夜のかくれんぼ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098340

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  • 初期作品群の「ボッコちゃん」が50編350ページであるのと比べて、後期の「夜のかくれんぼ」は28編310ページと、チョット長めのショートショートになっています。

    主人公の名前が出てきたので珍しいと思ったら、同姓同名の人物と遭遇する話だったり、オチの意味が解らないものやオチがないものもありました。
    そもそも鋭いオチにはこだわっていない作風に変わってきています。
    少し長めの話にすることで、言わんとすることをじわじわと伝えようという感じです。

    昭和49年の発行なのに、コンピュータの判断に振り回されている社会を風刺した作品があるなど、先見性の高さや人の心と行動を読み取る能力は健在です。
    ファンタジー感が少なくなり、現実感が強まって社会の隠れた一面を掘り起こしているようで、あまり子供向けではないと思いました。

    これはこれで面白いですが、「きまぐれロボット」「ノックの音が」「ようこそ地球さん」など子どもがハマる初期の作品の方がより「ハッ!」とさせられそうです。

  • 多作なのに、パターン化しないと言われているだけあって、どの作品も真っ白なところからはじまってそれぞれの個性を持ってできあがっているような、大粒感のあるショートショートばかりでした。昭和の時代に活躍したひとには、たとえば手塚治虫さんのようなやっぱり多作の人がいる。そういう時代だったのかなあ。現代は作りこむことに時間をかけている。つまり、深さや広大さ、緻密さに時間をかけている。ゆえに、手塚さんや星さんのように多作のひとってでてこない。今読んでみてもとてもおもしろいのだから、これら昭和の時代の多作のなかで生まれたものが、現代の凝ったものと比べて劣っているものだということはないでしょう。ファーストフードがはじまった時代のものでもあるから、インスタントなもののように、表面的にしか知らないひとは考えるかもしれませんが、さきほども書いたとおり、そうではなく、しっかりした醍醐味を感じさせてくれるんですよ、それぞれの作品が。

  • 大人向け「夜」の星新一さん。浮気や犯罪やらに絡むものが多くて、またいつになく社会風刺色が強いように思われた。でも、安定の語り口のためくつろぎながら読むことができる。人生が切り替わるスイッチ「背中の音」、PC対ヒトの「勝負」がお気に入り。ヒトラーの宣伝をしてしまったゲッベルス一家の心中を描く「一家心中」と、今の我々の幸せが過去のどんな歴史の上に成り立ってるのかを描く「幸運の公式」(ちょっとベルセルクっぽい)が出てきたときには驚きもあった。

  • ショート・ショート。
    久々の星新一作品。
    やはり好き。忙しい時は、星さんの本を少しずつ読むに限る。
    「ある帰郷」「不吉な地点」が好き。

  • 初!星新一さん作品。
    なぜ、ほのぼのとかほんわかするような短編を書いている
    人だと思い込んでいたのか。
    全然違った。人ってとっても嫌なものだなーっていう
    話が多かった。
    昭和四十年代に書いてるなんてすごいな!今の話みたい。
    ーーー
    幸運の公式:そうなんだけど、悲しいよ。
    ご用件は:こっちも悲しいよ。
    金の粉:不幸にするために呪うんじゃなくて、一旦幸せに(お金持ち)にして見つけ出すなんて新しいな。

  • 初の星新一!何とも言えない後味の悪さにワクワクさせられてページをめくる手が止まらなかった。映像作品や演劇でも見てみたいなと思った。

  • 安定の星さん。
    面白かった!どういった経緯で作品を生み出すのか、ということにも触れている「あとがき」がとても参考になった。

  •  深く記憶には残らない。ただその時を埋めてくれる星新一のショートショートが私は好きだ。

  • めっちゃおもしろい、星新一の面白さにやっと気づいた

  • 今回も相変わらずのブラックユーモアあふれる作品でしたが、ちょっとバッドエンド気味なのと意味がよくわからなかったものがあったのでいつもより★ー1にしました。
    「こんな時代が」「幸運の未来」「幸運の方式」「違和感」
    「追われるもの」が印象的でした。
    特に「幸運の方式」はどんなホラーよりも現実味があって
    怖く感じてしまいました。今、主人と幸せな生活を送っているのでうかうかしてしあわせ怪獣が出てきそうで怖いです。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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