小川未明童話集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2532
レビュー : 320
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101100012

感想・レビュー・書評

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  • ああ〜
    こういうのを読むと
    日本人に生まれて
    ホンマ良かったなぁ〜って
    しみじみ思うんよなぁ(笑)


    豊かな情景描写と
    美しい日本語で綴られた文章、

    ロマンチックで詩的な世界観と
    子供たちへのあたたかな眼差し。

    童話でありながら
    大人が読んでもハッとさせられる人間の業や
    社会風刺や
    メッセージ性の込められたストーリー。


    日本のアンデルセンと呼ばれたバラエティーに富んだ多作家でありながら
    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えたところが
    小川未明のスゴさであり、
    今なお読み継がれている理由でもあると思います。


    本書に収録された25篇の短編の中で
    自分のお気に入りは、

    酒井駒子の絵本でもお馴染みの
    「赤いろうそくと人魚」、

    月夜の晩に
    一人暮らしのお婆さんの身に起こった
    不思議な出来事を描いた
    「月夜と眼鏡」、

    飴チョコの箱に描かれた
    天使の視点で社会を風刺した
    「飴チョコの天使」、

    長年苦労を共にした年老いた牛を
    お金のために手離した男の悲劇…
    「百姓の夢」、

    本当に大切なことは
    スタイル(形)や見映えではないことをユーモラスに説いた
    「殿さまの茶わん」、

    切なく美しく胸を締め付ける
    夢のように儚い代表作
    「金の輪」、

    口笛の上手い盲目の弟と
    弟思いの美しい姉。
    しかし姉は有名な大金持ちに声をかけられ…
    「港に着いた黒んぼ」

    かな。


    同じ童話作家でも
    宮沢賢治が「太陽」なら、
    小川未明は「月」。

    哀切的で叙情的な作風、
    そして文字通り
    夜や月に関する童話が多いのも
    自分が惹かれる理由なのかも。


    月が、花が、鳥が、虫が、レールが
    密やかに囁き合う声を聞きたくなる度に
    夜毎読み返してしまう、
    詩的で幻想的な逸品です。

  • 小川未明さんの、動植物やモノにもそっと命を吹き込んでロマンチックに仕上げるところが好き。

    個人的には、

    線路を負傷させた犯人を月が追っていく
    『負傷した線路と月』

    有名な陶器師に殿さまが〝本当に大切なもの〟を説く
    『殿さまの茶わん』

    おしの母親を亡くした息子の半生を描く
    『牛女』

    かつて小学校で教師をしていた青年が、都で出世し多くの富を得て、お金では買えない大切なものを忘れていってしまう様子を描く
    『小さい針の音』

    が好き。

    童話でありがちな無理矢理ハッピーエンドにねじ込むことなく、自然に全体をまとめ上げていたのが印象的。

  • 姉の本棚に置いてあった本作、小川未明童話集を拝借して読んでみました。

    こちらの本は、星野源さんや蒼井優さんがおすすめの本として紹介されていたようです。

    内容に関してはかなり独特なまったりとしたテンポと世界観になっており、大人のリラックスにも良いと感じた一方、子どもへの読み聞かせにも最適だとも思いました。

    そしてこの作者はあらゆるモノに命を吹き込む技法が多く、感情を悟るのが得意なんだなと感心させられました。

  • 子供の頃、ハッピーエンドで終わらない絵本を読み終えると、部屋の隅やガジュマルの木の上で、「なんでかなあ」と一人思い悩んだ記憶があります。なんで、「めでたし、めでたし」じゃないんだろう?この話ってもしかして、ちゃんと終わってないんじゃないかな、と不安になったものです。

    お姫様は王子様と結婚するし、
    悪者は勇者に打ち倒されるし、
    全知全能の存在は良き人の行いに報い、悪しき者の罪に罰を与える。
    それが世の道理で、あるべき世界の姿だと思っていた幼少の私がもし、小川未明の作品に出会っていたら……トラウマものだったでしょうな(((((´・ω・`)))))ぶるぶる

  • (すももの花の国からのみ読了)

    ほっこり。

    お父さんとお母さんに会いたい気持ちはいつの時代も共通なんだなと。結局会えなかったけど、ずっと探していたのが子供ながらに一途だなと。

    ほっこり。

  • 好きな話は「野ばら」「月夜と眼鏡」「月とあざらし」「千代紙の春」「港に着いた黒んぼ」「小さい針の音」「島の暮れ方の話」

    童話の中にもこんなにうつくしい言葉を織り交ぜることができるのかと感動する。子供向けとして整えられた文章とはまた違う趣があった。

  • 25編の物語。

    一昔前の、みな貧しかったころの日々の暮らしを包むような、
    ちょっと不思議な感じの物語や、
    それでいてちっとも説教臭くなく、
    ほうっとするお話もあれば、哀しくてしようがないお話もある。
    そのなかで、一番気にいったお話というのは、
    「とうげの茶屋」というお話だ。

    おじいさんが一人、とうげで茶屋を営んでいる。
    女房は先に逝き、ひとり息子は都会に働きにでて、お嫁さんをもらった。
    おじいさんはいつもニコニコして、みんなから好かれている。
    しかし時代の流れには逆らえず、不安に心が揺れたりもしたが、
    ある母子をもてなしたあとに思う、
    おじいさんの心持がなんともすがすがしく、
    最後の5行には、こういうものこそ、
    生きている者がもつ「宝」なのだと思った。

    わたしもこういう老人になりたい。
    このおじいさんを、とても尊敬している。

  • 再読

    小川未明先生のお話はどこか寂しく冷たい空気があるけど、その中に子供を想う人の愛情が輝いてみえる。短編だからこそ、詩的で、言葉や情景の美しさにうっとりして、声に出して読みたい話ばかり。
    特に好きなのが、『野ばら』『月夜と眼鏡』『千代紙の春』『殿さまの茶わん』

  • ハッピーエンドではなく、人間のエゴを思い知らされるオチで終わる短編集。
    ずっと小川未明は女性だとばっかり思っていました。
    男性なのね

  • 文章が美しい。
    宮沢賢治の作品のような物悲しさと透明感がある。

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著者プロフィール

小川未明(オガワ ミメイ)
1882年新潟県高田(現上越市)に生まれる。坪内逍遥や島村抱月から指導を受け、ラフカディオ・ハーンの講義に感銘を受ける。卒業後、早稲田文学社に勤務しながら、多くの作品を発表する。1925年に早大童話会を立ち上げ、翌年、東京日日新聞に「今後を童話作家に」と題する所感を発表し、童話専念を宣言する。1946年に創設された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1961年没。童話の代表作としては「月夜と眼鏡」のほか、「金の輪」「赤い蝋燭と人魚」「野薔薇」などがあげられる。

「2019年 『月夜とめがね』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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