つぎはぎプラネット (新潮文庫)

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著者 : 星新一
  • 新潮社 (2013年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098531

作品紹介

同人誌、PR誌に書かれて以来、書籍に収録されないままとなっていた知られざる名ショートショート。日本人 火星へ行けば 火星人・・・・・・「笑兎(ショート)」の雅号で作られた、奇想天外でシニカルなSF川柳・都々逸。子供のために書かれた、理系出身ならではのセンスが光る短編。入手困難な作品や書籍、文庫未収録の作品を集めた、ショートショートの神様のすべてが分かる、幻の作品集。

つぎはぎプラネット (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  ヤナーチェクの評論において、ミラン・クンデラが、「作者のあとに残された一切のものを掻き集めるという情熱の形で表れる」「忠実さ」について、批判しているのを思い出す。例えば、《棍棒体操のための音楽》のような重要でないものを「ヤナーチェク・ピアノ曲全集」に収録する「忠実さ」である。
     クンデラはひとりの創作者として、創作者ヤナーチェクに同情している。しかし私は愚かな享受者である。ヤナーチェクの作曲したものなら、《棍棒体操のための音楽》でもありがたがって聴く。面白くないけれども。

     そして神様には忠実にならざるを得まい。相手は「ショートショートの神様」だ。ということでできたのが『よせあつめプラネット』、もとい、『つぎはぎプラネット』、単行本未収録作全集に近いもの、である。改作されて複数ヴァージョンあるものをすべて収録まではされていないから「近いもの」である。
     星新一のご息女とここに解説を書いている高井信らが、「あとに残された一切のものを掻き集める」作業をしたわけだが、その成り行きについて書かれた解説が苦労を偲ばせてなかなか面白い。まさに「情熱」。
     冒頭に収められているのは「SF川柳・都々逸 101句」。星新一はこういうナンセンスが好きだったらしいが、当時の世相を反映していて、解説なしではわけのわからないものもある。作品が古びないように、時事的なことは書かないようにして作品を作っていたという星新一にとって、こういうのを収録されるのは不本意だと思うが、それをまた冒頭に持ってくるあたりに、編者たちの確信犯的自覚を読み取ることもできるだろう。どのみちいくら「神様」でも死んでいたら文句は言えないのだ。クンデラはまさにそのままならなさを怒っているのだが。

     あとの作品は発表年代順に並べられている。1957年の同人誌『宇宙塵』収録作から始まるので、習作といえなくもないのだが、未熟な作品というわけでもない。アマノジャクなクイズが流行る話を新聞社への投書のみで描いた「ミラー・ボール」は、かなり長く、後の作風とはいささか異なるものの、アマノジャクにこだわるあたり、いかにも星新一らしくて面白かった。
     しかし、である、その後、少年誌への寄稿作品が結構な数、続く。これはちょっとなあ……
     そのうちエフ博士とかエヌ氏とかが出てきて、「二○○○年の優雅なお正月」。ボタンひとつで朝食が出てくるというのは冷凍食品のチン、テレビのチャンネルの数が50ほどもあって、だが、あまりおもしろいのはやってなかったとはなんたる慧眼。映画は4ミリフィルムになっていて、安く借りられる、欲しい商品があればテレビについているダイヤルで商品番号を回せばいい……、35年前の予測は結構実現されている。
     1965年のソニーのPR誌に掲載された「ビデオコーダ−がいっぱい」。これも「YouTubeと監視カメラがいっぱい」にかえたらだいたい予測どおりだ。いやいやSF作家の仕事は未来予測ではないなどと、かつてさかんにいわれたものだが。

     少年誌の収録作のほか、だいたい1970年初頭くらいまでの企業のPR誌用の「明るい未来」的な作品が多く、残念ながら全体的には《棍棒体操》といわざるを得ない。星新一未経験者は『ボッコちゃん』とか『エヌ氏の遊園地』とかから読むべきである。

  • 星新一氏の本は中学生くらいの頃夢中になっていた。大人になってから読んでみてもやっぱり好き。「つぎはぎプラネット」は入手困難な作品や未収録の作品を集めたもの。私が生まれる前に描かれた未来の人々の日常には今も心がときめきます。

  • 星新一の未収録作品、入手困難作品などが収められ、デパートの広告や、企業の広報誌に載った作品も含まれます。子ども向けのお話も多数ありますが、子ども向けと言っても、切れ味の良さは変わりません。個人的には、「知恵の実」と「魅力的な噴霧器」が面白かったです。収集にあたっての苦労話も解説に書かれており、読み応えのある作品集だと思います。

  • 星新一氏の単行本未収録作品を集めた本。
    最初、星氏が単行本に入れなかった物を読んでもいいのかと戸惑いましたが、誘惑に負けて購入。だって、星さん好きですもの(笑)ですが、読み始めのころはイマイチ。文体も知っている星さんのものとは違う気がしたし、作品の統一感もなかったしで、なんとなくがっかりしましたが、良く考えたら、あちこちのPR誌等で書いたものを集めた、「つぎはぎ」なので仕方ないかと。
    しかも、中盤に差し掛かってくると、違和感の中にも星さんらしい表現がたくさん。もう何もいいますまい(笑)やはり読んで良かったです、

  • 星新一作品を散々読みあさったオールドファン向け、かな。

    小冊子やらなんやらかんやら、いろんな媒体に作品を発表しておられたのですね。発表先の客層(?)に応じて、オチのつけ方や毒の量も変幻自在。

    昔は企業PR誌がたくさんあったのだなぁ。

  • 様々なテーマによるショートショートが集まっていて、それぞれの短編が掲載された最終的な目的やテーマを知ったとき、思わず唸ってしまうようなスパイスがあったり、心がほっこりするようなものもあり、マイペースに楽しく読んだ。SF川柳・都々逸も、後から本人のツッコミがありおもしろかった。

  •  故星新一氏の入手困難作品や書籍未収録作品を集めたもの。
     同人誌やPR誌、小学生を対象とした雑誌に掲載されたもの等が集められている。
     決して、傑作集ではなく、あくまでも「幻の作品集」であり、また未収録の中から選りすぐりを集めた「選集」でもなく、すべてを集めた「全集」となっている。
     僕は星新一のショートショートはすべて読んでいる。
     本書も読んだのだから、すべてに違いない(本書の巻末に「星新一ショートショート全作品読破認定書」が付録としてついている)。
     発売されている文庫はすべて購入しているし、訳あって今は手元にないが、「星新一全集」なる分厚い数冊の本も購入し、時間をみては読んでいた。
     専門家とは言えないだろうが、少なくともかなりのファンであろうと自負している。
     そんな僕からすれば、本書は正直に言って、あまり面白い内容ではない。
     小学生向けに書かれたものは、あくまでも小学生向けであるし、PR誌に掲載されたものは、あくまでもPRされている商品なり、企業なりに寄り添う形を取っている。
     それだけ「自由度」が少ない、括りの多い執筆作業だったのだろう。
     もちろん、面白い作品も含まれてはいるが、「とびきりに面白い」作品ではない。
     身も蓋もない言い方をしてしまえば「星新一の全作品を読破したいコアなファン」向けの作品なのだと思う。
     怖いのは、星新一を知らない人、これから読もうと思っている人、読み始めたばかりのビギナー、そんな人たちが、「新作」として書店に並んでいるこの本を買って「なんだ、思ったよりもつまらないじゃないか」と勘違いしてしまうことだろう。
     内容はちょっと異なるけれど、例えばザ・ビートルズをこれから聴こうと思っている人に「ザ・ビートルズ・アンソロジー・シリーズ」を薦めたりはしない(いや、する人もいるかも知れないが……)。
     それと同じように、オリジナルで発売されている文庫に収録されている多くの(本当に本当に数多くの)傑作ショートショートを知らないままで、星新一の偉大さが損なわれてしまう可能性があるのではないか……それが本当に怖いし、もしそのようなことになったら、それは星新一にとっても残念なことだし、星新一をこれから読もうと思っていた人にとっても非常に残念な結果になってしまうだろう。
     故星新一氏の残した全作品がこうして読めること自体は非常にうれしいし、僕自身も「あまり面白い作品は収録されてはいないな」と思いながらも、感慨深く読み終えることが出来た(星は三つしかつけてないけど、星新一のファンであれば、間違いなく楽しめると思う)。
     そういった是や否を考えると、決して小さくはない功罪を抱え込んだ作品だと言えるのではないだろうか。

  • 未公開作品と有難がって発行したが、公開しなかった理由が明確にわかります。

  • 最近手塚治虫を読むせいか、どこか未来への想像力が薄い感じがしてしまう。でも、2000年にはこうなってたらいいなという夢を読むのは楽しい。

  • いろいろなお話があり、いろいろな内容があって、面白かったです。

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