    死んでなお死にたいとぼやく老人。
    手を奇妙にふりふり「信仰なさい」と説く婦人。
    登場人物が増えるたび、今度はどんな霊が!と楽しみになる。

    生者は未来を知りたがり、現世を永遠のごとき永き時間をかけて
    眺めてきた死者は、今この瞬間を楽しむ。
    死者は現実の世界に手を出すことはできないけれど、
    とばっちりもくうことがない。決定的な傍観者。

    死後の世界があると説いた宗教たちが崩れ、
    限りある命と知った後には信賞必罰のルールはぼやけ、
    正義は目減りした。

    目に見えないものを大切にし、枠なき場所に生きる"生"無き者と、
    目に見えるものだけを大切にし、枠に囚われて生きる"生"ある者。

    "吉ですけれど、ご用心
    凶ですけれど、希望あり。"

    ものは言い用、キモチも待ち方次第。
    裏返してみてはじめて表の良さが分かる。

    会話の1つ1つが欲にまみれて生きゆく心理をつき想像を誘発させられる。
    人間の心理を弄ぶかのように、それぞれの物事を巧みに扱い
    相反するすべてがユーモラスにお話全体に散りばめられ見事に構成され
    完結されていて感動した。

    生と死の境界線。
    真鍋博さんの挿絵がより柔軟にパラレルで楽しい世界を
    想像させ、脳内に構築してくれる。
    終始相反する視点が面白い。

    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      ショートショトを否定しているかのような選択![笑]
      でもほんとに星さんのショート...
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      ショートショトを否定しているかのような選択![笑]
      でもほんとに星さんのショートショートが読みたいっと思って
      星さんの著書を買ったのに、なぜか惹かれて買った本が
      ことごとく…[笑]もはやDNAが長編を選別!?[笑]

      戯曲いいですよねー[*Ü*]
      シェイクスピア大好きですっ。
      野田さんはまだ読んだことがないので、今度
      絶対に買ってみますー。オススメ本など
      ぜひぜひ教えてください~♡

      「とりぱん」全巻一気買いしつつ、たしか5巻の途中…
      だったような…うっすら記憶が…[笑]
      最近は連載を毎週読んでるからそれに満足して
      コミックスの読破がゆるゆると[´ー`;]
      とりぱんっていつも表紙もステキですよね~♡
      とりぱんも読み出すと一気にまた読みたくなりますよね♪

      銀薔薇ほんと寂しいし不安ですよねー。
      ほんと秋に出るの!?って、もぅぅ不安は高鳴る一方で[笑]
      魔女の宅急便みたいに隔月に発売してほしいー[´ロ`]屮
      ひとみ先生に予定は未定はつきもの!?ヒィィ。
      2013/07/13
    • 九月猫さん
      あやさん、こんにちは♪

      シェイクスピアいいですよねー(*´∇`*)
      暗誦したりできませんし、訳によっても違うのでしょうけれど、
      独...
      あやさん、こんにちは♪

      シェイクスピアいいですよねー(*´∇`*)
      暗誦したりできませんし、訳によっても違うのでしょうけれど、
      独特の言い回しがクセになる(笑)
      白水の全集を中学~高校のときに図書館で借りたり、
      新潮文庫を買い揃えたりしました・・・が。
      「ロミジュリ」だけは読んだことないんです、いまだに。
      避けてるわけではないんですけど、有名すぎて後回し、みたいな?
      こんなんだから、星さんも戯曲や長編から読むんでしょうかねぇ(笑)

      野田秀樹さん、ワケわからん意味わからん~!な感じが
      若いときに妙にハマったんですよね(笑)
      小劇ブームのハシリらしい、言葉遊びとシュールな作風で・・・
      (でも遊眠社って「小」ではなかったですよね)
      なので、昔のしか読んでも観てもいませんが、
      「ゼンダ城の虜」「白夜の女騎士」あたりがおもしろかった記憶が。

      自分でお芝居を観に行くようになってからは
      もっとわかりやすくて、笑いを挟みつつコワイところへも
      連れていってくれるお話が好みになりました。
      ここ10年くらいは後藤ひろひとさんの書くお芝居が好きです♪
      2013/07/13
    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      シェイクスピアいいですよねーっ♪
      ワタシはお芝居や映画でちょこちょこと見たぐらい...
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      シェイクスピアいいですよねーっ♪
      ワタシはお芝居や映画でちょこちょこと見たぐらいで
      詳しくないんですが、今度本もしっかり読んでみたいです!
      全集ーーーっ!!!
      シェイクスピアの全集がオウチにズラリとか
      考えるだけでうっとりしちゃいますねー[*´▽`*]
      大好きな作家さんはいつか全部全集で欲しい!

      でも、全集ってそれでなくても高いのに
      1巻ずつバラ売りじゃないのとか絶対にムリなので
      ほんとやめてほしいですー[´ロ`]屮
      「ロミジュリ」![笑]
      ワタシもディカプリオ様のをチラっとパーツ的に
      見たことがあるのと舞台の話で聞いたことがあるぐらいで
      まったく見たことないんですー。
      九月猫さんと同じく避けているわけじゃまったくないのに[笑]
      でもこれもきっと、出逢う時期があるんだと
      その機会がくるのを待ってます[^-^]

      野田さんのオススメもありがとうございますーー♡
      早速Amazonで野田さんも後藤さんもウィッシュにっ♡
      積読山がどんどん高さを増して遠い目に。
      視力回復によさそうです♡[笑]
      2013/07/19
  • 1973(昭和47)年発行、新潮社の単行本。既読。しかし、演劇の台本という感じで非常に読みやすい作品。ただし登場人物は比較的多いから、なんとなく読んでいるとごっちゃになるかもしれない。以前は少し後半が走り読みになって意味がわからなかったのだが、今回はその後半も含めておもしろかった。

  • 元々戯曲を想定して書かれた本らしい。高利貸し一家をメインに背後霊が各々いる事で賑やかという事。話はアッサリ気味だがアイデアはさすがに面白い。キャラクター性の強固(星新一作品では希薄だけど)という意味では荒木飛呂彦先生の大発明「スタンド」に通じるかもしれない。

  • こんな風に自分にも他の人にも霊がついているのならば、もっと豊かに、面白いように生きて自分の霊を腹抱えて笑わせたろうと思った。

  • 星新一作品唯一の“レーゼドラマ(戯曲風小説)”。
    マンションの一室。住んでいるのは高利貸しの亭主と占い師の夫人、そして一人娘。
    そこに金目当ての妙な男たちがやって来て、大騒動が持ち上がる。
    さらに、死後に人間にとりついてその出来事を皮肉に見守る霊魂たちもからんで……。
    詐欺師、強盗、霊魂たち――人間界と別次元が交錯する、軽妙なコメディー。

    霊魂の存在システムがシニカルで星新一さんの作品らしく面白かった。

    霊魂になると無限の時を過ごさなければならない。
    だからベテランの霊魂は暇つぶしのために変った人間にとりつきたいと願う。
    戦争や伝染病などでとりつく人間がいなくなると、霊魂は“消滅”を選択することができる。
    しかし今は人間の数が増え続けているので霊魂は当分消滅できないことに悲観している。
    新人の霊魂が尋ねる。
    「消滅後も霊魂みたいな世界ってあるんですかね?」
    「悪い冗談はよしてくれ。それこそ無限地獄じゃないか。」


    少子高齢化で人口減少傾向の末来は霊魂にとっては救いなのですな。。。

    場面転換で演者が観客に語り掛けたりと、とても昭和らしい戯曲廻し。
    これくらいベタで親切な展開も 今また ありかも。

  • 初めて星さんの長編を読んだかもしれない
    もうぐんぐん話の中に取り込まれていく感覚、
    おもしろいなあ、どうやったらこんなにネタが尽きず新しいことが湧き出てたんだろう

  • 星新一の世界がこの本の中に!

  • 人間にとりついている死者同士のやりとりがとてもユーモラスです。

  • 星新一らしい作品。
    気楽に読める。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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